内藤哲也と高橋裕二郎と日本武道館。
「あなたは人生で本当に驚いた時、どんなリアクションをしますか?」
あまりの衝撃のあまり、言葉を失う。
それまでに考えていたことが全て吹っ飛ぶ。
目の前の出来事に目と心を奪われる...。
2022年2月21日。時刻は19時の少し手前。
大切な打ち合わせを終えた僕は、コーヒーが入ったカップを片手に次の打ち合わせを行おうとオンライン会議システムを立ち上げた。
次の打ち合わせは今後、取り組むべき企画を共有するというもの。初めて第三者に僕の中に生まれた企画を話すので、当然いろいろなことが頭を巡る。
これは楽しいのか。誰かの心を揺さぶるものになるのか。誰かの想い出に残る何かをつくりたい。そんな気持ちとちゃんとリンクしているものなのか。
そんなちょっとの不安とは裏腹に自信はあった。
この生まれた火種は形にして、夜に出すべき。そうもう一人の自分も心で告げている。
きっと方向性は正しいはず。ここにどんなエッセンスを加えていけるのか。さらに磨いて提案ができるか?ここが鍵になってくる。
そんなことを考えていたら、ふと頭をよぎった。
大切な打ち合わせの時間と被っていたので、すっかりと抜け落ちてしまっていたが、同時刻に新日本プロレスが「ニュージャパンカップ2022」の参戦選手・対戦カードを発表するのだった。
「そうだ、そうだ。忘れてた」
手元にあったスマホで新日本プロレスの公式サイトを開く...(なんか重くね?)。
対戦カードを見ると、僕の目に一つの眩しすぎる対戦カードが飛び込んできた。
「ニュージャパンカップ2022」初日。日本武道館大会。セミファイナル。
内藤哲也VS“俺たちの”高橋裕二郎。
「嘘だろ。このタイミングで、あの時の秋の約束が帰ってくるのか...」
オンライン会議システムに相手がログインした。
絶句している僕を見て、不安の表情を浮かべる。
「どうしたんですか?」と聞かれて僕はこう答えた。
「(この会議で)何を話すのか全部吹っ飛んだんですけど」
そう。僕の場合、本当に驚いた時は頭の中が真っ白になるのだ。まさに「503エラー」ってやつだ。
【お知らせ】
— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) 2022年2月21日
想定を上回るアクセスにより、先ほどまで公式サイトを閲覧しにくい状態が続いていましたが、現在は復旧しております。
何卒よろしくお願い申し上げます。https://t.co/hp4gi9yvf0#njpw50th #njcip
内藤ちゃん...
「俺たちにはよ。ヒストリーがあるんだよ」
2021年秋。「G1クライマックス31」で高橋裕二郎選手は同じブロックで注目している選手に対して内藤哲也選手を挙げ、この言葉を残した。
さらに内藤哲也選手も高橋裕二郎選手については特別な思い入れはないと敢えて口にしていた。ツンデレである。
二人がもともとタッグパートナーだったことについてはご存知の方が大半だろう。現在、毘沙門と6or9が保有している「IWGPタッグ」と「IWGPジュニアタッグ」の両方を戴冠したことがある唯一の日本人タッグチームが2人の「ノーリミット」だった。
リミットはないが解散はした。
その後、内藤哲也選手は新日本本隊で夢破れ、メキシコへ飛び、制御不能となって帰ってきた。
一方で高橋裕二郎選手は「バレットクラブ」唯一の日本人レスラー(当時)となり、シングル、タッグの双方でそのパワーを見せつけた。
ただ、内藤哲也選手が“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”を結成し、スターダムに登りつめる一方で、高橋裕二郎選手はもがき苦しんでいた。
結果が出ない日々。一切公式での発表はなかったが、実は大きな怪我をしたことも明かされた。
王者として向かい合う
パワー自慢のレスラーが怪我により、かつてのパワーを失ってしまった。
東京ピンプスだけを一切使わないのは、そうした理由があるのだ。ただ、だからこそ手にしたものがある。
高橋裕二郎には大人の苦労した男だけが放つことができるニヒルなかっこよさがある。
そして、何よりも物語がある。
2021年。高橋裕二郎選手は“ハウス・オブ・トーチャー”の一員として、「NEVER無差別級6人タッグ」の王者に輝いた。
「NEVER無差別級6人タッグ」は2020年以前までとは別物だ。オカダ・カズチカ選手やジェイ・ホワイト選手、内藤哲也選手が挑み、手にすることができなかったタイトルを高橋裕二郎選手は持っている。
王者として内藤哲也の前に高橋裕二郎。この構図を想像していた人はどれだけいるだろうか。
僕はきっと泣いてしまうだろう
二人の間にどんな気持ちがあるのだろう。
オカダ・カズチカ選手にずっとジェラシーを抱いていた内藤哲也選手は“制御不能”となったことで、過去のしがらみから解き放たれた。
二人の物語がどこか因縁めいていないのは、そうした一つ違うステージにまで上り詰めた結果だろう。
ただ、内藤哲也が一番素直に一番、因縁を持って戦えるのは高橋裕二郎なのかもしれない。
2011年に「ノーリミット」は解散。その後、11年が経過している。いわば、SHO選手とYOH選手の11年後の姿がこの試合に詰まっているのだ。
因縁というか切っても切れない何かというか。
何か言葉にできない気持ちがこの試合にはあふれるに違いない。
内藤チャンにだけは絶対に負けねぇ。そんな気持ちでずっと封印している東京ピンプスが炸裂したら。
僕はきっと驚きを通り越して、泣いてしまうだろう。
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