なぜ、内藤哲也はIWGPインターコンチネンタルを選んだのか?

なぜ、内藤哲也はIWGPインターコンチネンタルを選んだのか?

いよいよ内藤哲也選手が動いた。箱根駅伝の2区を走る外国籍留学生くらい早いよという意見もあるとは思うが、僕としては完全に待ってましたという状況となった。

SANADA選手との激戦を制した後(SANADA選手については明日触れる予定)、飯伏幸太選手の前に現れた内藤哲也選手。

丁寧語を交えながら「新しい神」とおちょくる姿は、かつての「王様論争」や「2016年の棚橋程度にならなくてよかった」を彷彿とさせる。

二冠のリマッチ権を行使か...?と思いつつ、多くのファンが固唾を飲んで見守る中、一番面白く一番筋の通っていて、一番見たい試合の提案を行った。

これよ。この内藤哲也選手が僕は大好きなのよ。ファンの心理を読み取って、半歩先、斜め上くらいの提案を行ってくる。

内藤哲也選手だけができるファンが満足しかない挑戦表明だった。

ちなみにオカダ・カズチカ選手、EVIL選手は不透明決着が続き、ベルト戦線に行ける状況ではなく、ジェイ・ホワイト選手も石井智宏選手と抗争中。

棚橋弘至選手は『NEVER無差別級王者』。鷹木信悟選手は挑戦する権利は持っている(G1で飯伏幸太選手に勝っている)が、彼が挑んだ場合、黒か二冠での挑戦となる可能性が高いはずだ。

さらに、黒を単独指名する可能性がある後藤洋央紀選手は『IWGPタッグ』での挑戦が確定している。

つまり、この状況で明確に白を宣言して統一プランに待ったを掛けられたのは、内藤哲也選手しかいなかったという現実もあるのだ。

 

f:id:yukikawano5963:20210212072543p:plain

制御不能なカリスマと白いベルト

「IWGPインターコンチネンタルベルト」。

「IWGP US ヘビー級ベルト」の誕生によりその存在価値が揺るがされ、いよいよ統一(封印)される話題まで出たタイトルである。

元々は2011年1月。新日本プロレスのアメリカ興行に併せて、IWGPインターコンチネンタル王座の設立が発表された。

インターコンチネンタルの名前通り、元々は海外マットと新日本プロレスをつなぐ役割が想定されていたよう。

中邑真輔の時代

ただし、2012年7月に「CHAOS」の中邑真輔選手の手に渡ると事態が急変する。

まずは、ベルトのデザインを変更(いわゆる10円玉発言)。更には中邑真輔選手が独特な世界観のもと、チャンピオンロードが築かれていくことになった。

2014年のイッテンヨンではファン投票の結果、「IWGPヘビー級選手権試合」を抑えて、メインイベント(正確にはダブルメインイベントの第二試合)にまでたどり着いた。

現在でも最長保持者、最多防衛記録は破られていない。

中邑真輔選手の色に染まった白いベルトだったが、彼が海を渡ったことで新展開を迎えることとなった。

 

制御不能な白へ

2016年下期以降は、“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”の“制御不能なカリスマ”として君臨した内藤哲也選手を中心とした物語がスタートすることになる。

ただし、中邑真輔選手とスタンスは大きく異なり、「俺はこのベルトが欲しいなんて一言も言っていない」の一点張り。

「IWGP USヘビー級ベルト」が誕生した際には、ベルト破壊の行為に及ぶなど(棚橋弘至選手が修復後、ベルトは新調された)、内藤哲也選手と白いベルトには特別な因縁があった。

ベルトでドリブルする。踏んづける。ぶん投げる。置いて帰る。リングの鉄柱に重っきり投げつける...。

流石にやり過ぎた!とファンから圧倒的な支持を得ていた内藤哲也選手へはじめて反対意見が飛び交ったのもこの時期である。

給食が食べれなくて残されてる子を見た時くらい、もう勘弁してやってよ...と「IWGPインターコンチネンタルベルト」には同情したものだ。

一方で、棚橋弘至選手やクリス・ジェリコ選手などベルトを大切に扱う側がフォーカスされることにもつながったような気がする。

そんな内藤哲也選手が「IWGPインターコンチネンタルベルトを持ったままIWGPヘビー級ベルトに挑戦する」という手段のためではなく、単なるリベンジ(リマッチ)のためでもなく、はじめて「IWGPインターコンチネンタルベルト」に挑戦すると言い切ったのだ。

 

