小島聡がKENTAとタイトルマッチをすることについて
小島聡がKENTAとタイトルマッチをすることについて書きたい。
新日本プロレスの年内最終興行が行われた2020年12月23日の後楽園ホールで超特大のサプライズが起こった。
KENTA選手が保有する「IWGP USヘビー級挑戦権利証」な挑戦予定だったジュース・ロビンソン選手が眼科低下骨折のため、当日から東京ドームまで欠場が決定。
この発表が行われた時点では、KENTA選手の東京ドーム出場は白紙状態となってしまった。
そこで手を挙げたのが新日本プロレスの“豪腕”小島聡選手である。
2021年にレスラー生活30周年を迎える大ベテラン。
ベテランと言っても、その肉体を見て分かる通り、バリッバリの現役だ。
2020年は「KOPW2020」でエル・デスペラード選手と激突し、反則負けとなるもラリアットの破壊力で右に出る者がいないことを改めて証明した。
ただし、ここ数年はこうした新日本プロレスのタイトルと距離があったのは事実としてある。
気付けば試合数も減少傾向にあった。勿論、リングに上がるだけがプロレスラーの仕事ではない。
例え、リングに上がっていなくともしっかりとした準備を怠らない。その姿勢がこのサプライズを生んだのだと僕は思っている。
豪腕が選ばれた理由
僕は小島聡選手が自分から名乗りを挙げたの時、「とうとう来た」と思った。
いよいよこの瞬間がやってきたのだとワクワクした。
KENTA選手が第3世代と激突する。これは一つの歴史的な瞬間なのである。
盟友・柴田勝頼選手に導かれる形で新日本プロレスへと足を踏み入れたKENTA選手。
「G1クライマックス」を通じて、棚橋弘至選手以降の新日本プロレスを体感し、今の地位を築いてきた。
2020年には「嫌われる勇気」を持って己の信念や生き様を表現し、一躍名実ともにトップ戦線への仲間入りを果たした。
新日本プロレスの公式YouTubeチャンネルを見ると分かるがKENTA選手は再生数でずば抜けている。
激しい蹴りと巧さ、ヒール的な細かい挑発と牽制。間の取り方。そして、バックステージやSNSでの発信力。
KENTA選手は今や新日本プロレスに欠かすことできないレスラーにまでこの一年で上り詰めた。
確かに彼の(だけの)年にはならなかったかもしれない。
それでも大きすぎる爪痕を残したのは間違いないのだ。
そんな美味しく実ったKENTA選手と戦えるのだから、小島聡選手は“もっている”と言えるだろう。
新日本プロレスでまだキッチリと味わっていないもの。「IWGPヘビー」と「三冠ヘビー」の二冠王というおそらく二度と現れることない偉業を達成した男が今のKENTA選手を相手に魅せるプロレスがあるのだ。
豪腕に育てられた男が2021年にもう一つの豪腕とぶつかる。これも何かの縁なのだろうか。
ジュース・ロビンソンのために
昨日、小島聡選手のツイートが凄まじい反響を呼んだ。
私がKENTA選手に挑戦表明して、違和感を覚えた人、たくさんいると思います。
— 小島 聡【SATOSHI KOJIMA】 (@cozy_lariat) 2020年12月24日
それは凄く分かってます。
これは私の為の挑戦表明ではありません。
私はあくまで、ジュースが帰ってくるまでの代わりです。
だから、ジュースの為に闘いたいし、ジュースの為に勝ちたいと思って発言しました。
自分のための挑戦表明ではないジュース・ロビンソン選手の代わりである。ジュース・ロビンソン選手のために勝ちたいというメッセージが綴られていた。
この言葉には色々な解釈があると思う。
まず、一番に思いつくのが「自分のために戦って、勝って欲しい」。
次に「小島聡は本当に優しい人だな」。
この2つに集約されるとは思う。「何で挑戦するんだ?」みたいな声に僕は興味がない(前段で書いた通り、KENTA選手に新日本プロレスの伝統を伝える意味でも重要な意味を持つ試合であるためだ)。
色々な意見がある中で僕はこう思った。
今回はサプライズ抜擢だ。そのため、自分のため(だけ)に戦うという気持ちになれないのではないか、と。
棚からぼた餅で手に入れた東京ドームのシングルマッチ。
いつでも行ける準備はしていだが、まさか本隊の仲間がこんなことになるだなんて...。
彼の気持ちを考えると、とてもじゃないが自分が自分がという気持ちなれない。
それじゃ120%が出ない。そこで、考え方をシフトさせたのではないか。
ジュース・ロビンソン選手を待つ。KENTA選手に勝利し、彼と挑戦権利証の防衛戦を行う。
そこで勝利してはじめてジョン・モクスリー選手が待つ「IWGP USヘビー級ベルト」への道へと進もう、と。僕は個人的にそう解釈している。
KENTAの苦難
最後にKENTA選手の目線で少し考えたい。既に挑戦権利証の防衛は4回。小島聡選手との試合も合わせれば5度目になる。
『G1クライマックス』とは異なり、いつまでに防衛していればいいのか?という期日もない。
ジョン・モクスリー選手のタイトルマッチが決まるまでKENTA選手は赤いブリーフケースを守り抜かなければならないのだ。終わりのないマラソンほど辛いものはない。
ただ、その状況についてKENTA選手はこう言及している。
KENTA「(不機嫌そうな表情でやって来て)おもしれえじゃん。なあ、どうせいつになるかわかんねえ、いつジョンモクが来るのかもわかんねえ。いいよ。やってやるよ、じゃあ。小島? いいね、このなんかうまくいかない感じいいじゃん。凄え俺っぽくていいじゃん。好きだよ。こういうの好きだよ。やってやるよ」
上手く行かない感じが俺っぽくていい。順風満帆じゃない感じが好き。オフロードを楽しめるくらいの器量がKENTA選手にはあるのだ。
人ってなんだかんだでチャンスが来たら自分が特別だと思いがちだし、楽な道を選びがちなものだ。僕もそう。
ただ、小島聡選手が大チャンスでも本隊の仲間のために戦うと言った強さ。KENTA選手が上手くいかない状況を自分らしくて好きだと言った強さを忘れないように生きていきたい。
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