なぜ、棚橋弘至はKENTAに熱くなっていないのか?

なぜ、棚橋弘至はKENTAに熱くなっていないのか?

2021年7月24日の「映画『ゴジラvsコング』PresentsSUMMER STRUGGLE in NAGOYA」で新日本プロレスのエース・棚橋弘至選手とスペシャルシングルマッチを戦うKENTA選手。

“パレットクラブ”に移籍後、常に対角線に立つ相手をおちょくり、彼ならではの視点から煽り続けてきた。

今回のターゲットとなった棚橋弘至選手に対しても例に漏れず、バックステージで彼の胸中を語っていた。

KENTA選手の指摘を分解すると大きく3点ある。

  1. 棚橋弘至選手の気持ちが見えない
  2. エンターテインメント性について
  3. 昔や未来の話ばかり

僕は過去のコラムを見ても分かるように棚橋弘至選手贔屓な男だ。※流石に145本見返す方はいないと思うが

棚橋弘至選手のことを応援し、新日本プロレスを牽引する大エースだと思った上で今回のKENTA選手の言葉には納得せざるを得なかった。

気持ちが見えない。そう。KENTA選手に対する気持ちは前哨戦から伝わってきてはいない。

バックステージでも過去の話や100日後に仕上がる棚橋の話が主。過去の自分と今の自分の比較して苦しんでる様子すら窺える。

ただし、“今”のKENTA選手は違う。今を生きるのだと持論を述べた。

 

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東京ドーム問題

僕は棚橋弘至選手とKENTA選手のリマッチについて東京ドームでやるだろうと思っていた。

ただ、そのアテは外れた。前日の名古屋大会で激突することが発表された瞬間、棚橋弘至選手とKENTA選手はノーテーマで東京ドームに進むことが分かってしまった。

いくら何でも前日のメインイベントでスペシャルシングルマッチを戦った後に移動しての東京ドーム大会は体力的にキツすぎる。

恐らくここから追加のカードがあるにしても、棚橋弘至選手のスペシャルシングルマッチが組まれる可能性は限りなく低いはずだ。

どうしてこんな事態になった。何が悪かった。自問自答を繰り返す逸材。

その結果“今”の最大の敵はKENTA選手ではなく自分だと捉えた。「過去の棚橋弘至」を“今”の相手として見ているのではないだろうか。

KENTA選手に対してイマイチ熱くなっていないのは、そうした要因があるのではないかと僕は推測している。

 

過去の自分が強すぎる

過去の棚橋弘至選手は強すぎる。

“神の子”と並ぶエース。頑張ったら頑張った分だけ結果が出る。

逆風すら味方につけて、全てを追い風に変え、今の地位を作り上げた。

だからこそ思うのだろう。あの頃の俺なら...と。

実際、僕も20代前半の頃は勢いがあったなぁと思う。謎の自信に満ち溢れていたし、ビジュアルにもそこそこ自信があった。

地力は無いけどなんとか上手くやるのが上手い。そんなタイプ。

そんな僕ですら、若い頃はよかったなぁと思ってしまうのだ。

流石に帰りたいとは思わないが、当時の自分が少し羨ましい。そんな感じ。

それが、棚橋弘至選手であれば今とのギャップに悩むのも無理はない。

ただ、それが今を生きているKENTA選手には納得のいかない姿勢だった。

 

100日後に仕上がる棚橋

2019年頃から棚橋弘至選手は自身の肉体だけで誌面を飾るケースが出てきた。

最初はストレスによる激太りが原因だったが、そこから絞るまでのプロセスをエンターテインメント化。同年代のファンからすると「棚橋が頑張ってるから俺も頑張るか...」と熱い支持を得た。

