棚橋弘至がSANADAへ闘魂注入!新チャンピオンが語った本当のギフト

棚橋弘至がSANADAへ闘魂注入!新チャンピオンが語った本当のギフト。

いい試合だった。2022年2月19日。「IWGP USヘビー級選手権試合」棚橋弘至対SANADAの大一番はSANADAの勝利。

SANADA選手は新日本プロレスで初となるシングルのタイトルを手にした。

KENTA選手とのノーDQマッチ終了後、“虚無感”に苛まれた棚橋弘至選手。

新日本プロレスのエースは、藤波辰爾選手や武藤敬司選手に憧れプロレスラーを目指した。

己の肉体と技術だけでファンを魅了する。そんな世界観とは真逆の地に脚を踏みれた結果、逸材の胸に広がったのは虚空だった。

そんな彼が望んだのは、東京ドームでのタイトルマッチとは真逆の相手。

たっぷりとプロレスを楽しめる。とことん技術を比べられる相手。

かつて自分が憧れた漢に従事し、プロレス界の門を開いたSANADA選手だった。

SANADA選手は素晴らしい選手だ。

技術があり、試合も面白い。リングで魅せる華、ビジュアルに関しても新日本プロレスのトップクラスだ。

多少舌っ足らずなところは決して長所ではないが、無駄なことを喋らなかったり、「告白」でまっすぐに気持ちを伝えたりと、彼にしかできない世界観を生み出すところに一役は買っていると思う。

ただ、一つだけ欠点というか足りないものがあるのだとしたら、未来を期待させるだけの熱量だったように思う。

熱くなるだけがプロレスじゃない。頭から落とすだけがプロレスじゃない。

SANADAだけのプロレスがある。そんなことは百も承知の上で、SANADAに任せてみたいとファンに思わせる何かは確かに足りなかった。

その課題に目をつけた棚橋弘至選手はベルトを失う可能性を視野に入れつつも、SANADA選手に闘魂を注入した。

新日本プロレスから選ばれずに全日本プロレスへ行った“逸材”。彼が輝くことが2022年の新日本プロレスにとって起爆剤になるとエースは見ていたのかもしれない。

 

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SANADAと棚橋弘至

ここで自分に負ければそれまでの選手。もしも勝てれば新しい世界を作れる可能性がある。だからこそ、前哨戦でもしも負けたら「本隊に来い」とスカウトしていたのかもしれない。

すでに忘れられがちだが、“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”はヒールユニットである。ただ、一般的なヒールと異なるのはベビーでもヒールでもない存在であること。“制御不能”。とことん自由に立ち回る。やりたいようにやる。生きたいように生きる軍団だ。

そんな中でもSANADA選手だけはとにかくベビーフェイス色の強いレスラーである。

反則行為なんてほぼしない。技術で相手を倒すことにこだわり、危険技すら否定的な意見を口にするほどだった。

 

満たされた逸材

ケニー・オメガを中心にアスリート・プロレス(激しいプロレス)が台頭した時に、「頭から落とすだけがプロレスじゃないんだよ」と真っ向から否定したのはSANADA選手だった。そして、その流れを棚橋弘至選手が断ち切った。

二人はずっと対話の機会を求めていたのかもしれない。

SANADA選手に足りないもの。棚橋弘至選手だから伝えられること。

二人はとにかく楽しそうだった。棚橋弘至選手は試合後にこう語っている。

棚橋「(ヤングライオン二人に肩を借りてコメントスペースに現れると、床に寝転がり)ああ、悔しい! 俺がミス、大きなミス、致命的なミスをしたわけないし、していないのに負けてしまった。戦法は良かった。ヒザからいってハイフライで仕留める。それは良かった。ただ前哨戦がしっかりあったからこそ、俺たちみたいなタイプは大変だったけど、水を得た魚のような活きがいい、活き活きとしたやりがいがあった」

