音楽とプロレス、消費されないコンテンツの価値

疲れた時には音楽が必要だ。

昨晩の話である。いや、時間はもう少し巻き戻した方が分かりやすいか。

パートナー企業から届いた連絡をチームに流した際、明らかな認識の齟齬があった。

確実に僕がキチンとメールを見ることができていない。サラっと読んだだけの自覚はあったが、こんなにも内容が理解できていないとは...。

簡単にいうと、肉体的、精神的に少しやられている。いや、やられはじめている、が正解だろうか。

エナジードリンクと栄養ドリンクで強引に身体と脳を動かしている感じ。本音を言えば、このブログを書くのすらやめて避暑地のお布団で寝たいところだ。

現実はそんな甘えを許してくれない。

空いた隙間を縫うように細かく入る仕事。今週ここは休めるのでは?と思ったが甘かった。そこもヒョイっと埋まってしまったのだ。

仕事自体が楽しくないわけじゃない。ただ、それでも疲労が溜まりすぎると何とも言えない鬱々とした気分になってくる。

そんな時はパーっと飲みにでも...!とできない制約がここでジワジワと効いてきているのだろう。

一年以上にわたるボディーブローが僕の意識を刈り取らずに肉体を追い詰めていく。

AirPodsのケースだけ持って中身を自宅に忘れるほどに限界を迎えた日。久しぶりに彼の音楽を聴きたいと思ったのだ。

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彼の中はTAKUI

TAKUIいや、中島卓偉という名前を見たことがある方はどれくらいいるだろうか。

僕が高校生の時にメジャーデビューを果たしたシンガーソングライター。

センスのいい楽曲と圧倒的な歌唱力。ステージでのパフォーマンスは業界で高い評価を受けている。

あの西川貴教さんが「昔の俺に似ている」と語り、ZIGGYの森重樹一さんは「自慢の後輩」と表現し、つんく♂さんは「今の日本に俺以外に(笑)こんな素晴らしい曲(メロディ)を書く奴いないのかもしれない」と太鼓判を押した。

TAKUIは日本音楽会における逸材である。

ただ、明らかに評価とヒットが結び付かなかった。高校の時から彼はいつかは売れるだろうと思っていたのだが、20年経ってもまだ一般的な知名度を得るまでにブレイクすることはなかった。

ただ、それでもすごいのは、今でも音楽活動を続けている点にある。

僕はが青春時代を共に過ごした(作品を聴いている側)アーティストの9割が今やバンド活動を休止したり、中には音楽とは別の道を歩んでいる方も多いようだ。

「SIAM SHADE」、「La'cryma Christi」、「FANATIC◇CRISIS」、「Janne Da Arc」。そして「SOPHIA」。

“TAKUI”は今も中島卓偉として活動を続けている。

自らを「大器晩成」だと宣言し、20年前と変わらない声で歌い続ける。

その事実が凄すぎて数年ぶりに彼について調べると驚くことの方が多かった。

https://youtu.be/gHEVH3fC10w

今回の企画を書いているうちにたどり着いた。俺たちの黒ちゃんこと「SOPHIA」黒柳能生さんが7年ぶりにベースを弾いている動画である。

 

音楽とプロレス

さて、ようやくプロレスの話だ。いや、特定のレスラーの話はしないのだが...。共通点にのみフォーカスするので一緒に考えてみて欲しい。

個人差はあると思うが、「レスラーのどこを好きになるのか」。

僕はいろんな要素がある中で、やはり物語性だと思っている。どんな歴史を歩んでこのリングに立っているのか。

その歴史が「頑張れよー!」以外の感情を引き出すのだと思っている。

一発で心を掴むほどにすごい試合をしたとしても、それで一気にファンを得ることは稀だろう。

ファンが生まれるのは「何で彼はあんなに凄いんだ!」と調べるところからはじまる。

つまり、ファストファッションなどに代表される消費されるものとプロレスは対局にある。

消費するのではなく、自らの心に馴染ませる。この“贅沢な時間”がプロレスというジャンルを長く愛されるものにした要素の一つに違いない。

自分で書いててビックリしたのたが、最近のアーティストの曲を聴いても歴史を調べなくなっている。というか、物語性が薄味になっているのだ。

夢を追い求めて上京。バンドメンバーと何度も衝突した結果、メジャーデビューを掴み取る。

この期間に存在した「嘘だろ?」みたいな逸話が見当たらないのだ。

考えてみりゃそりゃそうだ。インターネットが発達した結果、上京せずとも全世界に配信ができる。

楽曲制作の環境も進化を遂げ、一人で作れる時代になった。

バンドメンバーと殴り合い、貧乏しながら夢を掴むんだ!と拳を天に掲げなくとも、YouTubeでいきなりバズる時代なのだ。

昔ならバンドを組んで社会に打って出ようとしていた層がベンチャー企業を作ってITのサービスを作っている。

この20年ですっかり時代は変わってしまった。

物語を歌うアーティスト自身の物語が見えない(見てない、調べられてない自分にも問題がある)。SNSに投稿されるオシャレや面白い「フィルターで加工された日常」ではなく、仲間との話で見えてくる素材丸齧りのヤバいエピソードが知りたいのだ。

 

続けることの意味

ファストファッションの到来で、音楽と洋服も分断され、カルチャーが非常に見えにくくなった。

消費されない。心に残るもの。

人それぞれで全く価値観が異なるので、僕がどんなにプッシュしても「誰やねん」で終わる可能性は高い。

ただ、時代が変わっても、自分自身を変化させながら生きている中島卓偉さんのことを最後に少し書きたい。

彼と出会ったのは(もちろんTV越しに)20年前。色んなバンドの音楽を聴くな中で、急にとんでもないものを発見した気持ちになった。

「ピアス」、「FREE FOR FREE」、「Calling You」。高校の時にこのCD(実際はMD)を擦り切れるくらいに聴いた。

彼が書いた歌詞は今でも心に残っている。

「俺は1000万に一人のエンターティナー」

「『WHO MOVED MY CHEESE?』を読み終えて気付かされたことが2つある 答えはいらない誰のためもない FREE FOR FREE 心臓が生きている」

「今夜、君のBIRTHを祝う だから一つ知って欲しい 生まれた日じゃなく 生んでくれた日ということを 俺はサンタクロースになり 夢を継承していく ALL THIS PROMISE WILL NEVER FADES AWAY」

青春時代に刻まれた遺産がアラフォーにして蘇る。人生とはよく分からないものだ。

追い込まれた時、人は自分の本質に向き合う気がする。

3大欲求の先にある「エンターテインメント」の渇望は、明日を生きる活力以外の何者でもない。

「もう嫌だ、もう無理」と思っていた昨夜が嘘のようにこうしてコラムを更新している。

本音を言えば、今週はもう半年ぶりに休もうかと思っていた。それくらいヤバい。今は朝の6時57分。コラムを書くよりも本業が僕を待っているのだ。

ただ、こうやってコラムを書くことも僕の趣味だし、こうして気持ちをアウトプットすることで見えてくる景色もある。

さて、色々書いてきたので今日はこの辺りで。ビックリすることに普段よりも1000文字多い3000字オーバーになりそうだ。

最後にこの曲を聞いて下さい。

「GLAY」で“生きがい”。TAKUIじゃないんかい!!

週刊プロレス 2021年 05/19号 No.2121 [雑誌]

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