「THE EMPIRE」と棚橋弘至。シン・新世代の台頭に見えるもの

「THE EMPIRE」と棚橋弘至。シン・新世代の台頭に見えるもの

2020年の新日本プロレスもいよいよ大詰め。12月21日からスタートした後楽園ホールホール3連戦で戦い納めとなる。

2021年の東京ドーム大会。新日本プロレス最大の祭典に向けた、激しい前哨戦がリング内外で行われている。

中でも個人的には「THE EMPIRE」から飛び出すと新日本プロレスのエース・棚橋弘至選手へのメッセージが考え深い。

2019年の「G1クライマックス」でウィル・オスプレイ選手は棚橋弘至選手を破る快挙を成し遂げた。

その後のバックステージで、ウィル・オスプレイ選手は「20年前、彼はネクストジェネレーションとして、次世代のレスラーとしてニュージャパンに来て、この会社を背負って立ってきた」と語っている。

“ATTACK FOR THE NEXT GENERATION”。

「俺は!このリングで!プロレスをやります!」アントニオ猪木さんの目の前でそう叫んだ棚橋弘至選手の言葉に嘘偽りはなかった。

いわゆる2000年代当初のプロレスブームが去った後の新日本プロレスを、V字回復させた立役者として矢面に立つ役割を担った。

そんな彼が今、オカダ・カズチカ選手よりも更に下の世代。シン・新世代との抗争を繰り広げている。

 

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ウィル・オスプレイの新しいニックネームとは?

今回の後楽園ホールを見る限り、ウィル・オスプレイ選手は完全な状態に近づいていると見て、まず間違いはないだろう。

久しぶりに姿を見せた「G1クライマックス」の時とは異なり、バランスのいい肉体へ戻ってきている。

試合を見ていて気になったこともある。「THE EMPIRE」を結成して以降、ほとんど飛び技を使用しなくなった。

“ジ・エアリアル・アサシン”というニックネームを捨て、新しいニックネームに完全移行する。入場曲も変えたウィル・オスプレイ選手がどんな名前を正式に選ぶのだろうか。

 

オスプレイ「全て望み通りの展開だ。このままTHE EMPIREが新日本マットを乗っ取り、古い伝統を片っ端から潰してやる。俺たちがもっと輝く新時代にみんなを連れて行ってやるよ。
かつて棚橋がこう言ってただろ、”ATTACK FOR THE NEXT GENERATION(次世代のために戦う)”って。俺たちTHE EMPIREがその”次世代”だ。お前たちの大好きな棚橋とオカダをリングで大の字にしてやったぞ。俺は現在世界最高のレスラーだ。過去には“ジ・エアリアル・アサシン”と呼ばれていたが、そろそろ新しいニックネームが必要だな……」

出典:新日本プロレス

 

こやつらは家畜だ!

グレート-O-カーン選手はもう手の付けられない世界へと足を踏み入れてしまったのかもしれない。

近年の新日本プロレスにおいて、マイクパフォーマンスはほぼメインイベントのみに許された時間だった。

ただ、グレート-O-カーン選手はその常識をぶち壊し、マイクを使わずに地声で演説することでその常識をぶち壊してきた。

「この光景は1月4日もまた起きる。こやつらは帝国にとって家畜だ! これがウィル・オスプレイ、ビー・プレストリー、ジェフ・コブ、グレート-O-カーン、THE EMPIREの力だ!」

思わず、「家畜に神はいない!」と名作ゲームで飛び出した発言を思い出してしまうほど印象的な一言だった。

グレート-O-カーン選手は棚橋弘至選手が既に時代を切り開いた英雄から地に落ち、亡霊になっていると断言した。

自身の靴を舐めさせるためだけに、綺麗に歯磨きをしておけという挑発はどこから着想を得たものなのだろうか。

新日本プロレスの侵略を開始して、数ヶ月。既にグレート-O-カーン選手は唯一無二の輝きを発しすぎてとんでもないことになってきている。

 

イチからはじめる

シン・新世代「THE EMPIRE」との戦いが激化する中、棚橋弘至選手は違う景色も見つめている。

2020年12月20日の埼玉・ウイング・ハット春日部大会。ガラガラの会場を経て、自分たちみんなの力で“満員御礼札止め”の新日本プロレスを取り戻した盟友がバックステージでお互いの気持ちを語り合ったらしい。

さっき、控室でね、僕と真壁選手の荷物が隣だったんで、話してたんですけど。『またね、一からやっていこうか』と、真壁さんが。『ゼロからじゃないよ』と。プロレスを応援してくれるファンの方がいる。来れない状況の人もいる。そこをね、何とかみんなで、違った形でプロレスを楽しんでもらって、また一から積み上げていこうか、みんなでスタートを切ろうかっていう気持ちがあるんで。

出典:新日本プロレス

ゼロじゃない。あの頃、総合格闘技や色んな問題を抱えていた新日本プロレスは彼等の中では“ゼロ”に近い状態からやり直したという気持ちだったのかもしれない。

ただし、今はゼロじゃない。イチがある。例え会場に足を運べなくとも応援するファンの数が減ったわけではないのだ。また、イチからのスタート。

シン・新世代の台頭もこれからまたプロレスが盛り上がるための起爆剤だと考えれば、案外棚橋弘至選手は今の状況を楽しんでいるのかもしれない。

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