なぜ、SHOは“バレットクラブ”を選んだのか?
なぜ、SHOは“バレットクラブ”を選んだのか?
“ハイボルテージ”の“完全にNEXT”は“マーダーマシン”としての姿だった。
黒を基調としたロングタイツ。禍々しいロングガウンとパープルの差し色を見た時にSHO選手が選んだユニットは“バレットクラブ”だろうと直感していた。
そして、“キング・オブ・ダークネス”EVIL選手、高橋裕二郎選手、ディック東郷選手らと“バレットクラブ”内のユニット“HOUSE OF TORTURE(拷問一家)”を結成。
“マーダーマシン”として生まれ変わり、新しい道を歩むことが決まった。
“HOUSE OF TORTURE”は4人中、3人が新日本プロレスの生え抜きである。
高橋裕二郎選手は“ノーリミット”のパートナーである内藤哲也選手を追放し、その後自らも“CHAOS”を裏切った過去を持つ。いわばSHO選手の新しい兄貴分だ。
また、“キング・オブ・ダークネス”EVIL選手は野毛道場で共に汗を流し、同じ釜の飯を食べていた間柄。
そんな彼の接近がSHO選手の中にあった殺意を増幅させたに違いない。
悪魔の囁きならぬ、闇の王の囁きだ。
HOUSE OF TORTURE pic.twitter.com/Dj3LLq4SJx
— SHO (@njpwShowT) 2021年9月4日
高橋ヒロムの予感
以前、高橋ヒロム選手はSHO選手の内に秘めた狂気について語っていた。
ヤングライオン時代からどこからどう見ても好青年。爽やかでリングを降りればむしろ大人しいくらいの若者。
そんなSHO選手に対して、“黒い衝動”が存在するとは思いもよらなかったのだ。
ただ、あの発言はリップサービスではなかった。
昔からSHOは何かを秘めていた。
同じ窯の飯を食ってきた高橋ヒロム選手とEVIL選手、YOH選手、SHO選手しか知らない狂気があったのだ。
高橋ヒロム選手が知っていたということは、EVIL選手も知っていたに違いない。
恐らくこんなスカウトがあったのではないだろうか。
YOH選手の復帰後、タッグが復活したことでSHO選手の爆発力が少し弱っていた。
これは本人も自覚していたに違いない。
その心のスキに闇の王は入り込んだ。
「アイツ(YOH選手)と一緒にいたら、お前これ以上伸びないぞ?あの頃、道場でだけ見せていた狂気を俺は知っている。本当はお前、YOHがずっと邪魔だったんじゃないか?2人でずっといることに不満があったんじゃないのか?
俺ならお前を解き放ってやれる。お前のデビュー戦の相手、俺だって覚えてるよな。もっと激しく、もっと自由に本当の心を解き放っていこうぜ」
ずっと溜まっていた鬱憤を“先輩”に突かれてしまった。
スカウトは一日では終わらない。繰り返しのアプローチが付き物だ。
苦しんでいるYOH選手の横で闇の王に飲み込まれつつあったSHO選手。
「『負けても悔しさが湧いて来ない』こんなことを言う奴はお前には相応しくない。“バレットクラブ”へ来い。ここは自由だ。お前の本当の心を解き放てるのはココだけだ」
闇の王の言葉に耳を貸し、生まれ変わったSHO選手。
H.E.S.Y...。まだまだ先の話だ。
前からニコニコしてる目の奥に性格の悪さを感じてました。
— KENTA aka Lil’K (@KENTAG2S) 2021年9月4日
存分に発揮してください。#HouseofTorture #BULLETCLUB https://t.co/oYJQvA64se
“ロッポンギ3K”のベストバウト
変わり果てたSHO選手とYOH選手の“兄弟喧嘩”は正直、“ロッポンギ3K”の2人にとってはベストバウトとして未来永劫語り継がれる内容だった。
色んな感情がぐちゃぐちゃになっているYOH選手。変わった自分、本当の自分を解き放てる喜びに身を任せているSHO選手。
2人があまりにも対照的で、素晴らしい勝負だった。
僕は試合中、何度も何度も目頭が熱くなった。
だって、2人が“ロッポンギ3K”として身体に染み付いたムーブを随所に見せてくるから。
心は離れても身体が覚えてる。ずっと一緒に生きてきたプロレスラーとしての道がDNAレベルで刻み込まれている。
膝を見舞えば、膝が帰ってくる。何をすれば相手の決め技が無効化されるのかも知っている。
YOH選手がスターゲイザーの体制に入った瞬間、SHO選手は髪を掴んだ。過去、こんな破り方をした選手は居ない。
SHO選手だけが知っていたのだ。
金と銀に輝いていた若者はお互いが黒を基調としたコスチュームへと変化し、大人への階段を登った。
SHO「YOHさんよ、負けても悔しさが湧いて来ないとか、なんか言ってたな。お前、今悔しいんじゃないのか? 誰よりもこの俺に負けるのが悔しいんだろう。知ってるぞ。さっさとこのリングから降りて、一生負け犬のように悔しがって生きてろ」
EVIL「(SHOが喋っている間に裕二郎、東郷を引き連れコメントブースに姿を現し、SHOの隣に着席して)オイ、いいか、この男がマーダーマシン・SHOだ。これからよ、マーダーマシンが死体の山を築き上げていってやるからな。そしてよ、俺ら4人がBULLET CLUBのハウス・オブ・トーチャー(House of torture)だ。全員、拷問の館に引きずり込んでやるよ。まずは鷹木、お前からだよ。よく覚えておけ。よし行くぞ!」
“HOUSE OF TORTURE”
SHO選手の変化に痛哭した方も多いことだろう。
彼は勝つことで全てを手に入れようとしている。
間違いなく、高橋ヒロム選手とロビー・イーグルス選手の勝者の元へ姿を現すことだろう。
順番待ちの列なんて関係ない。
どちらが勝っても因縁の対決となるため、マッチマイクとしては申し分はない。
新日本プロレスジュニアの“主人公”は強さを追い求めるために闇へと堕ちた。
最後に。
試合中盤、四つん這いで体力を回復しているYOH選手の左腕をSHO選手が蹴り上げた。
この時、僕はKUSHIDA選手を思い出した。
ヒールターンを熱望されたベビーフェイス。あの時のKUSHIDA選手がヒールになっていたら、一体どんなレスラーになっていたのか。
そんなことも頭をよぎった。
“マーダーマシン”と化したSHO選手がこれから“HOUSE OF TORTURE”の一員としてどんなプロレスを見せて行くのか。
もう一つの“完全にNEXT”がはじまった。
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