新日本プロレスファンが想うWebメディアの難しさ

新日本プロレスファンが想うWebメディアの難しさ。

昨日、日本国内で有名なテック系Webメディアの終了が発表された。

「『TECHCRUNCH JAPAN』および『エンガジェット日本版』終了のお知らせ」。

米国本社のグローバル戦略に伴い、この度の決定が行われたそうだ。

『TECHCRUNCH JAPAN』は僕にとっても想い出深いメディアである。仕事で絡んだりしたり、僕自身が執筆したことは一度もないのだが、どこか憧れというかブランドを感じているところがあった。

今日は少し、僕の自分語りに付き合っていただきたい。

色々なお仕事を経験したあと、人材サービスの会社に入り、テック系メディアの編集者へ。その時に競合媒体(規模感とは大分違ったけど、一応競合と言っていいはず)として『TECHCRUNCH JAPAN』は存在していた。

国内外のテックニュースを発信し、リアルのイベントまで開催する。

当時、『TECHCRUNCH JAPAN』はテック系メディア(ガジェットを中軸に置いているメディアは除く)の中でも“トップ”だった(僕の中で)。

メディアが新しいトレンドを作り、流れを生み出す時代。

YouTubeは今のようにYouTuberが台頭していた時期でもなく、Twitterも情報収集ツールくらいの役割だった時代。個人よりも信頼感のあるメディアがチカラを持っていた時代。

最近のメディアを見ていて、どこか寂しさを感じている中、今回の発表はとても胸に来るものがあった。

『TECHCRUNCH JAPAN』終了のお知らせを受け、最近のWebメディアに感じているものを書いていく。

 

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数字と質

雑誌の時代。販売冊数とコンテンツの質で勝負していたと思っている。実際、書籍の場合どのページがどれだけ読まれたのか?は収集しようがない。だから、徹底的に質と向き合い、質を上げることに集中できた。

お金を払って購入した読者の心に残るコンテンツをつくる。これが一番。

新人に一つのコラムを任せて、徹底的に修正して、考え方や文章力を磨く機会を与えてることができたのも修正が効かない世界(雑誌は印刷したら後戻りできない ※印刷し直す以外で)だからこそだ。

一方で、Webメディアの時代(僕はここからキャリアをはじめている)では、いわゆる面白さの質よりも「読ませるテクニック」が主流になった。

時間やコストをかけたものよりも、Twitterで漁ったエピソードを切り取って、発信するほうが読まれたりする。これがテクニック。取材したり、フィールドワークをしなくても、Twitterを漁っていれば面白そうなネタが手に入る。ここの情報収集コストがとにかく下がった。

その結果、数日かけたものよりも、入稿含めて30分の記事が読まれるケースが出てくる。

カメラマン、ヘアメイク、スタジオを用意した記事がコタツ記事よりも読まれないことが往々としてある。新人のつたない文章や構成でも読まれる(こともある)。

これがよくなかった。

メディアは数字を問われる。ユニークユーザー数やPV数を会社の指標に置かれるケースが多い。

与えられた予算の中でやりくりすることを考えると、上手いけど高いライターに依頼したり、読ませる翻訳をする翻訳者を起用したり、独自のコラムを書いたりするよりも、新人のコタツ記事で済ませたほうがいいとなる。

ここに歪みが生じてくる。

心に残っているのか分からないものを量産して、数字(アクセス数)は増えて、フォロワーはできてもファンは生まれない。

新人がそういったものを作っているので、技術力が上がってこない。取材力(質問力・傾聴力)、構成力、文章力、企画力などの地力が付かない。心に響くものが作れない。そもそも作り方を学ぶことができない。

時折、(コンテンツ制作の)天才が現れるので勘違いされがちだが、教育である程度までは伸ばせるのだ。

何か心に響くものがなければWebメディアのファンにはなり得ない。ただ、ここは数字に現れない(現れにくい)のだ。ここが本当に難しい。

※僕がいろんな媒体を見ていないだけだ!とも思うので、いい媒体あるよ!という方はリプで教えて下さい。

 

新しいスターを

コタツ記事が続くと、メディア発で新しいスターが生まれなくなる。

読まれるかどうかも分からない新人(新しい会社、サービス)よりも、読まれる確度が高いものを求める。

そりゃそうだ。

僕のブログだってそう。新日本プロレス以外をそこまで書くつもりもないのだが、全く知名度のないインディー団体のこのレスラーが凄い!と書いてもそこまで読まれない。

新日本プロレスの人気レスラーについて書いたほうがアクセスは伸びる。

このブログはアクセスを追い求めているわけではないので、人気レスラーについてや最新のホットなSNSネタだけを発信するわけではない。

僕が書きたいと思ったことを自由に書く。これがポリシーである。

話が逸れた。

新しいスターを発掘するよりも、今人気の人のSNSネタを発信した方が低コストで読まれるとあれば、そういった取り組みは鈍くなる。

他がそうやって上手く言っていると話を耳にすれば、自分たちもそうするか...となる。

気づけば、似たようなニュースばかりで媒体ポリシーが薄いメディアばかりになってしまった。※そうじゃないメディアが沢山あることは知っているので、鼻息を荒くしないでほしい

メディアが新しいスターを発掘する。その次代から出てきた人気者を追う方向になってしまった。

スポットライトを当てる存在がなければ、次のスターは出てこない。

今、人気があるグループの後輩。今、人気があるユニットとのコラボ。今、人気がある...と人気者に絡むことでしか知名度も注目度も高まらないのはどこか寂しい。

メディアはその関係性や発表を報道して数字を稼ぐが、その前に「こんなに面白いサービス、人、グループ、会社がある」と発見し、発信するのも大切なのではないか。

我々が火種になってやるのだ、と。

 

最後に

本来であれば、個人のnoteなどで書く内容だったと思うのだが、ここまでお付き合いいただいてありがとうございます。

いよいよ今週末は冬の札幌。“怨念坊主”のフラグもビンビンに立っていて、楽しみですね。明日はプロレスネタを書きますのでよろしくお願いします。

・スターダムがとんでもないことになっていたので少し書く

・本当のプロレスファンとは何かについて考えみる

・棚橋弘至がKENTAとのノーDQマッチで考えていたこと

・新日本プロレスを応援することにおける経験価値

・鷹木信悟のテーマ作りに人生で大切なものを学ぶ

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