なぜ、内藤哲也はエスペランサを辻陽太に使ったのか?

なぜ、内藤哲也はエスペランサを辻陽太に使ったのか?

2021年3月30日の新日本プロレス後楽園ホール大会の第一試合で内藤哲也選手が“ヤングライオン”辻陽太選手に“エスペランサ”を繰り出した。

なぜ、敢えてエスペランサだったのか。今日はこの点について考えていきたい。

まずは、内藤哲也選手の“エスペランサ”について少し補足しておこう。

内藤哲也選手は“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”結成以前からここぞ!というタイミングに新技を披露してきた。

いくつか例を出してみる。

2011年の「G1クライマックス」で初披露されたエボルシオン(進化)

「IWGPヘビー級王座」を奪取するために生まれたグロリア(栄光)。

2013年の「G1クライマックス」に向けて開発されたプルマ・ブランカ(白い翼)。

2015年、“一人ロス・インゴベルナブレス”時代の「G1クライマックス」の棚橋弘至選手戦でお披露目されたデスティーノ(運命)。

2018年に東京ドームのメインイベントで勝つために必要なピースとして開発されたバレンティア(勇気)。

そして、2020年。新日本プロレスの興行自粛明けの無観客試合で初披露されたのがエスペランサ(希望)だ。

 

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サプライズと希望

社会状況の変化から試合ができない日々。次々と発表される興行中止に何度も胸が痛くなった2020年。110日間も興行がなかった。今思えば本当に寂しかった。

いよいよ無観客試合から新日本プロレスが再スタートを切った「Together ProjectSpecial」にぇ初披露されたのがエスペランサだ。

新日本プロレスの興行復活おめでとう!と同じくらい「何だ!?あの技は!?」という声も沢山あがった。

破壊力も抜群で、今週末に復帰するYOH選手が翌日、首にテーピングを巻いてきたほどだ。

エスペランサは新日本プロレスの新しいスタートを露払いする意味もあるし、辛い状況でも新日本プロレスがお客様の希望になるというメッセージが込められていると僕は解釈している。

2021年2月28日、飯伏幸太選手との「IWGPインターコンチネンタル選手権試合」では雪崩式の形でエスペランサを披露。

ダブルチャンピオンである飯伏幸太選手を追い詰めた。

そんな大切な技を敢えてこのタイミングで辻陽太選手に見舞ったのだ。

バックステージで内藤哲也選手はこう語っている。

内藤「チャンスは待ってるだけじゃ掴めない。自分から掴みに行かなきゃ、チャンスなんて絶対に訪れないと、俺は思いますよ。辻が、簡単に俺の名前を出していることに関して、ハッキリ言って迷惑でしかないけど、今日、俺があえてエスペランサって技を使った意味を、辻はよく考えた方がいいな。今、コロナの影響で、簡単に海外遠征に行けない状況になってしまっている。人間誰しも、時間的に限りがあるわけで、そりゃ焦る気持ちも分かるよ。でもさぁ、こんな時こそ、あの言葉を思い出せよ。そう、まさにトランキーロ! あっせんなよ。

出典:新日本プロレス

 

なぜ、エスペランサだったのか

ヤングライオンがトップ選手に噛み付いた“勇気”を称えてもいいし、これからの“運命”に期待するという考え方もあったはず。

「もっと“進化”しろ!」とメッセージを出してもよかった。

その中で敢えて“希望(エボルシオン)”だった理由はなぜなのか。

「簡単に俺の名前を出していることに関して、ハッキリ言って迷惑でしかないけど」これは絶対に言葉の裏返しだ。迷惑だが、嫌だとは言ってない。

あの頃の自分のようにトップレスラーへ噛み付いてくる辻陽太選手を見て「めんどくせぇなぁ(ニヤニヤ)」が本音のところだと僕は思っている。

続いて、「海外遠征に行けない状況」についても触れた。

そして、焦る気持ちも分かるが、こんな時こそあの言葉を内藤哲也選手をトップに押し上げたあの言葉を思い出せ、と。

「トランキーロ!あっせんなよ」と。

 

僕の解釈

これは僕の解釈なので、内藤哲也選手の本意とは離れている可能性がある。

まず、内藤哲也選手は辻陽太選手を新しい“希望”だと捉えている。

新日本プロレス狂として長年ヤングライオン棚橋弘至選手を応援してきた彼が見出した新世代の逸材。それが辻陽太選手だった。

※プロフェッショナル仕事の流儀での発言から推測

その言葉があったからか辻陽太選手は内藤哲也選手を明らかに意識している。メキシコに渡りたいと言い始めたのも“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”に加入したいが本音ではないかと僕は思っている。

ただし、内藤哲也選手にとって“制御不能”になることが、トップレスラーに上り詰めるための鍵だったが、辻陽太選手にとってはどうなのか。

それが正解なのかはまだ誰にも分からない。

バチバチのベビーフェイスがハマる可能だって十分にある。棚橋弘至選手はそのように育って欲しいと思っているはずだ。

焦ってはいけない。焦ってしまうと正しい判断ができなくなってしまう。

自分への憧れでプロレスラーとしてのキャリアを決めて欲しくない。内藤哲也選手はそう思っているのではないだろうか。

ただし、「お前は新日本プロレスの希望だ」と改めてメッセージは出した。

迎え入れることも突き放すこともしない。

辻陽太選手が焦らずに考えた結果を待つ。これが内藤哲也選手のスタンスなのではないかと、僕は思っている。

ここで、記事冒頭のツイートの動画を見て欲しい。

「明日リング上で俺を楽しませてくれよ!カブロン!」

その言葉通りに内藤哲也選手を楽しませることができたのか?その答えは、内藤哲也選手の胸の中だけにある。

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