KENTA「高山さんが見て喜んでくれる試合だったらいいな」に感動

KENTA「高山さんが見て喜んでくれる試合だったらいいな」に感動したファンも多いと思う。

僕もその1人だ。ひょっとしたら名前を出すかもしれないと思ってはいたがらまさかこのタイミングで来るとはと面食らってしまった。

「2020年は俺の年だってこと!」

東京ドームで史上初の偉業を成し遂げた内藤哲也選手を背後から強襲し、“令和のテロリスト”という異名を手に入れたKENTA選手。

この一件で圧倒的なヒール(悪役)としての地位を確立し、常にブーイングが飛び交う男になるかと思ったら、とんでもない方向に向かっていくこととなった。

ベビーフェイスもヒールも超越したダークヒーロー“KENTA”。

もう彼を誰もヒデオ・イタミと呼ぶ者はいないだろう。

2021年3月13日、KENTA選手は「ニュージャパンカップ2021」で鈴木みのる選手と16年振りのシングルマッチを戦った。

結果は猛攻に耐え切り、“go 2 sleep”を見舞ったKENTA選手の勝利。入場から試合後までとんでもない試合だった。

と、詳細に触れる前に少し時計の針を戻してみたい。2005年8月27日。鈴木みのる選手との一戦を控えた試合前のKENTA選手にアナウンサーが直撃していた。

「今の気持ちは?」、「そうっすね。まぁ...楽しみっす」

ここから16年が経つと、メッセージも180度変わる。

「Twitterでも、いろいろ俺、いじってんスけど、ミズキさん(鈴木みのる選手をオカダ・カズチカ選手風に言っている)全然、反応してくんないじゃないッスか」

爽やかな好青年は40代に突入し、男の色気を放ちまくるダークヒーローとなった。

アスリート特有の肉体的なピークがプロレスラーにとってのピークとは限らない。

直近の怪我や古傷と付き合いながら、新しい自分を探し、向き合い、何かを見つけていく。

本来であれば、ブーイングを浴びまくるはずのKENTA選手に大歓声が集まっているのは、決して偶然じゃない。

 

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新聞読んでるんですけど...

2005年の試合では、鈴木みのる選手が先に入場を果たしていた。

「風になれ」の大合唱が会場でできないのは本当に寂しいことであり、これが一番慣れないと言っても過言ではないかもしれない。

この試合では約2分をかけて入場した鈴木みのる選手。

一方でKENTA選手は1分ちょっと。そして、リングに上がるや否や、鈴木みのる選手を強襲した。

若さ溢れるパワフルでフレッシュなKENTA選手のスタイル。

これが16年経つととんでもないことになる。

コスチュームに中京スポーツを忍ばせて入場を果たしたKENTA選手。

鈴木みのる選手の見せ場である入場中にいきなり新聞を広げると、じっくりと読み始める。

さらに、まるで自宅かのようにくつろぎはじめたではないか。

これが今のKENTA選手なのだ。では、KENTA選手が掴んだものとは何なのだろう。

 

今のKENTAの魅力とは?

「新日本プロレスで好きなレスラーは?」

ファン同士が初対面で会った時に出る定番の質問だろう。

僕は基本的に箱推しスタンスなのと、こうして日々コラムを趣味で更新していることもあるので、特定の誰かを挙げることはあまりない。

ただ、試合やバックステージ、SNSなどその動向を一番チェックしているレスラーは?と聞かれるとKENTA選手なのかもしれないなと思う。

“バレットクラブ”加入後、KENTA選手は水を得た魚の様にイキイキとその存在感を爆発させはじめた。

「NEVER無差別級チャンピオン」時代は、相手レスラーを徹底的に弄りまくり、注目度を高め「二冠戦」では内藤哲也選手を完封するほどのコメント力を見せつけた。

試合でも終始、内藤哲也選手を圧倒。独特の間とハードヒットの絶妙なバランスが彼の強さの真骨頂なのだと、世間に見せつけた。

「ニュージャパンカップUSA」の覇者になれば、赤いブリーフケースを持って、DREAMS COME TRUEよろしく「何度でも!何度でも!」防衛を重ねた。ベルトではない。権利証を防衛し続けたのだ。

