オカダ・カズチカと内藤哲也の関係性について
2022年1月5日、鷹木信悟、ウィル・オスプレイとの激闘を終えたオカダ・カズチカの前に現れたのは“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”内藤哲也だった。
ヤングライオン時代から共に汗を流した“先輩”の登場に思わずニヤッと笑顔が溢れた“レインメーカー”。
「いま、新日本で1番強い男は間違いなく！ …オカダだよ」
新日本プロレスのど真ん中に来たオカダ・カズチカと向き合う相手は内藤哲也がよく似合う。
思えば10年前の“レインメーカーショック”の
宿敵でもなければライバルでもない。絶対的に超えるべき壁という訳でもない。
オカダ・カズチカと内藤哲也の関係は非常にユニークなものである。
オカダ・カズチカが闘龍門から新日本プロレスへ移籍した時から2人の物語はスタートしている。
入門テストを受験せず特待生扱いで新日本プロレスの門を叩いた“転入生”。
年齢で言えば5つ違う後輩にもジェラシーを覚える辺りが内藤哲也らしい。
ジェラシーに燃える先輩は後輩がなし得なかった前人未到の記録を求め、二冠王となり「IWGP世界ヘビー級王座」誕生のキッカケを作った。
そして、様々な紆余曲折を経て、“四代目王者”となったオカダ・カズチカの手によって“ベルト問題”は全て解決した。
再び交わった英雄の間に余計な問題は必要ない。
2020年の東京ドームイッテンゴで負けた借りを返すのみだ。
[LOS INGOBERNABLES de JAPON]
— 内藤哲也 naito tetsuya (@s_d_naito) 2022年1月12日
Es hora de la merienda y la lectura. pic.twitter.com/MyavcNLSVJ
内藤哲也と新日本プロレス
新日本プロレスの思惑が働いていたのは間違いない。
以前から内藤哲也の主張に対して耳を貸さなかった新日本プロレスだが、あの時ばかりは自ら首を絞めているようにも見てた。
「IWGPヘビー級&IWGPインターコンチネンタル選手権試合」
「二冠戦ではなく別々に防衛したい」という内藤哲也の意見も虚しく、二冠戦は連発されそれぞれのベルトの権威がうやむやになるタイトルマッチが生まれた。
この流れが結果的に「IWGP世界ヘビー級王座」誕生へとつながっていく。
ベルト問題のキッカケは内藤哲也にある。そんな心ない声も飛び出していたが、実際は異なる。新日本プロレスが内藤哲也の主張を蹴り、二冠戦を連発したことがベルト問題の本当のキッカケだったのだ。
2020年、2021年のレインメーカー
一方で“二冠戦”を巡るベルト問題の真っ只中、オカダ・カズチカは「KOPW」の誕生を含めて、ベルトとは距離を置いたような動きを見せていた。
新日本プロレスの動きをじっくりと見ているような、今後のために力を溜めているような。そんな不思議な感じの2年間（G1クライマックス優勝までで言えば1年10ヶ月）だった。
余談だが、2021年春にオカダ・カズチカ待望論が飛び出したタイミングで鷹木信悟が台頭。
あのタイミングは誰しもがオカダ・カズチカへの期待を高めていただけに度肝を抜かれたのは間違いない。
一方でこの大会、内藤哲也はグレート-O-カーンの足攻めで一回戦負け。
オカダ・カズチカと内藤哲也が共に一回戦で姿を消すというとんでもない春になった。
2年ぶりのリベンジ
改めてになるが、“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”の先頭を走る鷹木信悟を破った後に出てきたのは“ライバル”のSANADAではなく、内藤哲也だった。
オカダ・カズチカVS内藤哲也。
この試合、実は2年越しのリベンジマッチでもある。
2人が最後に大一番で激突したのは2020年の東京ドーム大会。イッテンゴだ。
“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”による鷹木信悟のリベンジマッチであり、オカダ・カズチカにとっては二冠戦で敗れた試合のリベンジマッチとなる。
負傷欠場中の飯伏幸太を除くと、内藤哲也が最も対戦相手として相応しかったわけだ。
2人の物語
内藤哲也とオカダ・カズチカの関係は“ライバル”ではない。
主役になりたいと願い、本来の道とは違う道を歩み主役になった男。
主役に選ばれ、主役としての道を進む中で「彼しかいない」と思わせるまでに成長した男。
つまり、彼らは新日本プロレスのW主演なのだ。
だからライバルじゃない。
プロレスを野球で例えるのもどうかと思うが、王貞治さんがオカダ・カズチカであれば内藤哲也は長嶋茂雄さんだろう。
また、イチローがオカダ・カズチカであるならば、新庄剛志（ビックボス）が内藤哲也なのだろう。
太陽と月でもなく、ベビーフェイスとヒールでもない。主役と主役。
オカダ・カズチカと内藤哲也は「オカダ・カズチカと内藤哲也」の関係が一番シックリくる気がする。
何かが起こる雪の札幌。どんなタイトルマッチになるか今から楽しみである。
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