新日本プロレスファンがプロレスとアート思考について考えてみる

新日本プロレスファンがプロレスとアート思考について考えてみる。

2021年2月21日、YouTubeで面白いライブ配信があった。

タイトルは「はじめてのアート思考ナイト」。昨今、ビジネスマンを中心にアートが流行り始めている(個人的にはブルーピリオドという漫画を読んでいる関係でアートに多少の興味はある)中での番組なのだろう。

こうしたコンテンツを目にした瞬間にプロレスと結びつけてしまうのが僕の性だ。

先日、潮崎豪選手を破り「GHCヘビー級王者」となった武藤敬司選手は自身の試合について「作品」だと語っている。

この2つの点と点が線としてつながったため、配信イベントをチェックしてみることにした。 

先日、あなたにとってプロレスとは?という企画をTwitterで開催した際、本当に色々な思いや価値観が飛び出して、色々と学ばされたわけだが、プロレスをアートとして見てみると、また一味違った楽しみ方があるのかもしれない。

後述するが、本配信で使用された書籍「『自分だけの答え」』が見つかる 13歳からのアート思考」の中で、アートとは「作品が生み出される過程である」と述べられている。

プロレスとは過去の試合の全てが一番新しい試合の過程であると解釈すると、さらに深みが出てくるような気がする。

オカダ・カズチカ選手が1年間封印していた“レインメーカー”を2021年の東京ドームで解禁した時。棚橋弘至選手が2019年に「IWGPヘビー」を戴冠するまでの感動巨編。先日の後楽園ホールで流した涙のワケ。

内藤哲也選手が“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”を“仲間たち”と結成し、スターダムを駆け上がった日々。

武藤敬司選手が潮崎豪選手を破った時の技が、2001年に全日本プロレスの武道館大会メインイベント三冠ヘビー級選手権試合で蝶野正洋選手を破った技(もっと沢山使っているのだが)だと知っていると、カタルシスさらに深くなるのではないだろうか。

プロレスとアート思考。今日はそんなお話を書き進めていきたい。

 

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内藤哲也と武藤敬司の話

前述した通り、武藤敬司選手にとってプロレスの試合とは対角線に立つ相手と共同作業で生み出す“作品”である。

作品とは「一般的に、芸術活動によって作られた制作物」を指すらしい。

つまり、プロレスとはリアルなエンターテインメントであり、芸術。もう一歩踏み込むと、プロレスとはアートという側面もあるのではないかと思う。

人によって作品を見た時の解釈が全然違う。

例えば絵画について。

テクニックを知っている方からすれば、タッチ(表現方法)は...という見方もできるし、ルネサンス時代について知見のある方であれば「この絵が誕生した歴史は...」となる。

プロレスで例えると...。

技を知っている方が見れば、このレスラーは基本を抑えつつアレンジしているな?という感じで見るだろうし、デビュー当初から試合を見ているレスラーとなれば「彼が変わったのはあの試合からだよね?」となる。

一概にこれが正しいという解釈でもないが、一つの見方として面白いと思う。

2012年、内藤哲也選手と武藤敬司選手が東京ドームで激突する際の会見でこんな話が繰り広げられていた。

——昔のことを持ち出されて、いい気分がしないのでは?
武藤「かと言って、プロレスっていうのは、新日本にいるときから“作品”と言ってる中で、去年、(東京スポーツ新聞社制定プロレス大賞で)ベストバウト賞獲ってるの、俺と小橋(建太)だよ!?(8月27日日本武道館/対矢野通&飯塚高史) アイツら、獲れた!?」
——その時々の“作品”があるということですね?
武藤「そうだよ。まあ、素晴らしい“作品”になるように、明日は努力しますよ。できる範囲で」
——いい“作品”になるには内藤選手しだいという部分もあると思いますが?
武藤「そりゃそうだろうな。俺は少なからずとも、きっと多くの“作品”を残しているから、この新日本にもいまだに招かれるわけだ。“作品”が失敗したとしても、アイツの責任になるからな。ウチのリングじゃないからね、これ。汚したって何したって、アイツの責任になるからね?心してかかって来ないと。俺、アイツのせいにするもん(キッパリ)」
出典:新日本プロレス

 

アート思考とは何だ

そもそも「アート思考」とは何か。

端的にまとめるとアーティストの価値観や表現を基にした考え方を指すらしい。他人ではなく、自分起点だったり自分の軸を基準にした考え方を「アート思考」と呼ぶ。

 

ビジネスの世界において、データや過去の実績に囚われすぎると柔軟な発想ができなくなってしまうと、危惧されている。

データはもちろん、参考にするべきただが、それを使いこなすのはあくまで人。そうした考え方の軸としてアート思考が存在するのだろう。

今回のライブ配信では、アート(絵画)の見方について触り部分が語られていた。

「この絵のどこがいいと思ったのか?」、「色使いについてどう思うか?」、「形や輪郭で気付くことはあるか?」、「筆の使い方はどうか?」など。

絵をざっくり見るところから、もう一歩踏み込んで、この絵を見てどう感じるのか?について考えて見ることがアート思考の第一歩となるらしい。

youtu.be

※本配信では音で本を聴きながら、アート思考の解釈を深めるというアプローチを取っていた。僕自身、活字以上に分かりやすいと感じたため、今日のコラムを読んでアート思考に興味が出た方はぜひ、チェックしてみて欲しい。

 

プロレスをどう見るか?

この試合は何がよかったのか。どこで泣けたのか。どこで目を奪われたのか。

絵画とは異なり、すぐに状況が変わるプロレスだが、たった一発のエルボーで一気にレスラーの世界へ引き込まれることがままある。

じっくり、じっくり試合を見てみると新しい発見がある気がする。そうした習慣をつけていくと、毎日のように試合(芸術)に触れている僕たちは、とんでもないアート思考が身に付いていくのではないか。

今はそんな予感に胸を膨らませている。

まずは、金丸義信選手の試合から見てみると、分かりやすいかもしれない。

久しぶりに金丸無双で有名なあの「IWGPジュニアタッグ選手権試合」を見たくなってきた。

 

【超大事】本に書いてあること

この本ではアートの本質とは「作品が生み出される過程である」と解釈されている。

ここが最大級にピンときた。

なぜ、身体能力的に脂が乗っているヤングライオンがベテランのレスラーに勝てないのか。

タイトルマッチに辿り着くまでに積み上げてきたレスラーとしての歴史がリングでの試合につながってくるのだ。

表面的に激しい試合をしたとて、未来永劫語り継がれることはない。

そのレスラーがどんな人生を歩んできたのか。その歩みを知ると知らないとで、全くその試合に対しての見方が変わってくる。

2021年2月20日に配信された「NJPW strong」でも棚橋弘至選手は「状況がよくなってUSの選手が日本に来た時、この番組を見ている方は絶対楽しくなる」と語った。

普通に見るだけでもプロレスの試合は楽しい。ただ、その試合(アート)の本質を知るためにはやはり、レスラーについて学ぶことが必要なのだ。

何か上手いところに着地したということで、今日はこのあたりで筆を置きたいと思う。

プロレスをさらに深く理解するためのアート思考。今日からちょこちょこ勉強していきたいと思う。

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