女性ファンから黄色い声援を浴びていた男が気付けば同世代の星となったのだ。

ただ、KENTA選手はその点についてもバッサリと切る。

リング上に繋がろ、と。

棚橋弘至選手の発想はプロレスを知らない人、興味が薄い人に届けるというもの。最近では新日本コンクルソが開催されるなど、リング外での盛り上がりを産んできた。

一方で、KENTA選手のこれまでの動きを見ていると全てリングに繋がっている。

新日本プロレスのファンをどう楽しませるのか。どうやってアイツらの気持ちをリングに向けさせるか。そんな感じがする。

どちらもエンターテインメントに違いないが、少しベクトルが違う。

ただ、言葉にすると納得性があるのは、KENTA選手がこれまでに作ってきた信頼の証である。

今やバックステージ動画の視聴数は新日本プロレストップ。リングの上でも外でも結果を残している男にそろそろ「世界」が微笑む可能性か出てきた。

KENTA「(TVカメラに向かって)座ろうか(と言って、自身も座る)。何あれ? ヒロシ。じゃないほうのヒロシ。なんだあいつ。知ってる? あそこでシングルやんだよ。なんだ、あの、どこだっけ? 都会なんだか田舎なんだかわかんないとこ。どこだっけあそこ? 名古屋! そう、あそこでやんだよ、シングル。ほんで、なんかイマイチ向こうからこの試合に対する思いっていうのを感じねえんだよ。

なんかやってんじゃん。ダイエットだかなんだか知らないけど、腹筋がこうだとか。そんなのマジどうでもいいよ。マジでリング上につながらないそういうのって、エンターテインメントでもなんでもないから。ただの自己満足だから。マジでリング上につなげてくれよ。思いが全然伝わってこねえよ。やるのか? やんねえのか? 勝ちてえのか? 勝ちたくねえのか? 昔の話なんてどうでもいいよ。昔がどうだ、これからがとか、どうでもいいよ。今を生きようよ。俺は今を生きてるよ。(立ち上がって)で、なんかある? 

(誰も質問していないが勝手に)それはもう相手次第でしょう。(またも質問を聞いたフリをして)いやあ、犬派。(続けて質問を聞いたフリをして)ああ、もちろん見たよ。シーズン1もシーズン2も見たし。『死にたくなったら下を見ろ。俺がいる』つって……。見たよ。結局、俺が今日、何が言いたいかって言うと、最近めっちゃ暑いけど、子供が外なのにマスクしてんの、あれ熱中症大丈夫かなってこと」

出典:新日本プロレス

www.njpwfun.com

 

全てを受け入れて今を生きる

最近、歴史を学んでいる。特に幕末の人々の生き方を見て、自分自身を振り返り何かを掴もうともがいている。

「おもしろきこともなき世をおもしろく、住みなすものは心なりけり」

高杉晋作が詠んだ詩だが。※下の句は別の方が書いている。

おもしろきこともなき世をおもしろく。

面白くない世の中(自分が見る世界)を面白くするのは自分の考え方次第だ。

朝起きてコンディションが良ければ、最高だなって思うし、悪ければ何とも言えない気分になる。

いいことがあれば嬉しいし、嫌なことがあれば閉じこもりたくなる。

元気がない時は何もしたくない。気力が溢れている時は「何でも来いや」ってなる。

過去を振り返るといい情報ばかりが思い出される。まぁ嫌なことは思い出したくないからシャットアウトしてるという考え方もあるが。

過去はいい記録を見ることで鮮明になり、輝いて見える。

棚橋弘至選手は過去に素晴らしい功績を残し続けた。それが強さだ。

ただ、KENTA選手は納得できない。

「俺を見ろ」と言い続ける。この言葉を出すまでに地方大会ではノーコメントを貫いていた。

地方大会での前哨戦を経ても気持ちが伝わらないから指摘したのだ。

「棚橋弘至、俺はここにいるぞ、と」

ベビーフェイスは常にヒールの侵略に対して、対抗策を練ってくる。

赤いブリーフケースネタで食い付かなかった新日本プロレスのエースに対して、今度は価値観を問いたKENTA選手。

「STRUGGLE」とはもがく、あがく、争うという意味がある。

棚橋弘至選手の反撃が始まるこれからの「SUMMER STRUGGLE」に期待したい。 

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