ウィル・オスプレイが「IWGP世界ヘビー級王座」を返上した現実

ウィル・オスプレイが「IWGP世界ヘビー級王座」を返上した現実について書いていきたい。

深夜3時。ふと目を覚まして頭に思い浮かんだのは、“UNITED EMPIRE”のウィル・オスプレイ選手が首の負傷によりイギリスへ帰国したことだった。

首の負傷。ケガの状態は全治未定。新王者決定戦は詳細が決まり次第、新日本プロレス公式から発表されるという。

正直、かなり心に来た。

2020年。ヘビー級へと完全に転向し、グレート-O-カーン選手と結託。元オリンピック選手のジェフ・コブ選手、全てを変えて上を目指すことを決意したアーロン・ヘナーレ選手を仲間に引き入れ、2021年に文字通り新日本プロレスのトップに立った。

最愛にして憎むべき敵であるオカダ・カズチカ選手との東京ドーム決戦が決定したにも関わらず、非常に残念で仕方ない。

ただ、まずは怪我をしっかりと治してほしい。

イギリスでの治療となったのも、本当に長期欠場を余儀なくされるからだろう。

飯伏幸太選手、鷹木信悟選手を破った新世代のチャンピオンが不在となってしまった新日本プロレス。

やはり僕はアスリートプロレスという劇薬にはこういったアクシデントが常に控えているのだと、思ってしまった。

2018年後半に棚橋弘至選手が「品がない」と時代に「待った」を掛けたアスリートプロレス。

激しい試合の代償は、あまりにも大きいものとなってしまっている。

 

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棚橋プロレス

以前にも書いたが、改めてケニー・オメガ選手が提唱したアスリートプロレスについて考えてみたい。

ちょっと飛躍した表現、解釈にもなると思うが、呆れずに読み進めてほしい。

アスリートプロレスはプロモーションビデオのようなプロレスである。

激しく、見どころが連発する攻防。身体能力と圧倒的な度胸を武器にした危険技の連続。

長時間のコンテンツ視聴に抵抗がある層にも分かりやすく届き、SNS映えも抜群。

分かりやすく、刺激的で癖になる。これが新時代に圧倒な支持を集めたアスリートプロレスだ。

ただし、このアスリートプロレスには様々な課題もある。

  1. 試合における起承転結が乏しい(間がない、大技の連発
  2. 選手の負傷リスク(長期シリーズに出場は無理)
  3. そもそもできるレスラーが限られている

まずは1から。この問題に対して、ケニー・オメガ選手が導入していたのが、試合前と試合後に起と結を持ってきたことだ。

新日本プロレスのオフィシャル以外で動画を配信したり、それまで自分が培ってきたキャリアを武器に問題定義やストーリーラインを紡ぐ。そして、ヒールが日本語を使うことで分かりやすく物語を伝える、オチを付ける。

コミカルな展開にしたとしても、それもそれで「転」なのだ。

ケニー・オメガ選手は「G1クライマックス」を制したタイミングで日本語を解禁。ヒールからダークヒーローへ徐々に色をシフトさせ、オカダ・カズチカ選手とのアスリートプロレスで大きな話題を作った。

歴史と伝統、物語性では“制御不能”と化した「IWGPインターコンチネンタル王者」内藤哲也選手と挑戦者・棚橋弘至選手の方が上回っていたが、それを“試合内容の激しさ”で上書きした。

ここからアスリートプロレスが最盛期へと突入。ウィル・オスプレイ選手、髙橋ヒロム選手などの激しいプロレスをするタイプのレスラーが脚光を浴びることとなった。

激しすぎる試合の代償はレスラーの欠場問題へと続いていく。

 

激しい試合の代償

ウィル・オスプレイ選手も本来はジュニアのレスラーだ。

短期間で一気に身体をデカくして、ウエイトの差を埋めヘビー級に挑んだ。その代償がこれではあまりにも辛すぎる。

おそらく今回の首の一件も鷹木信悟選手との試合だけではないはず。

ヘビー級に転向以降、一時キレがなくなっていたが、やはり何かしらの負担があったのは間違いない。

1試合だけではなく、度重なる激戦のダメージ。ファンのために、己のために。そして、愛する人のために。

プロレスキャリアの大半を飛び続けてきた男が翼を一時的に休めることになったのは、本当の大事故が起こる前でよかったとも思う。

今、本当に休んで欲しい。全てが落ち着いたタイミングでの復帰でも構わない。

願うことならまた、元気な姿の彼が見たいのだ。

その時まではこの男に任せる他ないだろう。

 

皇帝とプロレス王

ウィル・オスプレイ選手が帰還するまで、帝国の主役は彼しかいない。

そして、もうひとり。この男もいよいよ動き出す時がきた。エネルギッシュな“裕志”を見て、刺激を受けていないはずがないのだ。

二代目王者。ウィル・オスプレイ選手のこれからに期待しつつ、今後の「IWGP世界ヘビー級」戦線を見守っていきたい。

週刊プロレス 2021年 06/02号 No.2123 [雑誌]

週刊プロレス 2021年 06/02号 No.2123 [雑誌]

 

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