新日本プロレスが海外戦略を加速させる理由とは?データを用いて分析してみた
先日、新日本プロレスCEO・ハロルド・ジョージ・メイ氏(以下、メイ社長)について僕が感じていることをまとめてみた。
メイ社長の就任以降、新日本プロレスは海外戦略というワードが本格化したように思う。
事実、YouTubeチャンネルでも試合後のバックステージを撮影した動画は全て海外向けのアカウントで配信されている。
ここでは僕が培った知識を活かしつつ、新日本プロレスが海外展開を本格化し、どこまで新日本プロレスを広げていくことができるのかについて考察してみたい。
世界の検索クエリから
まずはGoogle Trendsを見てみよう。
抽出したのは、2013年以降。日本ではなく、全世界での検索トレンドデータでフィルタを掛けている。イッテンヨンが開催される時期の検索ニーズはこの時代から上り調子だったが、2018年は「新日本プロレス」を「njpw」が上回っている。
これは、クリス・ジェリコ選手の参戦による影響が大きいように感じる。
続く6月にも急上昇している。これもクリス・ジェリコ選手の影響だろう。
2017年の7月にも一度「新日本プロレス」を「njpw」が抜いている。これは、G1 SPECIAL in USAの影響が大きいように思う。
この結果から見るに、新日本プロレスは世界中から注目を受ける団体へと変貌を遂げようとしていることが分かる。
新日本プロレスワールドの成長性
次に新日本プロレスワールドについて。2018年8月16日にシステムメンテナンスを行っているが、これから新日本の成長を担うサービスなだけに更なる改修に期待を膨らませたい。
こちらはSimilarWebを使用して、数字を分析してみる。
画像を貼ると規約うんぬんの話になるので、詳細なデータはこちらから目を通していただきたい。
- 月間のサイト訪問トラフィックは約320万
- 平均滞在時間は約4分
- 国別トラフィックはアメリカ36%、日本26%
WWENetworkの訪問トラフィック数は約1800万。平均滞在時間についてはWWENetworkと比較しても少し長い程度だ。
国別のトラフィックをアメリカが抜き去った今、注力するマーケットはアメリカになることは必然なのかもしれない。
ちなみにイギリス・カナダ・オーストラリアのトラフィックを見ると、日本国内に迫る数字になってくる。英語圏の各国から新日本プロレスが注目されているのだ。
ただし、あくまでもこれはサイトアクセスを外部ツールから分析した数字である。中の人でなければ、正確な会員数、会員率については把握できない。このデータを見ることができないため、もう一歩踏み込んだ内容にできず、申し訳ないと思う。
流入先はどう?
このサイトを見たことはあるだろうか。全文英語で構築された新日本プロレスの海外向けサイトである。リファラル経由の流入は大きな数字ではないが、50%のユーザーが新日本プロレスワールドへこのサイトを通じてアクセスしている。
検索(オーガニック)については「njpw world」が「新日本プロレスワールド」よりも上である。
ソーシャルでは『YouTube』が1位、次いで海外のブックマークサイト『Reddit(レディット)』が2位。3位が『Twitter』となっている。
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海外戦略の未来
新日本プロレスが海外で人気が出ている理由はなんだろう。僕の仮説なので違うと指摘されればそれまでだが、「試合が面白い」ことだと思う。
ただ、プロレスには言葉も必要だ。ケニー・オメガ選手の人気が爆発したのがこの試合だったことからもそれは分かる。
そう。『有田と週刊プロレスと』でも語られた歴史的1シーンだ。
人気が爆発理由は以下の2点だ。
- 試合が最高に盛り上がった
- 日本語を解禁した
まず、試合の盛り上がりについては、プリンス・デヴィット(フィン・ベイラー)選手のブラディ・サンデー、AJスタイルズ選手のスタイルズ・クラッシュ、飯伏幸太選手のフェニックススプラッシュを繰り出し、片翼の天使で勝利を掴み取ったと言えば、この試合の壮絶さが伝わるだろう。後藤洋央紀選手も昇天・改を解禁するなど、G1決勝の場に相応しい時間だった。
次に、日本語の解禁。ベストバウトマシンとなった今では珍しくないが、ケニー選手は、ザ・クリーナー時代から日本語の使用を避けていた。
そんな彼が“ガイジン”レスラー初となるG1制覇のタイミングで日本語を解禁した。ここで会場が爆発したのだ。
それほどに言葉は重要。内藤哲也選手は言わなきゃ誰にも伝わらないと言ったが、言葉を発してもリアルタイムに理解することができなければ、人の感情は揺さぶられにくいのだ。
海外戦略において日本語・英語を巧みに使い分けられるケニー選手は圧倒的な鍵を握っている。
これからのヤングライオンは語学留学を含めた海外遠征が必要になる時代なのかもしれない。
言葉はそれほど大切なものなのだ。
ちなみに、“ドミネーター”グレート-O-カーン(岡倫之)選手の遠征先がイギリスだった点ことも興味深い。
最後に
海外戦略という言葉が独り歩きすると、日本がないがしろになるのか?という気持ちになりがちだ。
ただ、新日本プロレスに関してその心配はないと思う。日本で受けなくなったものが海外で受けるわけがないと僕は思うのだ。
海外戦略の成果が出ることで、会社の時価総額が上がる。その結果、より多くのレスラーと契約をすることができる。その結果、“あっち”の団体のように複数のブランドを展開することだってできる。
これからの新日本プロレスはもっと、もっと、もっと、もっと!楽しくなるはずだ。
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