なぜ、ジェフ・コブは“THE EMPIRE”に加入したのか?

なぜ、ジェフ・コブは“THE EMPIRE”に加入したのか?今日はその理由について考えていきたい。

「ワールドタッグリーグ2020」の開幕戦。第3試合でグレート-O-カーン選手のパートナーであるXが発表となった。

Xの正体は“マスターアスレチック”ジェフ・コブ選手。

新日本本隊で活躍する名レスラーは、“THE EMPIRE”に加入するや否や、今までの雰囲気とは全く別の氷のように冷たいオーラを放っている。

陽気なハワイアンが地球(相手レスラーも)を回す。そんなイメージは既に存在していない。

感情ゼロ。冷酷な殺戮マシーン。まるでガチムチのウォーズマンである。

後藤洋央紀選手&YOSHI-HASHI選手の試合を見てもそう。

ファイトスタイルが以前よりも荒っぽい雰囲気にはなったし、パワーをさらに押し出すようにはなったが、試合内容が激しく変化したわけではない。

大きく変わったのはリングで放つ空気感である。

...今、記事を書くために改めて「ワールドタッグリーグ2020」の公式戦を見直しているが、グレート-O-カーン選手が凄すぎる。ベテランを感じさせるような風格がある。

力こそパワー。まるで戸愚呂弟と戸愚呂弟がタッグチームを組んだかのようである。

 

 

 

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バレットクラブ誕生秘話

プリンス・デヴィッド選手、バッドラック・ファレ選手、カール・アンダーソン選手、タマ・トンガ選手。

“バレットクラブ”のオリジナルメンバー。4TOPSはそもそも新日本本隊で愛されている“ガイジン”だった。

いわば、以前のジェフ・コブ選手と同じ境遇にあったと言えるだろう(新日本プロレスの道場出身ではないという前提の違いなどはあるが)。

彼ら4人は「正しく評価されない」ことへのフラストレーションが爆発し、“バレットクラブ”という一大組織を作り上げるまでに至った。

正しい評価とは何なのだろうか。

まず、どんなに素晴らしい試合をしても専門誌は日本人レスラーばかりを取り上げる。

今でこそジェイ・ホワイト選手やウィル・オスプレイ選手らが表紙を飾ることも珍しくはなくなったが、当時は今と少々毛色が違ったようめある。

ジェフ・コブ選手に関してはどうだろう。

彼は日本人のファンから愛される存在だった。パワーは物凄いし、あの巨大で宙を舞うというインパクトもある。

色々なことが重なって新日本プロレスのリングから遠ざかってしまったマイケル・エルガン選手の心の穴を埋めるかのように、ジェフ・コブ選手は存在価値を発揮していた。

ただ、改めて考えると彼の評価が低かったのではないか?彼に最も相応しい活躍の場を団体は用意するべきだったのではないか?

改めて考えるとそんな言葉が浮かび上がってくる。

――一つだけ質問を。なぜ、THE EMPIREに合流したんですか?
ジェフ「(※しばらく沈黙が続くが、カメラに向かって指差して、静かな口調で)お前らのせいだ……(※とだけ言って立ち去る)」

出典:新日本プロレス

お前らが正当に評価をしない。だったら、自分の帝国を築くまで。そんな決意を感じさせるオーラがジェフ・コブ選手がから漂っている。

 

G1クライマックスの白星

ジェフ・コブ選手の「G1クライマックス30」を少し振り返ってみよう。

勝ち点は8。ただ、勝利した相手が凄い。

石井智宏選手、ウィル・オスプレイ選手、鷹木信悟選手、ジェイ・ホワイト選手。

トップレスラーが揃い踏み。特にウィル・オスプレイ選手とジェイ・ホワイト選手からすれば優勝決定戦進出へ大きすぎる一敗を喫した相手になる。

そうなのだ。こうした結果を残しているにも関わらず、特にベルトへの挑戦があったわけでもなく、新しいチャンスが生まれたわけでもない。

何故か、何度でもリマッチが組まれる二冠戦。結果を出しても爆発的な注目を集めることができない現状を変えるのであれば、環境を変えることが一番である。

オファーなのか。スカウトなのか。その背景は未だ定かではない。

ただ、これだけは言える。

今、新日本プロレスで最も熱いユニットは“THE EMPIRE”である。

 

君主の個性

ウィル・オスプレイ選手は“THE EMPIRE”をぶち上げて以降、明らかに態度が大きくなった。

ただ、なぜだろう。好青年だったあの頃の方が、今思えば何かを押さえつけている印象を受ける。

オカダ・カズチカ選手の弟分というカセをなくした結果、本性が全面に出た。本来のウィル・オスプレイ選手とは世界トップを名乗るに相応しい実力とふてぶてしさを持ったレスラーだったのかもしれない。

ハイフライヤーとして名を馳せ、新世代のベストバウトマシンと称された男は“THE EMPIRE”の旗揚げ記念日に四の字固めを披露した。

頭から落とすだけ。飛ぶだけがプロレスじゃない。俺は何でもできる。そんなメッセージがあの四の字固めに詰まっていたような気がした。

グレート-O-カーン選手に関してはもう説明すら不要だろう。最大の魅力はギャップにある。

リングの上では荒々しく、強さが伝わってくるファイト。今回の試合でいきなりサブミッションを魅せたように何でもできて、強い。数秒でYOSHI-HASHI選手を追い詰めるなど、その実力はまだまだ奥が深そうだ。

さらにバックステージではウイットに富んだジョークも交えたコメント。極めつけがSNSでのオタ活とファン弄り。

それぞれの場所で全く個性が違うように見えて、グレート-O-カーン選手というブランドが一貫性を作っている。

やっぱすげぇなと思うのが、後藤洋央紀選手&YOSHI-HASHI選手の試合が終わった後、辻陽太選手を小突いたシーンである。

ちゃんと俺はバックステージのコメントもチェックしているし、舐めたことを言う小童には容赦せん余というアピールである。

SHO選手はグレート-O-カーン選手に対して、「今が楽しくてしょうがないはず」だと語っていたが、僕もそう思う。

グレート-O-カーン選手は輝いている。

最後にジェフ・コブ選手。前述したように彼はガチムチのウォーズマンと化した。あの頃の爽やかなスマイル。今はもうウォーズマンスマイルのように見るものを凍りつかせることになるだろう。

冷たい氷のような瞳。冷酷で非情。自分が王として領土を束ねるのであれば..と悟りを開いた結果が今のジェフ・コブ選手の姿なのだ。

最後に。あなたの周りにもジェフ・コブ選手はいないだろうか。正当な評価と正しい言葉。キチンと向き合うことをしなければ人は豹変してしまう可能性がある。

そのことを改めて学ぶ機会となった。

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