棚橋「ただ、あのベルトは俺がアメリカから持ってきたものだから。何勝手に日本で王座交代してんだよって、このままだと言われてしまう。近い将来、もっと状況が良くなって、会場にたくさんファンが来てくれて、新日本プロレスの歴史が続けていけるならば、USヘビーの歴代王者に俺もいたし、SANADAもいた…なんつってね!(笑)」

棚橋「(立ち上がって)すぐ取り返してやるよ! アメリカから俺が持ってきたんだ。しばらくは俺の自由にさせてもらうから」

出典:新日本プロレス

虚無感に包まれたあの試合とはぜんぜん違う。自由の国で掴んだベルトを失ってなお「自分は自由にやらせてもらう」と宣言する。これが棚橋弘至なのだ。「前IWGP USヘビー級王者」がニュージャパンカップを制して、「IWGP世界ヘビー級」に挑戦する。今度は代理ではなく、本当の意味での挑戦を目指す。

 

SANADAに未来を見た瞬間

「タナさん、マジリスペクトです」

棚橋弘至選手のドラゴン張り手をモロに喰らってから、SANADA選手の何かが弾けた。

“スペース・ローリングエルボー”を披露した瞬間に何かゾクゾクっとくるものがあった。

そして、百戦錬磨の棚橋弘至選手を最後はオコーナーブリッジで仕留めた瞬間、時代が動いた。

ラウンディング・ボディプレスやスカルエンドではなく、オコーナーブリッジ。丸め込みで技ありの勝利。これで会場を大爆発させるのがSANADA選手の魅力だろう。

ただ、それだけでは終わらなかった。

新チャンピオンはファンへ最大のギフトを届けると同時に、自身がギフトを受け取っていたのだと胸中を明かした。

「ここのリングに上がって7年、やっとシングルのタイトルが獲れました(場内拍手)。初めてということで、今年初めての“ギフト”、やりませんか?(場内拍手。ここで観客がスマホのライトを準備し、場内が暗転する)。まず、対戦相手の棚さん、リスペクトです(場内拍手)。棚さんとだったら、またいつでも、どこでも、やってもいいかなと思ってます(場内拍手)。あと、いまなかなか会場に来れない人、『ワールド』で観れたりもするんですけど、ただ会場は唯一、オレがみなさんに会えるところなので。今日、わざわざ来てくれたかたがた、ありがとうございました(場内拍手)。あんまり、こういうこと言うの、得意じゃないんですけど、日本で一番、ここ札幌が好きです(場内拍手)。オイ、札幌! シー・ユー・トゥモロー!(場内拍手)」

出典:新日本プロレス

「ただ会場は唯一、オレがみなさんに会えるところなので。今日、わざわざ来てくれたかたがた、ありがとうございました」

目頭が熱くなった。会場に来て下さいとは言っていない。ただ、SANADAはファンに会いたいとその胸中を明かした。

ビジネス的に...とかじゃない。ファンに自分のプロレスを目の前で見てほしい。不器用で素朴な喋り方がさらに胸を打った。

オレが皆さんに会える場所。それが会場。だから、オレに会いに来てくれ。

SANADA選手のギフトはファンに与えているものではなく、実際は自分がファンからギフトを受けとっていたのだ。新チャンピオンのまっすぐで胸を打つメッセージに正直、感動してしまった。

人の心を感動させれる人こそ、フォロワーではなくファンを掴むことができる人。

SANADA選手は真のスターになれる器であると証明された気がする。

オカダ・カズチカのライバルは、とうとう新日本プロレスのIWGPに手が届いた。

敢えて書くが、根っこがベビーフェイスのSANADA選手は追われる立場の方が性に合うと思う。受けが上手い彼のことだからきっと盛り上げてくれるに違いない。

“赤の王者”SANADA。新日本プロレスの新しい希望として、さらなる活躍を期待するしかない。

・スターダムがとんでもないことになっていたので少し書く

・本当のプロレスファンとは何かについて考えみる

・棚橋弘至がKENTAとのノーDQマッチで考えていたこと

・新日本プロレスを応援することにおける経験価値

・鷹木信悟のテーマ作りに人生で大切なものを学ぶ

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