『パパはわるものチャンピオン』の感想、【ほぼネタバレなし】で3つ言わせてください

パパはわるものチャンピオンについて、ほぼネタバレなしで感想を書いた。だが、どうしても見どころやメッセージを踏まえると、ノベライズとの違いを語らなければいけない。なので、タイトルに“ほぼ”と入れた。ここからは読み進めるのは自己責任だが、ここでお別れする方にもこれだけは言いたい。

とてもいい映画だ、と。

本題に入ろう。

新日本プロレスのエース・棚橋弘至さんが主演を務める映画『パパはわるものチャンピオン』の公開が、2018年9月21日からスタートした。

公開初日からツイッターの「#パパわる」をサーチすると、泣ける、感動できるという単語が並んでいた。

僕自身、正直かなり泣いた。

今回は【ほぼネタバレなし】でパパはわるものチャンピオンの魅力を伝えたい。

では、「ほぼネタバレなしで3つ言わせてください」。

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1.作品の狙い。作り手の想い

あっという間の111分一本勝負だった。

本作品を振り返ると、ノベライズの内容を2つのシーンに凝縮させた印象を受ける。

この2つについて考察すると、映画『パパはわるものチャンピオン』が何を狙ったのかも見えてきた。

 

大村祥太の視点

ノベライズに存在したそれぞれのサイドストーリーも勿論大事である。だが、敢えて横道に逸れる時間をかなり無くしたことで、【1】大村祥太とクラスメート、【2】ドラゴン・ジョージとの試合。この2つにフォーカスしたように見えた。

プロレスをまだ全く観たことがない人は、ひょっとすると棚橋弘至選手のことを存じていないかもしれない。ただ、天才子役とした名を馳せている寺田心さんのことを知っている可能性は高い。

だからこそ、映画では大村祥太が大きな鍵を握っていたように思う。

【1】の大村祥太とクラスメートの関係性についてだが、ノベライズからのカットはかなり少ない。CMで大村祥太のことを「ゴキブリ〜」と言っている子どものお話がカットされている程度だろう。

プロレスという複雑な世界を子供は理解するまでに時間が掛かる。だからこそ、大村夫妻も大村祥太に対して、パパが悪役(ヒール)であることを伝えていなかった。

時間が解決してくれるのを待つという選択から生じた問題が、『パパはわるものチャンピオン』のストーリーを構築している。

映画の物語は大村祥太の視点で進む。これは、劇場に足を運んだ子どもが『パパはわるものチャンピオン』を見た時に、共感しやすくなることを目的にしているのだろう。『パパわる』はプロレス映画であり、ファミリー向けの作品なのだ。

つまり、メインターゲットは子どもなのである

ドラゴン・ジョージについて【ノベライズとの比較あり※嫌な方はこの章を読み飛ばしてください】

“ほぼ”ネタバレなしとタイトルに入れたのは、ドラゴン・ジョージの存在の最低限書く必要があるためだ。

深刻なネタバレにはならないが、まだ一切情報を知りたくないという方は章ごと読み飛ばして欲しい。

ここから少しだけ、ノベライズと映画版のの違いついて書く。

映画では大村孝志&大村祥太とドラゴン・ジョージの関係がかなり薄くなっている。

ノベライズであれば、接触シーンがあった箇所が映画には存在していない。ドラゴン・ジョージが何故、大村孝志を指名したのかも明確ではない。

敢えて登場人物同士の絡みを削っているのだ。

この理由は【1】で提示した内容に紐付いている。大村祥太の目線で見た時に少しでも余分な情報を減らすためであり、新しい視点を物語に組み込まないためである。

その目的はプロレスの試合は因縁なんて知らなくても楽しいよ。と、伝えるため。また、映画『パパはわるものチャンピオン』は大村一家の話という軸をブラさないためだろう。

ここで合点がいった。

 

映画のターゲットについて

この映画は誰が観るのを想定しているのだろうか。

それは、これからプロレスを好きになる子どもや新規のファンである。

既存のプロレスファンは既に、棚橋弘至選手とオカダ・カズチカ選手の物語を知っている。約6年以上にも及ぶ激戦を見届けてきた。そして、この記事が出た翌日には新しい2人の大勝負も控えている。

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だからこそ、映画の中には大村孝志とドラゴン・ジョージの複雑な因縁など必要なかったのだ。

