なぜ、「KOPW2020」のファン投票が行われなかったのか?

「KOPW2020」にはファン投票が必須だということを書く。

2020年の「Road to POWER STRUGGLE」が幕を閉じた。

今回のサーキットで印象的だったのは“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”と“バレットクラブ”の前哨戦(メインイベント限定)でSANADA選手が勝ちまくったことだ。

シリーズ全10興行のうちメインイベントを締めた開催は驚異の7回。本格的にSANADA時代の到来と言っても過言ではないのかもしれない。

2018年1月5日に沈黙を破って以降(いわゆるSANADAが喋った日)シングルプレイヤーとして新日本プロレスでも圧倒的な存在感を発揮。

自他ともに認めるオカダ・カズチカ選手のライバルとして、多くの名勝負を見せてきた男は2020年にいよいよ「G1クライマックス」で準優勝を成し遂げるまでに飛躍した。

準優勝者は記憶に残らない。優勝と準優勝で天と地ほどの差がある。

こんな言葉もあるが、実際の準優勝を少し並べてみよう。

  • 2015年 中邑真輔選手
  • 2016年 後藤洋央紀選手
  • 2017年 ケニー・オメガ選手
  • 2018年 飯伏幸太選手
  • 2019年 ジェイ・ホワイト選手

メインイベンタークラスのみが名を連ねているところを見ると、やはり「G1クライマックス」のリーグ戦を勝ち抜くことは伊達じゃない。

ただ、2020年の「G1クライマックス」を勝ち抜き、現在絶好調のSANADA選手は「POWER STRUGGLE」大阪・大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)大会にエントリーすらされていない。

今回はそんな「POWER STRUGGLE」で、僕が一番疑問に思っていることを書きたい。

「KOPW2020」についてである。これは現在トロフィーを持ってる矢野通選手が悪いわけでも、挑戦者のザック・セイバーJr.選手が悪いわけでもない。

なぜ、ファン投票が実施されなかったのか?この点について熟考する。

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KOPW2020のルール問題

今回、一番違和感があったのは「KOPW2020」のルール問題だろう。

2020年7月28日、オカダ・カズチカ選手が発案した新タイトル「KOPW2020」の設置が発表された。

従来のタイトルと異なり、ベルトはなし。ただし、現代風なカラクリが一つ用意されている点が大きな特徴となっている。

それは“ファン投票”でルールが決まる点である。

今回、矢野通選手とザック・セイバーJr.選手の試合では、特殊なルール(ノーコーナーマット)はあったが、ファン投票が行われなかった。

当人同士の話し合いで決まったと判断されたのだろうが、正直これは少し寂しさを感じる。

僕は「KOPW」に大きな可能性を感じていた。それは、特殊ルールで試合が行われる点ではなく、“ファン投票”という仕組みに、だ。言葉でファンの心を掴むことができれば、対戦相手にとって圧倒的に不利な状況を作り出せるという点である。

エル・デスペラード選手と小島聡選手の一戦が一番分かりやすいだろうか。ラリアット禁止ルール。

正直に言ってあれほど小島聡選手にとって不利なルールはない。フィニッシャーを使えば反則負けなのだから。

ただ、エル・デスペラード選手が小島聡選手に勝つにはこれくらいのルールが必要だったのだ。

ルール次第で勝敗が見えなくなる。それをファンの投票で決める。これこそが、「KOPW2020」の面白い点なのである。

 

提案ではなくファン投票が必要

後藤洋央紀選手&YOSHI-HASHI選手VSタイチ選手&ザック・セイバーJr.選手の激闘が終わった後、解説席に座っていた矢野通選手が突如リングに上がり、マイクを掴んだ。