統一に反対という意見

内藤哲也選手の主張は飯伏幸太選手がぶち上げた「ベルト統一」に待ったを掛けるというもの。

シンプルにその主張(IWGPヘビーとIWGPインターコンチネンタルの2本を一本にすること)には反対だと断言している。

つまり、どちらかのベルトを獲ってしまえば目的は達成されることになる。

ただ、タイトルマッチをするのであれば「IWGPヘビー」の方がいいのではないか?と考えてしまいがちである。

僕は考えるいくつかの理由はこれだ。

  1. IWGPヘビーに行った場合、ますますIWGPインターコンチネンタルの価値が無くなるため、統一する理由に拍車を掛けてしまう。
  2. IWGPヘビーに行ったら面白みのカケラもない。
  3. IWGPヘビーにいきなり挑戦するのは流石に時期早々過ぎてファンの支持率が得られない。
  4. IWGPヘビーとIWGPインターコンチネンタルが同価値というニュアンスで物語が進んでいたため、旗揚げ戦でジュニア王者と戦う権利を提案する通行手形。
  5. 実はIWGPインターコンチネンタルのことが嫌いじゃなくなった(最強よりも最高に興味あり)

こんな感じである。逆にもしもあの場で「IWGPヘビー級」に挑戦表明していたら、ここまで盛り上がることはなかったはずだ。

「なぜ、内藤哲也は敢えてIWGPインターコンチネンタル」を選ぶのか。

そして、「二冠」提唱した彼が自らが何度願っても叶わなかった、単独でのタイトルマッチをぶち上げることに意味があると思うのだ。

過去の二冠挑戦者であるKENTA選手やEVIL選手、飯伏幸太選手(高橋ヒロム選手を除く)にどちらか選んでくださいと質問すれば恐らく全員が「IWGPヘビー級ベルト」と答えたはず。

どちらかを選べるなら価値の高い黒。にもかかわらず内藤哲也選手は白を選んだ。

内藤「リング上で言った通り、つい1カ月前に東京ドームで完璧にスリーカウント取られてしまったんでね。ま、簡単に『またそのベルトに挑戦させろよ』なんて言える状況ではなかった。でも、彼の言った『2本のベルトを1本に統一する』というプランには、俺はどう考えても反対だったわけですよ。ま、ただ、“そんなのヤダ、絶対反対だ”って思っててもね、思ってるだけじゃやっぱり誰にも何にも伝わらないんで、ここは行動起こすしかないでしょ。
だからこそ俺は、リングに上がりましたよ。この統一プランに関してさ、今日放送席にいたけど、棚橋弘至はどう思ったのかな? オカダ・カズチカはどう思ったのかな? そのへん聞いてみたいよね。俺はやっぱり、反対かな。“統一してくれよ”っていう思いで、東京ドームで彼に2本のベルト渡したわけじゃないんで。

まあ、ただ、チャンピオンベルトをどう扱おうが、それはチャンピオンの自由だと思うよ。俺もかつて放り投げてきたし、壊してきたしね。でもそれはチャンピオン、ベルト保持者の特権だから。どう扱おうと、チャンピオンの自由だから。だから飯伏のプランもいいと思うよ。ただ反対だと思うのであれば、行動を起こしてベルトを獲るしかない。だからこそ俺はリングに上がった。まあそのあとのプラン、いろいろ俺の中で想像してるよ。いろいろ出来上がってるよ。ただそれは今この場で言うのはもったいないなあ。俺の携帯番号知ってるでしょ? このあと早いもん順だよ。俺に電話取材の依頼をしてきたらいいよ。ただしただし、俺は取材を受けるか受けないか、その答えはもちろん、トランキーロだけどね。

出典:新日本プロレス

 

史上初の偉業と統一と

自らの手で飯伏幸太選手にベルトを手渡した内藤哲也選手だったが、まさか統一のプランをぶち上げるとは思わなかったよう。

新日本プロレス生え抜きの気持ちがそうさせるのか。統一反対の真意については未だ不明だが、間違いなく「IWGPインターコンチネンタル」を獲るために、動きはじめている。

以前、内藤哲也選手は状況に応じてプランが変わると言った旨の発言も残していた。

もしも、この日SANADA選手が勝っていれば、統一プランは無くなり恐らくは返上のなっていた可能性もあるため、結果が出るまで動けなかったということだろう。

「二冠」を巡る物語は最終局面へ。内藤哲也選手が白のIWGPを“神”から強奪することはできるのか。

そして、全く同じ日に海の向こうではとんでもないことも起こっていた。

「IWGP」が今、揺れ動いている。

★新着記事★ 

www.njpwfun.com

→【ランキング参加中】人気プロレスブログはここからチェック!【クリックで応援お願いします】

→NJPW FUNのTwitterフォローはこちら