エル・デスペラードによるマスター・ワトへの公開説教のワケ

エル・デスペラードによるマスター・ワトへの公開説教を振り返る。

2020年12月23日に行われた『バルサン Presents WRESTLE KINGDOM 15 in 東京ドーム』の“第2弾記者会見”。

今年は対戦相手が確定していなかったり、記者会見に参加できないレスラーが続出するなど、例年稀に見る記者会川となった。

中でも一番の衝撃を残したのはこの2チームによる記者会見ではないだろうか。

金丸義信選手&エル・デスペラード選手VS田口隆祐選手&マスター・ワト選手による「IWGPジュニアタッグ選手権試合」だ。

この記者会見でエル・デスペラード選手はマスター・ワト選手に対し、「お前のことが大嫌いだ」と前置し、徹底的に非難した。

その内容はまるで新卒社員を叱るマネージャーのよう。

一見すると理不尽なことを言っているように見えて、マスター・ワト選手が抱えている課題を突きまくっているにも思った。

1番の最初の口撃は「言葉に感情がない」だった。

正直に言うと、僕も同意見である。マスター・ワト選手からはイマイチ感情が見えて来ない。

最初はどうか分からないが、“ディーバ”の天山広吉選手が気付けばバックステージで本人よりもメッセージを発するようになったことも、この課題を見抜いてのことなのではないかと思っている。

まずはこの問題の難しいところにあるついて考えていく。

 ※内容に関係ないが可愛い。

 

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感情が無いわけでない

「言葉に感情がない」

ただ、感情が乗っていないだけで、実際のところは本人の言葉通り「やる気しかねぇよ…」という感じなのだ。

心はやる気で満ち溢れていても、声に乗ってこない。相手に自分の真意が伝わらない。そうなると、人を動かすことができない。

ここ数年の新日本プロレスを振り返ると、試合内容のレベルが高いのは当たり前。ここがまず大前提にあって、さらにその上で“言葉”が強いレスラーがトップへと上り詰めている。

ここで大切なのは軽快にトークができたり、単純に喋りが上手いだけじゃダメだということだ。

試合後の1番キツい時に、どんな言葉をファンに投げかけられるか。

どうすればファンの心を動かすメッセージが生まれるのか。

そのために必要なのは自分のキャラクターを理解した上で、的確な言葉を適切な声で発するということだ。

他ユニットのメンバーと比較するのも失礼な話だが、グレート-O-カーン選手は既にそれが完成されている。

誰一人、グレート-O-カーン選手に対して、感情が見えないとは言えないだろう。

日々、感情が炸裂しまっくている。今、プロレスラーとして生きていて、本当に楽しいんだろうな?ということがビンビンに伝わってくる。

まずは、記者会見中に一度も“グランドマスター”という単語を発さなかったことから見直す必要があるのではないだろうか。

自分の個性を掴み、爆発させ、表現する。

プロレスラーとは民衆の心の代弁者でもある。そう考えると、エル・デスペラード選手の指摘は十二分に的を得ているのだ。

 

エル・デスペラードが説教した理由

2020年の新日本プロレスで飛躍したレスラーの名前を挙げよと言われれば、ジュニア部門のMVPはエル・デスペラード選手だと個人的に思っている。

渡航制限で“ガイジン”レスラーが参戦できないと見るや、無差別級へ名乗りを上げ、「NEVER無差別級タイトルマッチ」を実現。

小島聡選手と「KOPW2020」でも大きな盛り上がりを作った。

そして、「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア30」では、リーグ戦トップで優勝決定戦へ駒を進めた。

金丸義信選手と共に過ごした時間が彼を変えたのか、あの手この手の一点攻撃や間の取り方など、エル・デスペラード選手のスタイルが完成した一年になったように思う。※棚橋弘至選手も敵ながら...と前置きしつつこの点に触れていた

そんなエル・デスペラード選手は興味深いことを言っていた。

「光が輝くほど闇も大きくなる」と。

高橋ヒロム選手という最大のライバルはいるが、プロレスは同じ相手とばかり試合をしていても、ファンから飽きられるという問題がある。※いわゆるリマッチ地獄というやつだ。

エル・デスペラード選手にも新しい「光」となるさらなる敵が必要なのである。

マスター・ワト選手は、新しい「光」になるポテンシャルを秘めたレスラー。そう認めたからこそ、公開説教に踏み切ったのではないだろうか。

そうではなければ、エル・デスペラード選手ほどの男が若手レスラーの言葉に言及するはずがないのだ。

 

ベルトを足掛かり...

エル・デスペラード選手が光に肥料を与える記者会見となったわけだが、確かに一点だけ僕も完全に同意した箇所があったので、最後に触れておきたい。

マスター・ワト選手が「IWGPジュニアタッグベルト」を軽視していた点についてだ。

デスペラード「(※何も言わないワトを見限るように)はい、OK。よし! えーと、あとね、もう1コ頭にきてんのはね、このベルトをを獲って“第1歩”とか“足掛かり”とか、そういうことを言ったけど、ベルトである以上、チャンピオンシップのタイトルホルダーなんだよ、俺たちは。な? このタイトルを、“足掛かり”とか、そういう位置づけにするな。獲れてもいないヤツが(※語気を強めて)。

出典:新日本プロレス

「IWGPジュニアタッグベルト」はあの伝説のタッグチーム“ユニオーネ(ミラノ・コレクションA.T.さん&タイチ選手)”でも戴冠できなかったベルトだ。

今回も“ロッポンギ3K”のYOH選手が長期欠場に入っていなければ、タイトルマッチは別の組み合わせになっていたに違いない。

実際、高橋ヒロム選手ですら何度挑戦しても手にできていないベルトだったりもする。

色んなレスラーの色んな気持ちが詰まっているのがベルトなのだ。

一度戴冠したレスラーが「取り返すことが第一歩」というのは分かる。ただ、一度もこのタイトルを取れていないベビーフェイスが使う言葉としては乱暴だったように思う。

金丸義信選手も「オイ、それとタイトルマッチ、オイ、奥の“青髪”(ワト)。お前しだいだからな、しっかりしろ」と言及。

本当に期待も何もない場合、こんなことは言われない。このタイミングでも「田口、ふざけ過ぎなんだよ」で締めたっていいわけだ。

それを敢えて、マスター・ワト選手へ言及する意味があるのだ。

非常に耳が痛い話だろうが、自分の中で咀嚼して受け止めて、変化させることにネガティブなことは一つもない。

これからのマスター・ワト選手に期待したい。

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