棚橋弘至にはIWGPヘビー級ベルトがよく似合う

僕が新日本プロレスにハマった2017年、IWGPヘビー級ベルトはオカダ・カズチカ選手の所有物だった。

2016年のイッテンヨン『レッスルキングダム』でとうとう時代を切り拓いた革命家・棚橋弘至選手を破り、約2年に渡る長期政権を築いたオカダ・カズチカ選手。

一方で、棚橋弘至選手は『IWGPヘビー級戦線』から外れ、新日本プロレスの中心から少し外れたところに活躍の場を移していた。

『IWGPインターコンチネンタル王座』や『NEVER無差別級6人タッグ』。中邑真輔選手退団後の白いベルトは、内藤哲也選手と棚橋弘至選手、鈴木みのる選手、クリス・ジェリコ選手などこれまでとは違う選手が手を伸ばす群雄割拠の世界となった。

また、『NEVER無差別級6人タッグ』を通じて田口隆祐選手が“監督”へと変貌。タグチジャパンを結成し、一躍田口監督の名前が新日本プロレスファンに知れ渡った。

トップ戦線から外れたところで、棚橋弘至選手はもがき色々な道を探していた。

そして2019年のイッテンヨン『レッスルキングダム13』で掴んだ第67代『IWGP王者』という栄冠。棚橋弘至選手にとって4年ぶり8度目の戴冠となる『IWGPヘビー級ベルト』。

そう、僕たちは今、最も輝く棚橋弘至選手を見ることができている。プロモーションで北海道へと飛び、温泉に浸かっているところを見た僕はこう思った。

棚橋弘至にはIWGPヘビー級ベルトがよく似合う、と。

 

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とにかく楽しそうな逸材

2019年1月の棚橋弘至選手はとても楽しそうである。毛穴という毛穴からエネルギーが溢れ出しているように見える。

先日配信された『棚橋弘至のPodcast Off!!』では久しぶりの『IWGPヘビー級ベルト』の“重さ”について語り、本日公開された新日本プロレス公式スマホサイトの日記では、ベルトを持ってプロモーションする楽しさが文章からも伝わってる。

人が心の底から楽しんで書いている文章は自然と伝わってくる。活字は動画やラジオに比べて情報量が少ない。それでも伝わってくるほどに棚橋弘至選手はいや、『IWGPヘビー級チャンピオン』ははしゃいでいる。

例えば、雪がしんしんと降る大地で上半身の筋肉を魅せつけて魅せたり、日本一の日帰り温泉・やわらぎの里 豊平峡温泉に浸かってみたり。

“100年に一人の逸材”というコピーのテロップミスをTwitter上で「間違い探し」と言い笑って済ます余裕は、イケメンチャンピオンが魅せる確かな自信の現れだろう。

とにかく今、棚橋弘至選手は充実している。そんな彼を見ているとやっぱり、所有物だと思っていた8キロの勲章が手元に戻ってきてよかったと思うわけだ。

 

終わっていたはずだった

棚橋弘至選手は僕がプロレスを見始めたタイミングで失速していた。2017年の東京ドームでは内藤哲也選手の前に敗れ去り、2019年の2月には鈴木みのる選手の前に手も足も出ずに敗北していた。

「棚橋弘至に引導を渡してやるよ」

「腕が痛ぇ、足が痛ぇ。そんなんで俺に勝てると思うな」

新日本プロレスを代表する2人のライバルから飛び出す言葉は辛辣であり、ドラスティックだ。正直、僕と同じ時期にプロレスファンになった方の中には棚橋弘至選手のことについて、過去の名レスラーだと思っていた人も思いと思う。

事実、僕もそう思っている時期はあった。

中邑真輔選手らと共に新日本プロレスの暗黒期に掛かっていた雲を取り払った重要人物。現在は、オカダ・カズチカ選手の前に敗れ去り、一線を退きつつある選手。

実際、2018年の「レスリングどんたく 2018」を見るまで、そう思っていたのだ。この頃から少しずつ僕の中の棚橋弘至選手像が変化してきた。

この人、明らかにすごくなってる気がする、と。

 

気持ちが掴んだ8度目の栄光

『G1クライマックス28』の決勝戦に進出した頃には確信に変わっていた。これは絶好調で乗りに乗ってる飯伏幸太選手すら止められないほどの存在になってきていると。

大きく変わったのは、相手の気持ちを引き出し超えるスタイルになったということだろう。

ベビーフェイスはその性質上、受けに回ることが多い。ヒールの攻めを受けきり大逆転を狙う。クラシカルなスタイルはプロレスの醍醐味でもあり、見応えのある試合を生む。

だが、2016年以降の棚橋弘至選手は蓄積されてきたダメージが表面化し、動きに精細を欠いていた。これまでと同じ戦い方では猛者が集まる新日本プロレスでは通用しない。

ハイスピードでアスリートのプロレスが主流になりつつあった新日本プロレスでは、現在の棚橋弘至のプロレスは通用しないのである。

そこで彼が選んだのは、自分の間に相手レスラーを引きずり込むことのような気がしている。全てが自分中心。逸材を中心に物事が進む試合だ。

後藤洋央紀選手の顎を砕いた最強のビンタや張り手。スリングブレイド、ハイフライフロー。俯瞰してみると、何も変わっていない。

だが、何かが少しずつ変わった。それが今の棚橋弘至選手のプロレスなのだ。

ジェイ・ホワイト選手との『IWGPヘビー級タイトルマッチ』が迫る中でもプロモーションに奮闘できるのは、今の自分のプロレスに完璧な自信が芽生えたためだろう。

2月11日の『THE NEW BEGINNING in OSAKA』で2人は激突する。

オカダ・カズチカ選手を東京ドームで破った『BULLET CLUB』のリーダーは明らかに力を高めている。

そんな彼をも受け止め、自分の間で制す。自分が最も似合う『IWGPヘビー級』ベルトを腰に巻き続けるためには、勝利しか無い。

それでも新日本プロレスの未来のために、プロモーション活動を行っている。そんな棚橋弘至選手を僕は心から強い男だと思っている。

だからこそ、彼はIWGPヘビー級ベルトがよく似合うのだろう。

余談だが、最近プロレスをほぼ見ない女の子と話す機会があった。その娘に選手の名前を出してみると、棚橋弘至選手に大きな反応を示した。

「メチャクチャカッコいい人ですよね!一回あの人のプロレス見てみたいと思ってたんです!」

そう、プロモーションの効果は徐々にだが、しっかりと現れているのだ。

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