なぜ、田口隆祐はSHOに完敗を喫したのか?

なぜ、田口隆祐はSHOに完敗を喫したのか?

現在の「IWGPジュニア王者」エル・デスペラード選手、高橋ヒロム選手から連勝したSHO選手。

次の相手は新日本プロレスが誇る“変なおじさん”。生きているオーパーツ。“ファンキー・ウェポン”田口隆祐選手だ。

可愛がっていた後輩であるSHO選手が“バレットクラブ”に加入。

彼の攻略法を見せてやる!と試合前から豪語した田口隆祐選手が持参したのは消灯対策のヘッドライトだった。

さながら巌流島へ遅れてきた宮本武蔵の如く、揺さぶりとしては完璧。

ゴングが鳴ってもSHO選手よりもディック東郷選手、EVIL選手、高橋裕二郎選手を意識しまくっている。

「いるんだろ!来いよ!」と叫びまくった結果、背後からSHO選手の奇襲を受ける。いや、言葉を選ばずに言えば隙だらけだった。

「やかましい!オラ!」

SHO選手のリズムを崩すのが狙いなのか。介入ありでも勝てることを証明することが狙いなのか。それとも両方なのか。鬼才・田口隆祐劇場がはじまった。

 

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タグ漬けになってしまう

いきなり得意の尻でSHO選手へダメージを与えていく、田口隆祐選手。ただ、すぐさまSHO選手が攻勢に転じるとロープ際や場外で次々に蹴りでダメージを与えていく。

場外カウントと同時に胸を張るムーブでは敢えて、田口隆祐選手をリングに戻し「中でやる中で!」とレフリーにクリーンっぷりをアピール。

この絶対にこの生徒はヤバいという空気感を放ちつつも、意外と敬語で話してくるんだよなぁというギャップ。

丁寧なヒール(不良)。現在の新日本プロレスにいないジャンルを開拓できたのは非常に大きいことである。

試合中盤を過ぎても、田口隆祐選手は“ハウス・オブ・トーチャー”対策を怠らなかった。

10分経過時点でも、レフリーに花道をチェックするように指示。

終盤になると果敢にアンクルを攻めるが、このシーンでも花道に目を配っている。

レフリーがダウンした時もヤングライオン中島佑斗選手に指示。

「後ろ!後ろ!」と声が掛かるも時既に遅し。SHO選手の手に握られていたスパナを一度は防ぐも金的口撃の後にまともに食らってしまい、最後はショックアローでフィニッシュ。

最後まで乱入をケアした結果の敗戦だった。

策士策に溺れる。これが今回の敗因だと見て間違いない。

しかし、今回の2択は難しかった。

実際、翌日の「ワールドタッグリーグ」は同じ長野県で開催されていたため、会場に来れなかった訳ではないのだ。

最初から最後まで乱入劇が起こる可能性は正直あった。ギリギリの勝負を制したのは、対策しているのであれば、逆手に取って乱入を敢えてしない作戦を選んだSHO選手だった。

 

単独トップへ

“マーダーマシン”と変化して臨んだ今回の「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア28」。

今回の勝利で3連勝。単独のトップに躍り出た。

試合終盤で“ハウス・オブ・トーチャー”の3人が乱入することに賛否両論がありつつも、結果を見れば最高の状態である。

元々、フィジカルとテクニックと闘志を武器に戦っていたSHO選手が“マーダーマシン”となったことで、どんな違いが生まれたのか。

ベビーフェイスがヒールになった。

いや、もう少し細分化すると、パリピキャラ→ベビーフェイス→ヒールが正しいか。

“ロッポンギ3K”時代、六本木のパリピをイメージしたような明るい髪と黒く日焼けした肉体を魅せていたSHO選手だったが「無理をしていた」と発言し、路線を変更。

正統派のSHOとなり、「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア」などのシングルでは好勝負を連発し、徐々に期待を高めていた。

運命が大きく変わったのは、YOH選手が怪我で離脱した2020年だろうか。

この時、プライベートやリングで本当に色々なことがあり「人を支えられるレスラーになる」ことを目標に掲げている。

「人を支えられるレスラー」になるために、必要な何かを手に入れるための“ハウス・オブ・トーチャー”加入。

そして、“マーダーマシン”として生まれ変わった。

 

マーダーマシンの変化

“ハイボルテージ”時代と比較して、明確に違うのが相手選手への態度や言動。

試合中に魅せるダーティーなテクニック。この2つに比べたら終盤の乱入や凶器攻撃は特に気になるものでもない。ヒールとして分かりやすいアピールといったところだろう。

SHO選手はどこか先輩に遠慮をしてしまうところがあった。これは僕が勝手に思っていることだが、田舎(僕も田舎出身なので敬意を込めて)の不良は上下関係に半端じゃなく厳しい。

部活の1年生と3年生みたいな差。ここに「実力があるからお前はレギュラーな?」という枠は存在しない。

先輩が来たら「◯◯君、マジでやばいらしいよ」とどこか本能的に一歩引いてしまう。気を使ってしまう。

それが尊敬する先輩に対して発動してしまう可能性はゼロではない。

だが、“マーダーマシン”となり常に暴走しているような雰囲気を放っている今はどうだろう。

エル・デスペラード選手、高橋ヒロム選手、田口隆祐選手を相手に試合内容もメンタルも全く引けを取らなかった。

以前のムーブをヒール風にアレンジして、相手を自分の掌の上に乗せる試合が非常に上手くなってきている。

例えば、相手の腕を取って数発の蹴りを入れるムーブ。確か2020年くらいから使い始めたものたが、これも最後の一発を挑発用に変更したりしている。

「ふざけるな!」と頭に血がのぼったところに追い討ち。ピンチの時でサミングで抜け出すなど、以前よりもダメージを減らしつつ、試合を進めることに成功している。

正直、今回配信された田口隆祐選手を見て、ここまでのヒール適正があったのかと改めて驚いた。

絶対的ベビーフェイスは圧倒的なヒールになれる。

その才能の華が綺麗に咲いていくこの瞬間を見逃すのはあまりに勿体無い話である。

さらにはコメント力もアップ。バックステージでは、「タグ漬け」というパワーワードまで飛び出した。

監督のタグ漬け。彼のコレクションもとんでもないことになりそうだ。

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