分かりやすく、シンプルにプロレスって凄い!ということを伝える。

ただ、目の前で繰り広げられる試合が楽しければいい。打点の高いドロップキックを見て、心を震わせて欲しいのだ。

そこから新しいファンが会場に足を運んでいく。そのためにも、このキャラクターが必要だったのだ。

2.大場ミチコという存在

プロレスファンの雑誌編集者・大場ミチコ。彼女が本作品の狂言回しであり、トリックスターである。

我々と同じプロレスファンの目線で喜び、悲しむ。感情をそのままに表現する。

僕はは彼女が持っているタオルが欲しくなってしまった。プロレスを応援する時はグッズも大切だということを、しっかりと届けている。

作品内では、大場ミチコと大村祥太の会話シーンはCMの箇所以外にも複数存在している。

彼女と接する度に、大村祥太のプロレスに対する見方や価値観が変化する。

プロレスに興味を持ち始めた方に、更なる楽しみ方や素晴らしさを紹介するのがファンの役割。そのポジションを大場ミチコは全うした。

CMの1シーンで大場ミチコはこう言っている。

「ヒーローだけだとプロレスつまらないじゃないですか?」と。

ヒーローだけでなく、ヒールが存在が不可欠。レフリーやリングアナ、実況アナ、解説者、セコンド、リングドクター、リング屋さん、会場スタッフの方々も大切だ。

そして、プロレスファンがいることで、プロレスは成り立っている。

だからこそ、我々ファンはとことんプロレスを楽しみ、この楽しさを周りの大切な人たちに共有していくことが大事なのだと、大場ミチコから学んだ。

パパはわるものチャンピオンはプロレス映画であり、ファミリー向け映画であり、プロレスファンに向けた最高の映画だ。

さらにプロレスファンにだけ分かる、ある1人の男の熱演がこの映画を更に盛り上げた。

 

3.助演男優賞・田口隆祐選手

最後に語りたいのは田口隆祐選手だ。

銀幕の中で見たギンバエ・マスクは普段の彼とはひと味もふた味も違っていた。

タグチジャパン監督としてコミカルな試合を展開する田口隆祐選手とも、シングルマッチで“セイシ”を懸けて戦っている田口隆祐選手とも、『APLOO55』や『ファンキー・フューチャー』で好勝負を繰り広げた田口隆祐選手とも違う。

俳優・田口隆祐さんの姿がそこにあった。

まず、声が違う。表情も違う。そこにいるのは寄田/ギンバエ・マスクである。

新日本プロレスを見ていない友人を連れて劇場の足を運んだ場合、失礼な話ではあるが、田口隆祐選手をプロレスラーだとは思わないかもしれない。それほどにスクリーンに馴染んでいた。

正直、登場シーンは「監督キタ!」と思うだろう。ただ、すぐにギンバエ・マスクとしてしか見れなくなると思う。

助演男優賞は間違いなく、田口隆祐さんだった。

ちなみにノベライズだとギンバエ・マスクと大村孝志の絡みは更に増える。時間がある方はノベライズにも目を通していただきたい。

ノベライズ パパはわるものチャンピオン

ノベライズ パパはわるものチャンピオン

 

プロレスファン必見の一作

今回の映画は子どもと新規ファン向けに作られていると考察したが、それでもやっぱりプロレスファンが1番楽しめる作りになっていると思う。

要所要所で登場する人物は見慣れたプロレスラーばかり。何故か数名の選手が実名という遊び心もある。現在欠場中の髙橋ヒロム選手も内藤哲也選手と一緒に登場する。野上“ジャスティス”慎平アナアンサーの実況も最高だった。

そして、なんと言っても棚橋弘至選手が映画の中心にいるのを見ているだけでも心が躍るし、胸が熱くなってくる。

それは、大村孝志であり棚橋弘至選手に感情移入してしまうからだろう。

ストーリーに書いてあるように、エース・大村孝志は膝に大怪我を負った。

長年新日本プロレスマットで戦ってきた棚橋弘至選手も、同様に全身傷だらけのはずなのだ。

だからこそ、棚橋弘至選手を応援したくなるし、ひょっとしたら大村孝志のようなことを思ったりもするのかと勘ぐってしまう。

虚実入り混じる世界観がプロレス最大の魅力であり、楽しみ方だと僕は思っている。

そんな、プロレスファンが余白を楽しめる贅沢な時間たっぷりの『パパはわるものチャンピオン』の上映はまだまだ、はじまったばかりである。

ぜひ、プロレスに興味を持ちそうな方を連れて、銀幕の世界に足を運ぼうではないか。

逆境の中IWGPヘビー級ベルトを巻き、ここまで辿り着いた主演・棚橋弘至の生き様を見届けるために。

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