グレート-O-カーン、約2年越しの夢を叶え棚橋弘至戦へ

グレート-O-カーン、約2年越しの夢を叶え棚橋弘至戦へ。

2020年12月14日、棚橋弘至選手とグレート-O-カーン選手によるスペシャルシングルマッチが発表された。

決戦の舞台は東京ドーム。“ドミネーター”として新日本侵略を開始したグレート-O-カーン選手にとって、過去最大級の大一番である。

先日、行われた高橋ヒロム選手とエル・デスペラード選手との一戦で、大切なのは“今”というメッセージが全世界に発信された。

ただ、2人の歴史を知っているからこそ、心が揺れ、大きなカタルシスが生まれたのは言うまでもない。

では、今回の師弟対決はどうか。最近、新日本プロレスのファンになった方も多いと思うので、前提知識を伝えておきたい。

このコラムを読むことで、グレート-O-カーン選手の歴史を知ることができる。

“ヤングライオン ”岡知之。これは偉大なる君主が若き獅子の時代の話だ。

 

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ヤングライオン時代から規格外

グレート-O-カーン選手は過去の姿について、「華がなかった」と振り返ったことがある。

確かに当時の姿は今の様なリング上で放つ圧倒的な存在感と華はなかった(というか先天性的なものが大きいと言われた華を後天的に手に入れるってどんだけ凄いんだ...)。

ただし、入門当初から規格外の存在であったのは間違いない。

新日本プロレスの革命家・棚橋弘至選手は付き人を付けないことで有名だった。

永田裕志選手や天山広吉選手らに付き人がいるのは有名な話だが(マスター・ワト選手は永田裕志選手の付き人だった)、棚橋弘至選手は付き人システムを活用していなかったのである。

そんな新日本プロレスのエースが嬉々として自分に付き人ができたことを語った日がある。

2017年1月13日更新のタナポで、「棚橋に付き人ができました。巡業中にどんどん変わっていった。頭がいいタイプだったけど凄く変わっていった」と。

当時、岡知之選手は天山広吉選手と棚橋弘至選手のW付き人を担当していた。

あのモンゴリアンチョップは天山広吉選手とは別ものである。別ものであるのは間違い無いのだが、数多くの技がある中で選んだ理由の一つにあの頃の記憶があるのかもしれない。

www.njpw.co.jp

 

2017年の夏

2017年7月22日。岡知之選手は永田裕志選手とのタッグチームで棚橋弘至選手と北村克哉さんと戦った。

これはその試合後のコメントである。永田裕志選手のコメントが胸にグッと来るものだったので、こちらもままで掲載しておく。

永田「俺らの前哨戦も注目だったけど、コイツらの何もない中でのぶつかり合いってのはやっぱり、すごいっすね。お客さんの盛り上がりを見て、今現在の彼らがこれだけのインパクトを伝えられる。俺が去った後、一刻も早く彼らに『G1』出られるようになってほしいっすね。そんな思いの試合です、今日は。
明日、棚橋と試合だけど、かつて棚橋が否定したストロングスタイルを、俺は全身全霊で棚橋に突きつけて勝利を獲りにいきます。それに対してひと言。棚橋、絶対スカすなよ! 俺は最後の『G1』で棚橋に全身全霊でストロングスタイルをぶつけてやる。それに対してスカすようなファイトはしないでほしい。俺の希望はそれだけです。(※カメラに向かって敬礼)」


岡「棚橋さん! 『G1』以外にも、気になることありませんか⁉︎ もし、あなたの付き人のことが少しでも気になったなら、シングルで戦ってください! 待ってます!」

出典:新日本プロレス

「シングルで戦って下さい!待ってます!」この日の言葉が呼び水になっているわけではないのだが、初のシングルマッチが2021年1月の東京ドームに決まったことは考え深い。

 

全部を背負っていく

あの頃の若獅子は過去の自分を捨て去り、グレート-O-カーンとなった。

過去を捨てることで強くなる。過去を捨て、新しい自分に生まれ変わることで渇望していたものに手が届く。

そんな瞬間を目の当たりにしているからだろうか。どうしてもグレート-O-カーン選手びいきで試合を見てしまうことがある(新日本プロレスワールドが帝国国際放送になったのもそうした要因だろうか)。

全てを捨てて生まれ変わり、強くなったのがグレート-O-カーン選手であるならば、棚橋弘至選手は「全てを背負っていく」ことで強くなったレスラーだ(このセリフの意味は個人個人で調べて欲しい)。

高橋ヒロム選手は髙橋広夢じゃない。エル・デスペラード選手だってそう。

グレート-O-カーン選手だって岡知之ではない。

ただ、棚橋弘至は棚橋弘至のままなのだ。そうした価値観でこれまで新日本プロレスを支え続けてきた。

それぞれの道が正しい中で、どちらの意地とプライドが勝つのか。

エースVS侵略者。全てを背負う者と全てを変えた者。棚橋弘至選手とグレート-O-カーン選手の大一番は、“生き方”というイデオロギー対決に発展する可能性を秘めているのだ。

 

名言に期待

ここからは「余」談だ。

先日、友人と食事をしている際、棚橋弘至選手のバックステージコメントについて話す機会があった。

「俺の成長は光よりより速い。いや、むしろ光だ」

「俺は疲れたことがないんだ」

「愛してます」

名言の数々。棚橋弘至選手は試合だけではなく、入場からバックステージに至るまで、完璧だ。新日本プロレスのエースと呼ばれる所以はここにある。

ただし、時折飛び出す迷言も魅力的だ。

ザックの引き出しを全部開けるって言ったけど、どうやらまだ開かなかったみたい。けど、俺は自信あるから。(ザックは)技のデパート、技の百貨店かもしれない。でも俺は、技のおでん屋さんだから。みんなが知ってるネタで、こんにゃくで、大根で、玉子で、はんぺんで、みんなが知ってるのだけで、十分おいしいから。何言ってるかわかんないけど、やる気だけはあります

出典:新日本プロレス

「十分おいしいから」で止めていても伝わっていたはず。

ザック・セイバーJr.選手は技のデパート。多彩さや、まだ見たことのない技。洗練されたトレンドの技が次々と出てくる。

一方で自分はおでん屋さん。デパートに比べれば、品数は少ないし、ちょっと古風な雰囲気すらある。

ただし、伝統の出汁が染み込んだ具ならではの深さがある。皆が知っている具(技)を、棚橋弘至ならではの味付けで仕上げる。

そんな奥深さのあるプロレスが自分にある、とニュアンスは伝わっていたはずなのだ。

にも関わらず、棚橋弘至選手はなぜか慌ててフォローしている ※「余」程バックステージの空気が緊迫していたのだろうか。

「何言ってるかわかんないけど、やる気だけはあります

そんな前向きな気持ちをいつまでも大切にしていきたい。

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