永田裕志と真田聖也ではなく、SANADAが10年振りに激突
永田裕志と真田聖也ではなく、SANADAが10年振りに激突した。
2021年2月17日、新日本プロレスの後楽園ホール大会でショッキングな出来事が。
“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”内藤哲也選手がこの日の試合を欠場するという。
確かに前日のセミファイナル中に違和感はあった。
永田裕志選手の攻撃が内藤哲也選手の右膝に入ると、すぐさま鷹木信悟選手へタッチ。その後も試合に戻るまで時間がかかっていた。
試合後のリング上で「鷹木式アイシング」も行われていたが、時すでに遅しと言ったところだろうか...。
この日、内藤哲也選手はファンの前に姿を現すと、「残念ながら、今日、皆様に内藤哲也のプロレスをお見せできなくなってしまったこと、心よりお詫び申し上げます」と痛むであろう右膝を堪えつつ、挨拶をした。
以前、内藤哲也選手は棚橋弘至選手が負傷欠場し、前哨戦が全て無くなったことがある(2017年の「IWGPインターコンチネンタル...だったはず)。
その際に、腕は負傷していても、脚は動くのだからファンの前に出て挨拶すべきと自論を述べていた。
僕の記憶にある限り、内藤哲也選手が“耳たぶ”の痛み以外で急に欠場するのは“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”を結成してからはじめてのことだと思う。大事にならなければいいが...。
一方で、対戦カード変更によりとんでもないシングルマッチが誕生した。
永田裕志選手対SANADA選手。2人がシングルマッチを戦うのは実に10年振り。
10年前は全日本プロレスのチャンピオンカーニバル決勝戦で激突していた。
本日後楽園ホール大会では急遽この対戦カードとなりました。
— 永田裕志 (@nagata769) 2021年2月17日
複雑な気持ちで迎えたシングル戦でしたが、お互い非常に波長の合った試合となりました。
結果は残念ながら敗戦でしたが、明日に向けてとても良い試合内容だったと思える試合だったような気がしました。#永田裕志#SANADA#新日本プロレス pic.twitter.com/LsGO2ErbQt
青と青の対決
永田裕志選手がここ数年タイトルマッチから遠ざかったと言っても、2020年には激闘の末に鈴木みのる選手を破っている。
この日、対角線に立つSANADA選手は「IWGPヘビー級&IWGPインターコンチネンタルW選手権試合」に臨んだばかりということで、ある意味鴨がネギを背負ってやってきたというものだろう。
「IWGPヘビー最年長戴冠記録」を樹立するための踏み台になるのか。
10年前、永田裕志選手は真田聖也“SANADA”選手を破り、全日本プロレスのチャンピオンカーニバルで優勝を飾っている。
その時、「物凄く将来が有望」だと語った男と突然の再戦。誰しもが驚きを隠さなかった瞬間だろう。
こちらは2011年4月14日のコメント。
──5日間を振り返って、どんな5日間でしたか?
永田 「新日本プロレスの選手と違う、スケールの大きい選手の揃った闘いでしたね。大きな選手が多かったし、一発一発がやっぱり。闘いの間も素晴らしかったし、若くてイキのいい真田選手のように急に上がってきた選手もいたし。でも、そんな中で闘って勝ち抜いて、『俺はまだまだやれるな』っていうのも感じましたね。いまも結構しんどい闘いではありましたけど、まだ余力がある。だから、そんな中で真田選手という若い芽が出てきて、一瞬脅威と思える場面が何度かあって、闘っている最中不安になったという。やっぱり勝利を確信できるのは最後の最後なんだなって。物凄く将来有望な選手が決勝に出てきたなって。様々な因縁がある中で、ボク個人の因縁を吹き飛ばして決勝に上がってきた真田選手に敬意を表します」
ミスターIWGP
現在、IWGPヘビー級王座の最年長記録は天龍源一郎選手が持つ49歳10ヶ月である。
現在、永田裕志選手は52歳。「IWGPヘビー級王座」に返り咲くことができれば一気にその記録を伸ばすことにもつながる。
年間の試合数こそ減った(若手に譲ったとすら思える)ものの、一度リングに上がれば高いコンディションを見せ「俺はいつでもいけるよ?」とアピールを続けてきた。
この日、SANADA選手に12分1秒で敗れてしまったものの、見応えある好勝負となった。ぜひ、実際の試合を見て欲しい。
まずはじっくりとしたロックアップからリストの取り合い。
優勝決定戦でもタイトルマッチでもスペシャルシングルマッチでもない“第4試合”。
ただ、2人の放つ空気がリングに目線を集中させる。
手四つの体制から力比べへ。年齢を重ねると共に反射神経や動体視力は落ちるというが、こうした力の部分はどうなのだろう?また、グラウンドもそう。これも技術がものを言う世界であり、年齢とともに進化し続けるのではないだろうか。
色々なことをことを考えているとSANADA選手がセカンドロープからラウンディングボディプレスを発射。勝負あり、だ。
プロレスリング・ノアを見れば武藤敬司選手が58歳1ヶ月で「GHCヘビー級王座」に輝いている。
永田裕志選手もこれからだ。そう感じさせるようなファイトだったと僕は思う。
エネルギッシュなお前が欲しい
試合後、普段は必要最低限しかコメントを残さないSANADA選手が口を開いた。
SANADA「10年前(2011年4月13日・全日本プロレス『チャンピオンカーニバル』決勝戦)も同じカードで。で、同じコーナーだなと、今日思って。なんか、ヒストリーがあるといいですね。こういうの好きなんですよ」
こういうことを言ってしまうのはあまり良くないと思うのだが、お互いに余力を残した戦いだったように思える。
絶対に負けられない10年前と突然決まったシングルマッチでは感情の入り方も変わるのは当然だ。
ただ、今の新日本プロレスでトップ戦線を走るSANADA選手が余裕で永田裕志選手を破ったのかと言われるとそうではない。
10回やって10回勝つような雰囲気には見えなかった。
永田裕志選手が黒いガウンを纏って臨む試合を久しぶりに見たい。そう感じさせるヒストリーのあるシングルマッチだった。
嫌になっちまった
— 鷹木 信悟(SHINGO TAKAGI) (@Takagi__Shingo) 2021年2月15日
腹が立っちまった
理由もなく
口が切れたんだ...💥
良い打撃を貰うと勝手に熱くなるね🔥
ミスターiwgp⁉️
その片鱗をもっと感じたいぜ...😏#njcattack#LOSINGOBERNABLESdeJAPON🇯🇵#勇次 pic.twitter.com/nMKOUW0Fxs
運命的なシングルマッチの一方で永田裕志選手は鷹木信悟選手にも影響を与えている。
永田裕志選手の姿が(永田裕志選手が新日本プロレスで最後に戴冠したシングルベルト)『NEVER無差別級』の申し子を『IWGP』の世界に誘うのではないか。僕はそう考えている。
『NEVERの申し子』と『ミスターIWGP』の関係はどこにたどり着くのか。
まだまだやれるプロレスラー。エネルギッシュな永田裕志選手の活躍に期待したい。
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