SANADAがベビーフェイスに転向しづらい理由
SANADAがベビーフェイスに転向しづらい理由について考えてみたい。
2021年2月11日の新日本プロレス広島大会で、飯伏幸太選手との「IWGPヘビー&IWGPインターコンチネンタル選手権試合」に臨んだ“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”のSANADA選手。
前哨戦の段階から「俺は光を探している」、「ベルトを持つことでSANADAがもっと輝く」とプロレス界の新しい“希望”という立ち位置のコメントを出していた。
実際の試合でも、クラシックなグラウンドでの攻防から試合はスタートし、じわじわとギアを上げ、掟破りも炸裂。最終局面まで目を見張る試合を展開。
彼の師である武藤敬司選手の言葉を借りれば今回のタイトルマッチは素晴らしい“作品”となったと言って過言ではないだろう。
そんな試合後に、再び飯伏幸太選手が口を開いた。
前回に続き、SANADA選手を新日本本隊へスカウトする発言だ。飯伏幸太選手の真意はどこにあるのか。
新しい神が見据える新世界とSANADA選手はどうリンクしているのか。ギフトを受け取った飯伏幸太選手の主張を考える一方で、SANADA選手が動きにくい“トレンド”についても考えてみたい。
THX 神
— SANADA (@seiyasanada) 2021年2月11日
THX 広島#njnbg
ヒールが人気の時代
2000年代からちょっと悪い雰囲気(ガチ悪ではなく、悪そうな雰囲気も纏っている)を持っているタイプが最も人気を集める時代に突入した。いわゆるギャル男。LDH系とも言える。
外見は悪そうに見えるが、話してみると案外腰が低くて穏やかで優しい。そんなギャップだ。
“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”が一番分かりやすいか。
ユニット結成時はヒール要素がかなり強いユニットだったが、2016年頃からベビーフェイス化が進む(正確には鈴木軍が新日本プロレスに戻ってきて以降)。
今では「ベビーでもヒールでもない」という立ち位置かつ反体制のヒールに位置こそしているが、その実体を考えると9割はベビーフェイスだ。
内藤哲也選手はサミング以外(最近はサミングも減り、ご時世的に唾が吐けないため)、ベビーフェイスのファイトスタイルである。
高橋ヒロム選手や鷹木信悟選手に至っては、もうヒールの要素すらほぼない。団体やブランドを背負って、正々堂々とぶつかる。彼らの生き方は真っ直ぐでユニットの枠を超えた人気につながっている。
EVIL選手(離脱済み)とBUSHI選手はヒールファイトする傾向にあるが、毒霧が使えないご時世のためほぼクリーンな戦いっぷりとなっている。
そして、SANADA選手。試合内容や言動を見てもその全てがベビーフェイスである。
強いて言えば入場コスチュームのみが、ヒールという見方もできる...というレベル。※タイツになれば黒い棚橋弘至選手という例もある
ベビーでもヒールでもない“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”において、SANADA選手以降の加入メンバーは全員ベビーフェイスというのが現状だったりする。
ただ、SANADAは“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”を離脱することが難しい。
ギャップがなくなる
前述した通り、SANADA選手はその全てがベビーフェイスなのだが、ヒールユニットに身を置いているというギャップが魅力の一役を担っている。
SANADA選手が“SANADA”として作ってきたブランドが飯伏幸太選手の言葉で全部壊れる可能性があるのだ。
近年、ヒールが自然とベビーフェイスに寄っていく中で明確なフェイスターンを果たしたのは、ロビー・イーグルス選手のみ。
強いて言えばケニー・オメガ選手も“ゴールデン☆ラヴァーズ”再結成により、フェイスターンしたとも言えるが、“ジ・エリート”の枠からは出なかったことを考えると(ゴールデンエリートはマジで飯伏幸太選手を引き抜く気だったのだろうなと、書いていて気づいた)、ヒールのままベビーフェイスの動きもするいいところ取りタイプな立ち位置だったとも言える。
SANADA選手はヒール側にいるベビーフェイスだ。だからこそ、単なるベビーフェイスになってしまった場合、今の個性が潰れてしまう可能性がある。
ここまでが僕の単純な考察。ただ、あの飯伏幸太選手が何の狙いもなくSANADA選手をベビーフェイス(新日本本隊)へ誘う訳がない。
--まずSANADA選手についてうかがいたいんですが、終わった後に握手をしながら、何か声を掛けていたように感じたんですが、どんな話をしたんでしょう
飯伏「聞きたいですか? 多分もう、わかると思いますよ。彼はたぶん、そういう言葉は好きじゃないかもしれない。いろいろ、たぶん好き嫌いがハッキリしてるし、もしかしたら僕が思ってることが嫌いかもしれないし。話をしてないからよくわからないですけど、ま、SANADAさんは、ベビーフェースだろうと。なんか迷ってるように、僕は感じるんですよ、いつも。“本当に、そこでいいのか?”っていう。それを、結果を出してから、彼は結果を出してから次に行きたいっていうコメントを出してましたけど、僕はそうは思わなくて、もうどんどんどんどん、先に進んだ方がいいんじゃないかって。そういう言葉で、『こっち側じゃないか』っていう言葉が出てきたわけで。まあでも、言うのはこれが最後ですよ」
もっと輝くために
ここで新日本本隊について考えてみる。他のユニットと比較すると高年齢化が目立っている。ヤングライオンとヤングライオンと年齢が変わらないマスター・ワト選手を除くと、一番若い日本人レスラーが飯伏幸太選手なのだ。
ヤングライオンがグレて帰ってくるのが定説だと考えると、海野翔太選手だって危うい。また、辻陽太選手はどう考えても“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”に興味津々と言ったところだ。
「CHAOS」との共同戦線も珍しくはなくなったが、実体としての新日本本隊は年齢層に偏りがある。SANADA選手をそういった意味でも欲しいと言うのは現実的なユニット抗争を考えると正しい選択だとも言える。
もしも、SANADA選手が本隊に来るとしても大切なことが一つある。“SANADA”のままでいることだ。
今のキャラクターを保ったまま、ビジュアルや雰囲気もそのままに新日本本隊へ移籍する。これができればギャップこそなくなってしまうが、非常に面白いことになる気がする。
飯伏幸太選手のタッグパートナーとして、天才タッグを組むことが可能となる。また、シングルプレイヤーとしても本隊には明確なリーダーがいないため、序列に関係なく挑むことだってできる。
「IWGPヘビー」を巻く。プロレス界の希望になる。この2つを実現するのであれば、新日本本隊への移籍は決して悪い話ではないと僕は思うのだ。
変にベビーフェイスに寄せるのではなく、あくまでも今のままでがミソになるが。
シャイニング・スターとコールド・スカル。コールド・スカルから次のステップが新日本本隊にあるのかもしれない。
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