辻陽太が最大のチャンスで動けなかった理由

辻陽太が最大のチャンスで動けなかった理由について書きたい。

「行け!蹴っ飛ばせ!強襲しろ!!!」

2021年1月25日の新日本プロレスの後楽園ホール大会。言葉を選ばすに言えば辻陽太選手が最大のチャンスを棒に振った。

あんまりレスラーの行動に対して、それぞれが選んだ結果として素人がわちゃわちゃ言うものではないと理解しつつも、心から勿体ねぇ...というエピソードがあった。

2021年のイッテンヨン東京ドーム大会で飯伏幸太選手に敗れた内藤哲也選手は「Road to THE NEW BEGINNING」のシリーズを「ノーオクパード」だと宣言し、自分に絡みたいレスラーからの名乗り出を待っていた。

結果、美味しい獲物として噛み付いたのは3人。

今シリーズで直接対決が多い本間朋晃選手。現在の新日本プロレスで最も熱い男の1人“UNITED EMPIRE”のグレート-O-カーン選手。

そして、“ヤングライオン”辻陽太選手だ。

名乗りを挙げたもののグレート-O-カーン選手は天山広吉選手との抗争が激化。

その試合はノーコンテストを繰り返すなど、最近の新日本プロレスではあまり見ない平成の香りがする展開が加速している。

実質、内藤哲也選手に噛み付くチャンスがあるのは本間朋晃選手と辻陽太選手の2人に絞られていた。

また、“制御不能なカリスマ”自身も辻陽太選手を熱望するメッセージを出しており、ラブコールが実る可能性を感じていた。

ただ、辻陽太選手は最大の因縁が生まれるチャンスで一番普通の行動を取ってしまった。

 

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ロープを上げてしまった

憧れているが故、頭が良く、視野が広いが故。色々な理由は思いつくがあのシーンだけは、勝負をかけるべきだったと僕は思っている。

状況の説明をする前に今の内藤哲也選手について少し触れておこう。

ベルトを失った内藤哲也選手はあの頃(2015年〜2016年)のようにとにかく入場が遅くなった。いや、多分、あの頃よりも遅いくらいだ。

エントランスミュージック“スターダスト”の一番が流れ終わっても姿すら見せないのは、本当に久しぶりのことである。

現在の社会状況的に新日本プロレスとしては、早く興行を終わらせなければならない。

内藤哲也選手は元チャンピオンだ。団体のトップに立つ者としてそんなことは理解している。

ただ、せっかく足を運んでくれたお客様に自分ができる最大限の楽しみを提供しようという気持ちが、以前にも増して強くなっている。

となると、最初にやるのが遅い入場だ。“制御不能”になったばかりの頃。あの頃を彷彿とされるような行動にファンは酔いしれている。

本間朋晃選手をファンを徹底的に焦らす。そんな中で、決定的な瞬間が訪れた。

セコンドについている辻陽太選手に対して、内藤哲也選手がロープを上げるように指示したのだ。

まぁ、これ自体はしょっちゅうある光景だ。

内藤哲也選手がロープを上げろというジェスチャーをするのは決して珍しくない。

ただ、状況が状況だった。

辻陽太選手は内藤哲也選手へ直接対決を求めているにも関わらず普段通りにロープを上げてしまったのだ。

 

内藤哲也からの説教

まず、僕が素晴らしいと思ったところから書く。

試合は試合。セコンドはセコンド。自分を切り分けて、立場をわきまえた行動を取った。

真面目な大人な対応としては100点である。

先輩である本間朋晃選手とマスター・ワト選手が待っている状況で自分が出しゃばる訳にもいかないという気持ちだって分かる。

辻陽太選手は頭がよくて真面目だ。絵に描いたような好青年で応援したくなる。

ただ、職業はプロレスラーだ。サラリーマンじゃない。

もしもの話かつ同期の話、さらに想像の話で恐縮だが、上村優也選手が鈴木みのる選手に同じことを指示されたら、襲いかかりはしないまでもロープを上げなかったと思う。

「あんたに俺は喧嘩を売ってるんだ。絶対にそんなことはしない」と。

辻陽太選手はバックステージで「(内藤哲也選手が)僕のスペルエストレージヤ」だと語っている。

メキシコ遠征を希望していることからも“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”に加入したいのだろうという意思がファンの側にも伝わってくる。

ただ、“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”は切磋琢磨するユニットである。

尊敬とは理解に一番遠い感情だ。高橋ヒロム選手は「プロレスを教えてあげようか?」と手を差し伸べた内藤哲也選手の手を取ったにも関わらず言うことを聞かなかったという逸話がある。

プロレスラーとしての我の強さ。ここが辻陽太選手にとっての伸び代なのだ。

この日、バックステージの内藤哲也選手も凄かった。

「それより俺が、今日ガッカリしたのは、辻! 辻! (対戦候補ランキング)“単独首位”に立ってる辻が! (俺の)入場のとき、『ロープ開けろ』って言ったら、素直に開けちゃったよ(苦笑)。オイオイ、オイ!? 俺と対戦したいんだろ!? 試合じゃないよ。対戦相手ではない、今日はたしかに。でも、あんな所で俺の言うことを素直に聞いてる。あんなんじゃ、ちょっと俺はガッカリだよ。かつて、まだヤングライオン時代だったジェイ・ホワイトは、俺の指示に従わなかったよ。『ロープ開けろよ』と言っても、彼は開けなかったよ。そしていま、彼は己のスタイルを確立してるよ。そういうところ、将来的に差が出てしまうんじゃないの!? いや~、あの辻の姿には、俺はガッカリだぜ。ガッカリだよ」
「俺の名前を出したから、すんなりシングルマッチ組まれるとでも思ったの!? まあ、たしかに俺は、いまノー・オクパード。忙しくないよ。むしろヒマだよ。でもさ、名前を出しただけで、簡単に対戦できると思われちゃ困るね。名前を出しただけじゃ、俺の対角線には立てないよ。俺とシングルマッチできないよ。辻、そのへん、しっかり考えて、また明日以降のシリーズ、セコンドなり、試合なりしたほうがいいよ。いや、ガッカリだぜ。本間!? 本間にはもうすでにガッカリを通り越しちゃっているからさ。いや~、辻にはガッカリだぜ」 

出典:新日本プロレス

ファンの言葉を代弁するのが内藤哲也選手の特技。ここでも「制御不能が帰ってきた」ことを証明している。

 

2月へ最後の挑戦

ご存知の方も多いと思うが、新日本プロレスは2021年2月1日と2日の対戦カードが通常よりも1試合少ない。

5試合が組める状況で4試合しか発表されていないのだ。

レスラーの動きを見て対戦カードを増やすという意思が感じられる。

辻陽太選手にとってはチャンスなのだ。シングルマッチに漕ぎ着けることができれば、それをキッカケに物語が動き出す可能性だってある。

ガッカリした内藤哲也選手を振り向かせるチャンスは2度。1月28日の長野大会と1月30日の愛知大会だ。

“ヤングライオン”辻陽太はもうクォーターバックじゃない。制御不能に暴れまわる姿を僕は心待ちにしている。

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