「ハイッ! というわけで! このような激闘のあとに非常に! 申しわけありませんが、私に一言、いや! 二言ほどお時間をいただけないでしょうか!?(場内拍手)。
 ザック・セイバーJr.と! 私、矢野が、この数日間、来る日も来る日も! 私がコーナーパッドを外しては! (ザックを指して)コイツが来て! 外しては来て! 外しては来て! 外 しては来て! さぞ! ザックはイライラしてたでしょう。だが、しかし! 100倍、いや、1000倍! いや、2000倍! 俺のほうがイライライライライライライライライライライライラ……(とイライラを連発)! してたんだよ、バカヤロー! というわけで! この状態、そう! ノーコーナーパッドルールで、11月7日、大阪! K、O、P、Wを争おうじゃねえか、コノヤロー!」

 出典:新日本プロレス公式

このパフォーマンスの後、ザック・セイバーJr.選手がこの時点で承諾したと新日本プロレスは判断し、2020年11月7日の“ノーコーナーパッドマッチ”が確定した。

理屈は分かる。当人同士が納得したという理屈は分かるのだが、なぜファン投票を行わなかったのか。

僕はザック・セイバーJr.選手が電流爆破をぶち上げた時に心が震えた。絶対に見たい試合である。

皆様は御存知の通り、僕は矢野通狂だ。彼に憧れ激推ししている。

そんな彼が「絶対に嫌だ!」と言っても電流爆破に投票した可能性がある(いや、恐らく電流爆破に投票した)。ここでの面白さは電流爆破を絶対にやりたくない矢野通選手がどんなルールをぶち上げればファン投票で勝てるのか?という点を追っていくことである。

 

もしもファン投票で“ノーコーナーパッドマッチ”と“電流爆破”であれば、僕は電流爆破に投票した(言い切る)。

ただし、矢野通選手がアマチュアレスリングルールと提案したらどうだろう。全日本を制した男がガチでレスリングをする瞬間をいよいよ見ることができる。

更に演説(YouTubeチャンネルも駆使)で二度とこのルールは提案しない。それだけ電流爆破は嫌だ。二度と見ることのできない本気のアマチュアレスリングか花火(蝶野正洋さんオマージュ)かどっちがいいか投票で決めろ!コノヤロー!と言われれば、アマチュアレスリングルールに投票したと思う。

ながーくなったがファン投票にはこういった妄想する余白や楽しみがあるのだ。

実際にどちらが投票で勝つのかTwitterのアンケート機能を使えば透明性だってある。

そうして、バックステージじゃないところでも盛り上がりをつくることで、新しいプロレスファンが生まれる、と僕は考えていたのだが...。

 

投票しなかった理由

最後に今回の投票が無かった理由について、だ。

SANADA選手とSHO選手の試合で前例ができてしまったことが問題だったのだろうか。いや、これは今回のファン投票がない理由にはならない。 

明確に新日本プロレスがファン投票を避けたようにしか僕は思えないのである。

矢野通選手は提案した。ザック・セイバーJr.選手は承諾した。ではなく、最終的にザック・セイバーJr.選手に何かルールはあるか?と確認しなければいけないフローが抜け落ちている。

新タイトルでいきなりふわっとするのは本当によくない。会社務めの経験がある方ならば分かるはずだ。新しい制度がいきなりブレブレなのは大きな問題なのである。

では、僕が思うファン投票をやらなかった理由について。“ファン投票”の言い方を少し変えてみよう。

選挙だ。

現在、アメリカは大統領選の真っ只中。超絶タイムリーな状況の中で、「KOPW2020」が投票という形式を取るのはなんとなく止めておいたほうがいいと思う(非常にセンシティブな状況であることは間違いない)。

今回、投票がなかったのは新日本プロレスがグローバルで気を回した、ということなのだと僕は解釈している(矢野通選手に押し切られただけかもしれないが...)。

まぁ、試合自体が矢野通選手とザック・セイバーJr.選手の試合が面白いものになることは間違いないが、ファン投票がなかったことへの寂しさをつらつらと書いてしまった。

次回、以降「KOPW2020」のファン投票が復活することを祈りつつ、本日は筆を置きたい。明日、ドミネーター・ショックは起きるのか?それともレインメーカー復活の狼煙が上がる日になるのだろうか。

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