蝶野正洋と武藤敬司の言葉で考える現代プロレス

蝶野正洋と武藤敬司の言葉で考える現代プロレス。

“黒のカリスマ”蝶野正洋さんのYouTubeチャンネル「公式【蝶野チャンネル】CHONO Network」にプロレスリング・ノア所属の武藤敬司選手が登場。プロレス放談を繰り広げた。

新日本プロレスに同期で入門している2人だが、年齢的に武藤敬司選手が上のためか“武藤さん”と呼ぶ蝶野正洋さん。

“黒のカリスマ”としてヒールを極めた男が丁寧な姿勢と言葉を使うギャップが堪らない。

先週配信された動画では武藤敬司選手の夢は「蝶野正洋さんと引退試合をすること」だとエモーショナルなメッセージが飛びだすなど、ファン必見の内容となっていた。

蝶野正洋さんと武藤敬司選手と言えば、90年代〜2000年初期の時代に一世風靡した“NWO(TEAM2000)”だろう。

福岡の坊主くんだった僕がですら知っている。メチャクチャカッコよくて、ヒールのトップというイメージだった(当時から“テンコジ”が好きで、久しぶりに見たらベビーフェイスになっててビックリしたのは内緒)

ついでに言えば、ワールドプロレスリングを録画したり、深夜にリアルタイムで見ていた。

当時、プロレスはどこか大人の楽しみという認識があった。友人とビデオを見ていた記憶もあるし、家族で見ていた記憶もある。

どこかノスタルジックな気持ちになる90年代のプロレス。身近な人と盛り上がる大切なコンテンツだった。

 

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侘び寂びの世界

蝶野正洋さんと武藤敬司選手の共通認識は「昔のプロレスと今のプロレスは違う」ということ。

現在、プロレスのリングを離れている蝶野正洋さんから見ると、若い選手の試合は“響くものがない”という考えだ。

この言葉に武藤敬司選手は派手なことをやるのが主流だからと返した。

派手でスピーディな試合では、「侘び寂び」を入れる隙間がない。

ここが90年代のプロレスと現代プロレスの違いなのではないだろうか。

※蝶野正洋さんの言葉は、特に新日本プロレスを指してのメッセージだと僕は思っている。

それを聞いた蝶野は「昔とは何かが違うよ。若い選手とやっていて何かこいつは響くものがないというか何か感じない?」と武藤に問うと「派手なことをどうとかこうとかが主流だから」と武藤は返した。さらに武藤が「俺のプロレスには詫び寂びがあるじゃん。普通でいったらムーンサルトも綺麗に決めなきゃいけない。でもそこにタメを作って飛ばなかったして、そこに何か考えを入れたりしてさ。時間のかかるプロレスでそれはキャリアというモノが物を言うのがあるじゃん」と語ると蝶野は「それが今の選手にはないじゃん」と話すと武藤は現代ではそういうものを求める時代じゃないと今のプロレスを分析した。そこで蝶野は「今の試合は皆が良い動きがあって、でもなんかどっかに詫び寂びがなくて同じ試合に見えてしまう」とも話した。

出典:スポニチアネックス

 

現代プロレス

現代プロレスにおいて、華やかさや技の派手さは非常に重要な要素である。

一方で、スピーディーな展開になればなるほど、溜めや歌舞伎でいう見得を切る時間がなくなっている。

「侘び寂び」が薄いプロレス。激しいが伝わってくるものがないプロレス。

レジェンドである先輩の言葉は非常に鋭いが、少し90年代と現代の違いを別の角度から考えてみたい。

まず、スマホの有無が大きく違う。

暇な時間にじっくりと一つの物事を考え、物思いにふける時間があった当時とは異なり、今は本でも動画でも音声でも好きな時に好きな人のコンテンツを浴びることができる。

プロレスについても、SNSで実況する楽しみが出てきた。

スマホの画面をポチポチしている時点で、試合からは目を離している。

細かいテクニックよりも「おぉ!!!すげえ!!」と拡散されるものが好まれるのは現代的な発想だろう。

玄人好みなじっくりとした試合は、よほどの実力がなければ地味でつまらないと思われてしまう。

実況するポイントが見えにくいためだ。

2021年の「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア」金丸義信選手VSエル・デスペラード選手の試合を見れば分かるが、半端じゃないテクニックさえあれば、派手な技は無くともとんでもない空気を作ることはできる。

「G1クライマックス」ザック・セイバーJr.選手VSグレート-O-カーン選手も近い感じだ。

派手さだけが現代プロレスの華ではない。それを分かっているレスラーもいる。彼らがトップに立つことでトレンドが揺れ動いていく可能性はある。

 

伝わるとは何か

最後に試合を通じて、伝わるものがあるという話。ここが一番難しい。

そもそものパーソナリティを知らない選手の試合はほぼ伝わらない。

ただ、何か印象に残る選手はいる。

どこか引っかかる。何か期待してしまう。テクニックや技の精度なのか何なのか。

ただ、これはデビュー間もない若手でも持っているケースがある。

感情を表現して、お客に伝える力。

舞台映えという言葉があるが、プロレスラーの場合は“リング映え”だろうか。

新日本プロレスではオカダ・カズチカ選手や高橋ヒロム選手が分かりやすいだろうか。

スピーディな展開も得意としつつ、じっくりと魅せることもできる。

次世代では上村優也選手だろう。何かに目覚めたのか途中からすごく映える選手になった。

少し話が逸れたが、伝わってるモノについては、前提知識が大切なため、一概に昔の方がよかったと切り捨ててしまったは勿体ない。

東京ドームで魅せた柴田勝頼選手のプロレスは伝わってくるものしかなかったが、これすらも前提知識で大きく見方が変わってしまう。

うーん。今日のテーマは難しい。皆さんはどうですか?よかったら教えて下さい。

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