ウィル・オスプレイが復権させる“エモい”アスリートプロレス

ウィル・オスプレイが復権させる“エモい”アスリートプロレスについて書いていきます。

昨日は、ジェイ・ホワイト選手が“ヒール版棚橋プロレス”の継承者であると書きました。今日はその対角線に立つ新世代の男について書いていきたいと思います。

“ユナイテッドエンパイア”の“The Commonwealth Kingpin”ウィル・オスプレイ選手。

事実上、現在の新日本プロレスのトップに立つ男です。

“イギリスの飯伏幸太”と呼ばれたハイフライヤーは新日本プロレスで完全に覚醒。ジュニアで圧倒的な実力を示した後に、無差別へ。

2020年にヘビー級変更を果たし、その約1年後に「IWGP世界ヘビー級ベルト」を戴冠しました。

正直に書くのですが、ジュニアや無差別級時代とかなり戦い方が変わっているため、「ニュージャパンカップ2021」優勝まではそんなに期待感がありませんでした。

身体は明らかにデカくなりましたが、キレがなくなってしまった。これが怪我の影響なのか、それとも何かを模索しているのか分かりませんでした。

ただ、「己の全てを出さざる負えない相手」である鷹木信悟選手が対角線に立った瞬間、何かのパズルが完成したような感覚がありました。

まず、2020年の「G1クライマックス」と比較してみると、体つきがぜんぜん違う。ジュニアや無差別級時代と比較するとデカいですが、当時ほどパンパンに膨らんだ感じはありません。

現在が最もパワーとキレが一番上手く同居できる肉体作りに成功したと言えるでしょう。

さて、紹介はこれくらいにして本題に入りましょう。

ウィル・オスプレイ選手を見ていて、あなたはどう思いますか?

 

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ケニー・オメガの再来

僕はウィル・オスプレイ選手というレスラーにいくつかの影を感じています。

まずは、オカダ・カズチカ選手。天から受け取ったデカくて動ける身体能力という名のギフト。新時代の“レインメーカー”であり、これからの新日本プロレス史に残る“ヒストリーメーカー”であることは間違いありません。

もう一人が、ケニー・オメガ選手。頭から落とす技こそ多くありませんが、とにかく打撃がエグい。

ヒドゥン・ブレイドやチェルシー・グリンは全て相手の後頭部を狙います。

もともとヒドゥン・ブレイドはVSヘビー級の要素があったと思います。

肉体の厚みで負けているウィル・オスプレイ選手が暗殺者として、意識を刈り取る。そんな技のイメージです。

ただ、肉体的な厚みで劣るジュニアや無差別級時代とは違い、ヘビー級の肉体で思いっきり襲いかかる様子はとにかくエグい。

思わず「大丈夫か!?」と相手レスラーを応援してしまうほどです。

この感覚って2019年以降の新日本プロレスから無くなっているものでした。いや、性格には棚橋弘至選手が排除した“アスリートプロレス”がウィル・オスプレイ選手の手によって揺り戻されたような感覚があります。

僕がウィル・オスプレイ選手がジェイ・ホワイト選手の天敵であると考えるのはそうした試合の魅せ方の違いにあります。

 

棚橋プロレスとアスリートプロレス

2人の試合はどちらが上、下という話ではなく明らかに魅せ場が違います。

ジェイ・ホワイト選手が細かい伏線を散りばめながら、最後の最後でドンデン返しを持ってくる韓流ドラマのような試合だとするならば、ウィル・オスプレイ選手はハリウッド映画です。

ドカーン!スゲー!ウワー!ここでそれを使うか!という感じ。

今回の鷹木信悟選手との試合でオカダ・カズチカ選手の“レインメーカー”を出しましたが、あれはケニー・オメガ選手がブラディ・サンデーやスタイルズ・クラッシュを出した時と重なるものがあります。

エモーショナルさを一発の技で出してくる。細かい伏線よりも派手さ。いわゆる映えのプロレスです。

ウィル・オスプレイ選手のフィニッシャーはネックブリーカーの亜種であるストーム・ブレイカー。さらにヒドゥン・ブレイドやチェルシー・グリンなども首狙いなので、あの時の一撃は理にかなっていると思います。ギリギリの勝負で身体に刻み込まれた技が出た感動的なシーンでした。

アスリートプロレスという激しさの隙間にエモーショナルを入れることで、単にエグい試合ではなくなる。これはケニー・オメガ選手が提示してきたものでした。

そこに待ったを掛けたのが棚橋弘至選手。彼はアスリートプロレスを品がないと言い切りました。

危険技、こうすれば盛り上がるだろうという掟破り。危険度が高く大味。相手を引き出すのではなく、攻めまくるプロレスに「付き合う方の身になれ」という意志があったような気がします。

ただ、SNSを中心に盛り上がる試合はどちらかと言われるとアスリートプロレスに軍配が上がるのは間違いありません。

それを分かっているからこそ、棚橋弘至選手は早期に待ったを掛けたのでしょう。

どちらが上、下という話ではなく右、左でスタイルが全然違う。

歴史ある弁当の中身を変えずに包装紙だけを豪華にしたのが棚橋弘至選手。お弁当の中身自体を変えようとするウィル・オスプレイ選手。

“棚橋プロレスの継承者”であるジェイ・ホワイト選手による代理戦争が起こるのは避けられない道だと言えるでしょう。

 

時代に求められた男

飯伏幸太選手の長期政権でスタートすると思った「IWGP世界ヘビー級王座」はウィル・オスプレイ選手の手によって大きく動き始めました。

まだどうなるか分かりませんが、東京ドームでのオカダ・カズチカ戦が既に決定しています。

オカダ・カズチカ選手は2019年1月5日以降、一度もタイトルを戴冠できていません。凱旋帰国後、「ニュージャパンカップ」や「G1クライマックス」を含めて、ここまで結果が出ていないのは初めてではないでしょうか。

2021年の東京ドームから半年。ここ最近の実績で考えれば、オカダ・カズチカ選手が明らかに不利です。

正直、鷹木信悟選手を沈めた試合を見ていて、今のオカダ・カズチカ選手で勝てるのかと思ってしまう自分もいます。

彼の進撃を止めるのは対局にいる棚橋弘至選手あるいはジェイ・ホワイト選手しかいない。僕は今、そう思っています。

ただ、そんな予想をぶっ飛ばして結果を残すのもオカダ・カズチカ選手の真骨頂。きっと、何か新しい景色を魅せてくれるに違いありません。

昨日、今日と書いてきましたが、「IWGP世界ヘビー級ベルト」誕生と共に、何かが動き始めています。

明日は2021年の新日本プロレスについて書いていきます(続くんかい)。

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