そして、極め付けはAEWへの殴り込み事件。新日本プロレスを主戦場として今も戦っているレスラーがあっちのリングに上がるのは初。

世界中の度肝を抜くことに成功した。

今のKENTA選手の魅力とは「誰でもできる可能性はあるけれど、誰もできなかったことを実現させる力」なのではないか。

SNSでは現代型の前哨戦を繰り広げると共に、変な輩を晒しあげる。

そして、大切なメッセージは消費されるSNSのテキストではなく、自分の口でしっかりと伝える。

2021年3月11日。愛媛・アイテムえひめ大会のバックステージをKENTA選手はこう締めた。

まあ結局、俺が何が言いたいかっていうと……まあ今日で(東北大)震災から10年。被災したそれぞれの人たちの、それぞれの10年に、心から敬意を表します……ってこと

出典:新日本プロレス

 

感動のバックステージ

今回の「ニュージャパンカップ2020」では、一回戦で本来であれば東京ドームで戦うはずだったジュース・ロビンソン選手を破って二回戦へ進出。

鈴木みのる選手へのリベンジマッチが実現した。

新聞を読んだり、場外までを幅広く使ってカリカリさせたり。全ては今の鈴木みのる選手から勝利を収めるための布石だったように思う。

ゴッチ式パイルドライバーを直接ゲームオーバーに繋げる動きを見ても相当この日の試合を意識してきたことが分かる。

内藤哲也選手が鈴木みのる選手を破った時のように、受けに回り続けて最後の最後で逆転する戦法を取ったKENTA選手。

最近ではあまり見ることができなった“激しいKENTA”まで飛び出し、見事16年越しのリベンジを達成した。

そのバックステージでサプライズは起こった。太ってんなぁ!のカメラマンが実は23歳だったことではない。

高山善廣選手へのメッセージが飛び出したのだ。

KENTA「オイ、勝っちまったな、今日も。どういうこと? (※ビデオカメラマンに向かって)(会場に)来てる時……なんかやった? お前、『G1(CLIMAX)』の時から。すごいじゃん。お前の力すごいな? な? (※カメラは軽く上下に動くのを見て)ウンじゃねえよ、調子に乗んな! 俺が勝ったんだよ! なんでお前の力なんだよ! ふざけんなよ。俺だろ、試合したの? お前、なんにもしてねえんだろ! 太りやがって……。お前、いくつだ、歳?」
--23です……。
KENTA「(※苦笑しながら)老けてんな、オイ。老けてんな、オイ。座ろうか……(※フロアにあぐらをかいて)。いや、きつかったな、正直。効いたわ。効いた……。もうすごい効いた。でも、勝ったのは俺。負けたのはミズキ(鈴木みのる)。それが事実だから。高山(善廣)さんが見て喜んでくれる試合だったらいいな。なあ、昨日、何の日だったか知ってる? (※カメラが少し上下に動くと)知ってんの? 俺の……誕生日。知ってた!?(※カメラが上下に動くのを見て)なんか……なんか(プレゼント)あるの?(※と言って手を出すもなにも出てこない)何にもねえのかよ……。(※気を取り直して)。違う違う。こうしちゃいられないよ。メイン見ないと。こんなこと、くだらないこと話してる時間じゃねえよ。メイン見て、次(準々決勝)の相手、しっかり見極めないと。わかった? はあ、効いた。でも勝ったのは俺!

(※立ち上がりながら)結局、俺が何言いたいかっていうと、20代から30代になった時もまあいろいろ思うことはあったけど、30代からまた40代になった時もまたなんか、特別な思いがあるよね。後悔なく生きろよ、お前も20代を……

出典:新日本プロレス

2005年8月27日。鈴木みのる選手が勝者インタビューを受けている場に高山善廣選手が姿を現し、こう言った。

「よく頑張ったよ」

今日のこの試合を見て高山善廣選手はどう思ったのか。きっとこの日と同じようにニッコリと笑っていたら僕も嬉しい。

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