SHO「IWGPジュニア、そしてこの新日本ジュニア。メッチャ楽しいな!」

SHO「IWGPジュニア、そしてこの新日本ジュニア。メッチャ楽しいな!」

2021年2月10日、新日本プロレスの広島大会1日目。

メインイベントは“王者”高橋ヒロム選手とSHO選手の「IWGPジュニア選手権試合」だ。

1日目のメインはジュニアかつ“生え抜き”の戦い。2日目の「IWGPヘビー&インターコンチネンタルW選手権試合」は“外から来た”飯伏幸太選手とSANADA選手が激突する。

先日行われた「NEVER無差別級選手権試合」が元ドラゴンゲートの鷹木信悟選手と“生え抜き”の棚橋弘至選手だと考えると、今回のシリーズのメインは非常に考え深い。

一般企業でも新卒と中途の社員に違いはない。同じ給料テーブルが採用されるし、福利厚生も一緒。強いて言えば研修を受ける回数が違うくらいだろうか。

ただ、同期のキズナというものが存在する。ふとした瞬間に出る想い出話は中途のメンバーにはない歴史そのものである。

この日の高橋ヒロム選手とSHO選手の試合にはそうした「同じ釜の飯を食べて、夢を語った空気感」が存在していた。

これは内藤哲也選手とオカダ・カズチカ選手だったり、高橋ヒロム選手VSエル・デスペラード選手だったり。

2人だけの歴史が試合に込められると、一気にエモーショナルさが加速する。これがプロレスの醍醐味だろう。

SHO選手はこの試合に照準を合わせて、全てを整えて来た。

 

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支えられ、背中を押された

SHO選手は文字通り“不倒”の精神でこの試合に臨んでいた。

高橋ヒロム選手の攻撃を受け、耐え、返す。自分からは倒れない。

「倒れろ!!!」と高橋ヒロム選手が叫びながらトラースキックを何度も見舞っても倒れることをしない。

その姿勢は間違いなく、誰かを支えられるレスラーの強さを持ったそれだった。

自分からは倒れない。絶対に倒れた方が楽だ。もう一発受ける必要もないし、受け身で衝撃も逃がせるし、ダウンして呼吸を整えることだってできる。

それでもこの日のSHO選手は倒れなかった。

大切なリストバンドとレガースが彼を支えた。夢が彼の背中を押した。

対戦相手の研究だってメチャクチャやってきた。「ニュージャパンカップ」で鷹木信悟選手から初勝利した時のように、相手の技を分析し、リズムに乗らせない戦い方を実践していた。

この日の解説席に座っていた棚橋弘至選手が「ヒロムが流れを作ろうとしても、そうさせてくれない。今日のSHOは凄い」といったニュアンスのことを何度も語っていたように、VS高橋ヒロム、「IWGPジュニアヘビー」初戴冠に全神経を研ぎ澄ませていたように思う。

 

圧倒的な主人公性

SHO選手は以前、不器用だし、持ち上げて叩きつけるくらいしかない。自分にはパワーしか無いと謙遜しているシーンがあった。

彼の最大の武器はそのパワーやキレキレの肉体よりも圧倒的な主人公性にあると僕は思っている。

ライバルに恵まれていると言ってしまえばそれまでの話なのだが、ライバルを作るのが非常に上手いというか自然とそういった関係性が醸成されていくというか。

鷹木信悟選手との因縁もキッカケは新日本プロレスに来た最初の試合で、「ラスト・オブ・ザ・ドラゴン」をモロに食らって敗れたところからスタートしている。

今回、SHO選手は関係構築の更に先を表現してきた。

この試合を通じて、SHO選手に足りないものがあると言えば、ショックアロー以外で勝利する方程式になると思う。

田口隆祐選手のオーマイアンドガーアンクルやKUSHIDA選手のホバーボードロック、石森太二選手のボーンロック。彼らが関節技でも試合を決められるように、SHO選手も新しいフィニッシャーが必要なフェーズに突入したと僕は思っている。

この試合、SHO選手はホバーボードロックを繰り出した。SHO選手とKUSHIDA選手の「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア」の名勝負(2018年5月27日)は定点カメラで実況なしにも関わらず今でも記憶に残っている。

俺は『プロレスは技術でもない、力でもない、気持ちだ』って言ったよな。でも! 今日の一番の敗因は、技術の差だ。クソッ! 超えたい、超えたい壁、KUSHIDA。でも、まだまだ高い壁。デケェよ。

出典:新日本プロレス

あれから2年半。技術を超えた先にあるチャンピオンとしての輝き、カリスマ性、引き出しにSHO選手は敗れた。

素人意見で大変恐縮なのだが、勝負に引き分けて試合に負けた。これが、SHO選手の結果だったように思う。

紙一重。僅差。100回やって100回負ける雰囲気はなかった。ただ、勝敗を分けた点があるのならば、シングルプレイヤーとしてタイトルマッチを戦った経験値だったように思う。

トーナメントやリーグ戦の場合、その先を考えた試合運びをする必要がある。いわゆる大人な戦い方だ。ただ、タイトルマッチはそうはいかない。全てを出し切ってベルトを守るという強い意思がチャンピオン側に発動する。

タイトルマッチで勝つことの難しさを改めて感じた試合となった。

 

あなたの夢はなんですか?

パートナーのYOH選手の復帰が迫ってきた2021年2月。SHO選手はベルトこそ巻くことができなかったが、最高の経験を積んでいるように思う。

圧倒的な主人公性で“ジュニアのカリスマ”の前に立ち、戦うところまでは来れた。

後、もう一歩。このもう一歩が難しい。これがプロレスの醍醐味であり、長く応援する魅力とも言えるのだが。

今回の試合を見て、“ならず者”が興味を抱いたらしい。

粗いまんま、荒くなってる。

不器用で真っ直ぐな田中翔。いい意味で何も変わっていないSHO。ただ、メチャクチャ変わってる。進化し続けている。

「IWGPジュニア、そしてこの新日本ジュニア。メッチャ楽しいな!」

そう言える強さが今のSHO選手にはある。新日本ジュニアの頂点に立つ“目標”。誰かの支えになるレスラーという夢。

SHO選手に改めて元気と勇気を貰った日になった。

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