「まっする4」のテーマが深すぎたのでちょっと語らせて欲しい

「まっする4」のテーマが深すぎたのでちょっと語らせて欲しい。

2021年3月9日、17時半。

今、僕は後楽園ホールに向かっている。耳から流れくる音楽は宇多田ヒカルさんの「One Last Kiss」。朝からずっとリピートしているが、全く聞き飽きない。

非常に個人的な意見だが、以前と比較して明らかにイントロが短くなった現代音楽において、Aメロが握っているちからは大きいと思う。

「One Last Kiss」は「はじめてのルーブルは なんてことはなかったわ」という有名美術館の名称から...って長いよ!

さて、今日はDDTプロレスリングの「まっする4東京公演」が開催される。副題はなし。

脚本を手がけるスーパー・ササダンゴマシン選手が脚本を書き終えたのはつい数日前のこと。 

「クラブハウス」で日刊工業新聞を読みながらぶつぶつと言っていた。

「ギリギリで書くことに意味がある」と。

深いようでスタッフからすると「マジか...」と思うことをサラッというあたり、やはり只者ではない。

これが王、いや社長の器なのだ。

さて、つい先程「まっする4 東京公演」を観劇し終わった。

ZOOMでのアフタートークオンラインイベント(打ち上げの生中継)にも参加。

いよいよぼくも「まっする」の沼に肩までバッチリ浸かっているなと自覚しつつ、今回の公演を振り返っていきたい。

 

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0.4が期待を超える空間

僕が「まっする」の魅力に取り憑かれたのは、2020年9月に開催された「まっする3~必殺技大乱発~大公開通し稽古」である。

新日本プロレスの試合を追いかけ続けて早くも4年近くが経った僕が、「今年のベストバウトは?」と聞かれれば「色々好勝負はありましたけど、HARASHIMA選手と平田一喜選手の試合かしら」と答える。

1人の男が自分の全てを曝け出して、先輩に挑む。

「気持ちをぶつけさせて下さい」だなんて、男名利(ジェンダー的な話はさておき)に尽きる言葉ではないか。

あんな風にデカすぎる壁として存在したい。あんな風に素直に自分のことを出してみたい。

「カッコいいとはこういうことさ」をあんな風に表現し切った「まっする」に感服し、この公演を見て以降、会場へと足を向けている。

前回のメインイベントでは、「2.9インテット」で必殺技男子!とパイプ椅子男子が激突。結果はドローに終わっていた。

あれから約5ヶ月。いよいよ「まっする4」が開演した。

まっするのテーマは2.9次元ミュージカル。

これを僕なりに解釈すると、リアルとファンタジーの栄え目が極端に薄いことを意味しているのだと思う。

2.5次元ミュージカルはいわゆるイケメンの舞台俳優が漫画(アニメ・ゲーム)作品を三次元のステージで表現する。

原作やキャラクターの再現と舞台ならではのオリジナリティ溢れる演出が中心軸にある。

一方で2.9ミュージカルは0.4だけ、役者の個性と現実に起こっていることに委ねている。

流れはあっても最終的なセリフは本人に決めて欲しい。

このライブ感こそが2.9次元ミュージカルの魅力なのだ。

一度しかないので、どこからが台本でどこからがアドリブかは判断がつかない。

ただ、台本を0.4超えた瞬間、胸がいっぱいになり、心が揺れる。

そんな時間を体験できるのが「まっする」の魅力なのだ。

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歌は全てを解決する

ジャズには楽譜が存在しない(正確には譜面通りに演奏しなくてもいい)代わりにスイングすることが求められる。

今回の「まっする4」は、相手との「呼吸」を合わせて、1人ではなくパートナー(対戦相手)と共に熱を作っていく。ここが目玉だったように思う。

「まっする3~必殺技大乱発~大公開通し稽古」では平田一喜選手の感情の爆発を描き切り、「まっする3~必殺技大乱発~」ではプロレスラーが“ガチ”に挑むと共に5人の男たち、そして見守る者たちのドラマを生み出した。

今回は、「仕切り直し」をテーマに、プロレス未経験者のRAM RIDERさんことラムライダスティ・ローデス選手とことホンダスティ・ローデス選手(アントーニオ本多選手)が親子の絆を魅せたメインイベントとなった。

このオチが歌だったわけだが、非常にこれが素晴らしかった。

歌は、音楽は全てを水に流して解決してくれるほどの魅力がある。

有名な作品の数々で「歌」が重要な役割を担っているのもそういうことなのだ。

今、僕たちは辛く凹んだ2020年を経て、仕切り直しの年である「2021年を生きている」。

仕切り直すには気力も体力も必要だ。下を向いていては何もできない。

そんな世界中の人々に向けた応援歌が今回のラストを飾った「STAY GOLD~打たれても打たれても~」だったのではないだろうか。

それも口パクではなく、生歌で。

テープではなく生ならではの魅力が必ず存在する。

その場の感情が声に乗る。この揺らぎが人の心を動かすのだ。

必殺技男子!がこの曲を聴いてヒールターンをやめたように。

最初は笑っていた僕が途中から聞き入って、最後には目頭を熱くしていたように。

今回の「まっする4」は人に多くの勇気と元気を与える内容になっていたのだと僕は思う。

初めてリングに上がり、プロレスの試合をした上でキーボードを弾いたRAM RIDERさんの勇気と度胸。そして、それまでに積み上げた努力あってこそのステージだったと改めて感じた次第だ。

 

ラップとプロレス

最後に。

今回のもう一つの目玉が必殺技男子!とパイプ椅子男子のラップバトルである。

現代のプロレスラーにはマイク(言葉)の強さも求められるとはまさにその通りである。

リングの上で強いだけでなく、言葉も魅力的でなければトップに立つことはできない。

そんな時代だからこそ、フリースタイルのラップを彼らにぶつけた構成が非常に上手かった。

実際、練習期間はかなり短かったらしい(コメント読んでいただきありがとうございました)。

ただ、上手くやるよりも気持ちで表現することのできる10人だ。

敢えて練習時間を凝縮することで、頭ではなく身体でラップすることを求めたのだと僕は解釈している。

これが顕著に出たのが彰人選手と樋口和貞選手のバトルだ。本当にその場の即興をぶつけたのだと思う。

「お前さぁ、一体何でココにいんだよ」

「DDTが好きだから!」

「ラップなんかもういいよ。後から来た秋山なんかに負けんじゃねぇぞ。俺はなぁ、お前らみたいに昔からDDTにいるヤツがよっぽど大事なんだよ!」」

「最後のアドバイス、心に効いたぜ。ありがとうございます」

相手への気持ちをラップに乗せ合う2人。その表情が何とも美しいのだ。

普段は身体をぶつけあっているプロレスラーがラップに挑戦する。

この掛け合わせも「まっする」ならではの魅力である。

これから「まっする4」は3月18日に大阪公演を控えている。

「まっする」は生で見るに限る。それは映像データに圧縮されない空気感がその場に存在しているためだ。

ネタバレなんて関係ない。先の展開を知っていても楽しむことができるのが真のエンターテインメントなのだ。

ぜひ、大阪でさらにパワーアップした「まっする4」を見届けて欲しいと思う。

これが、「俺の気持ちの話」だ。

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