オカダ・カズチカと辻陽太。“ヤングライオン(後輩)”との向き合い方

オカダ・カズチカに学ぶ“ヤングライオン(後輩)”との向き合い方。

2021年6月16日、新日本プロレスの後楽園ホール大会はオープニングの大熱狂。第一試合に“新日本プロレスのエース”棚橋弘至選手が登場し、上村優也選手と激突しました。

棚橋弘至選手は上村優也選手に対して「あまり褒めすぎるのも...」と前置きしつつ、「エース感を持っている」と太鼓判を押しました。

新日本プロレスのエースが次世代のエースへの期待を膨らませる。それぞれからドラゴン殺法も繰り出される展開は、棚橋弘至選手の正統後継者は上村優也選手であると言わんばかりの雰囲気を漂わせました。

エースがしっかりと第1試合を盛り上げたところで第二試合には“レインメーカー”オカダ・カズチカ選手が登場。

彼ならではのスタンスで辻陽太選手と向き合ったのですがこれがとんでもなかったです。

まず、二人の関係性や関連するワードについて触れておきます。先輩と後輩。完全無欠のチャンピオン(今はベルトと距離はあるものの)とヤングライオン。

オカダ・カズチカ選手の第二の故郷はメキシコ。辻陽太選手はメキシコへの海外遠征を希望しています。

また、辻陽太選手は現在27歳。オカダ・カズチカ選手は当時、棚橋弘至選手を破り、AJスタイルズ選手らと「IWGPヘビー級」を懸けて文字通り新日本プロレスのトップ選手として大活躍していました。

さて、本題に入りましょう。この試合。辻陽太選手はオカダ・カズチカ選手の前に完敗しました。何もできなかった。そんな言葉がぴったりハマるほどにオカダ・カズチカ選手は後輩に厳しいプロレスを魅せました。

 

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才能という種を育てる

あなたは後輩とどういう向き合い方をしていますか?優しくて、親切丁寧?それとも厳しくしないと伝わらないこともあると思い、強めに伝えている?

時代性もあるというかここ最近急激に変化したのは、後輩に優しく接したほうがいいという流れです。

ただ、個人的にはただ優しいだけだと人は成長はしないと思っています。

僕が思っている要素は大きく2つです。

絶対的な「飢え」。そして、飢えた心を正しいエネルギーに変える場所。この2つが人を変化させて成長させます。

飢えは文字通り飢餓もありますが、自分が役に立てていない悔しさや現状を変えたいという欲も当てはまります。

ただ、そういった欲を悪い形で解消してしまうだけだと人は成長しません。正しいエネルギーに変換して、何かを成す。更にこのサイクルと同時に技術や心の守破離を繰り返していく。

そうすることで人は何度でも生まれ変われると思うのです。

優しく丁寧に伝えるだけでは「飢え」の養分にならない可能性があるのです。

自分が失敗した。自分が至らなかった。自分がイケてないせいで誰かに迷惑をかけてしまっている(部活で例えるとチームに貢献できていない→諦める。ではなく。どうすれば自分も活躍できるのか本気で考えるみたいな感覚でしょうか)。

才能という種を撒いた土。これが環境だとするならば、失敗は肥料であり養分です。ただし、劇薬でもあります。

劇薬に耐え、正しい水を与えることで才能は花開くのだと持論を述べたとこころで、オカダ・カズチカ選手の話しに戻しましょう。

あなたは後輩とどう向き合っていますか?

 

冷たく冷静な男

オカダ・カズチカ選手の試合を見ていて最初に思ったのが「お前さぁ、何このくらいで痛がっちゃってんの?早く立てよ」という緊張感でした。

ボディスラム一撃でダメージを負った辻陽太選手を冷たい目で見るオカダ・カズチカ選手。そこに優しさなどは皆無です。

先シリーズから先輩たちとシングルマッチを戦う辻陽太選手。自分はある程度通用するのではないか。そんな風に自分自身への期待を高めていたところで、「お前、全然ダメだよ?」と言わんばかりの試合運び。

これは1000の言葉よりも心に来たはずです。

試合中には卍固めを出して、アントニオ猪木さんへ「元気ですか?」とアピール。フィニッシュはレインメーカー式トケ・エスパルダスを繰り出すなど、完全に辻陽太選手を手玉にとった後は、そそくさとバックステージへ引き下がる辺り、「“今は”眼中にない」ということでしょう。

個人的に心に来たのは「どうした“ヤングライオン”」という言葉でした。

敢えて、辻陽太選手ではなく“ヤングライオン”と言った意味を考えてみます。

 

お前は辻陽太として見られているのか?

“ヤングライオン”辻陽太。結局、君はまだこのレベル(ヤングライオン)でしか見られていないよ?この時期にヤングライオンだから“レインメーカー”とシングルマッチが組まれたこと自覚して欲しいという意味があったように思うのです。

オカダ・カズチカ選手が「G1クライマックス」や「ニュージャパンカップ」、タイトルマッチを除くとスペシャルシングルマッチが組まれる事自体かなりレアなこと。

その貴重なシングルマッチで一番伝えたかったことは、“ヤングライオン”を捨てろだったのかもしれません。

「どうした“ヤングライオン”!」

「俺は“ヤングライオン”じゃない!辻陽太だ!」

そんなメッセージを正確に受け取ったのか、辻陽太選手のバックステージコメントは非常に印象深いものになっていました。

辻「(※コメントスペースへ座り込み)ああ、クソッ…! 最後のドロップキックで、一瞬意識が飛んじまった…。俺はまだキャリア3年だが、3年間で受けたドロップキックの中で、1番強烈だった。もう、ヤングライオンとして自分を見るのはやめにしたんだ。俺のことを応援して下さるファンの皆さんもそう思ってるし、俺はヤングライオンじゃなくて、新日本プロレスの1人の戦士として、皆さんに見てもらいたい。

“ヤングライオンとしてレベルが高い”“できのいいヤングライオン”、そんなのはいらない。棚橋さん、タイチさん、オカダさん、そういう人たちと比べていまの俺はどうなのか!? そういう目で見てほしい」

出典:新日本プロレス

恐らく辻陽太選手がオカダ・カズチカ選手と“ヤングライオン”時代にシングルマッチを戦うことは二度と無いでしょう。

だからこそ、この日の完敗を未来への第一歩にしなければならない。そのための点が打たれた試合でした。

この点が線になるのか。それとも点のままで終わるのか。それは数年後のお楽しみです。

最後に。本当に興味がないなら冒頭のツイートにあったように辻陽太選手のコメントを見たりしないでしょう。最高の悔しさを与えた“レインメーカー”の次の一手が気になることろです。

週刊プロレス 2021年 6/30 号 [雑誌]

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