タグチジャパンのNEVER無差別級6人タッグ戴冠見る、それぞれの変化

真壁刀義選手、矢野通選手、田口隆祐選手の新生・タグチジャパンが『NEVER無差別級6人タッグ』の新チャンピオンに輝いた。

今回のタグチジャパンは、新日本プロレス本隊とCHAOSの越境チームとなっており、これまで田口隆祐選手が構想していた計画が実現された形となっている。

イッテンヨン『レッスルキングダム13』の第0試合でガントレットマッチを制し、イッテンゴの後楽園ホールで前チーム王者であるタマ・トンガ選手、タンガ・ロア選手、石森太二選手へ挑戦したものの、チェーズ・オーエンズ選手と高橋裕二郎選手の介入により、敗れ去ってから約3週間。

再び巡ってきたチャンスにタグチジャパンは大きな結果を残したのだ。

が、そもそも矢野通選手はタグチジャパン入りを納得しているのだろうか。

敢えてコメントを残さない矢野通選手の胸中と今後のタグチジャパンについて考えてみたい。

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大人な対応で始まった再結成

G.B.Hから離反した矢野通選手が、まさか真壁刀義選手と再び同じコーナーに立つ日が来るとは思いもよらなかった。

遺恨が残っている2人の再会は、オカダ・カズチカ選手と棚橋弘至選手のドリームタッグ結成の裏で再始動していた。

2018年12月、タッグを組んだ矢野通選手から真壁刀義選手へのタッチは余りにも自然で何事も無かったかのように行われた。

ドリームタッグが結成された当初にタッチするだけでも大きな話題を集めていただけに、拍子抜けを喰らった感もあるほどのナチュラルなタッチ。

改めて考えれば、2人が別れた日から10年が経っているのだ。

流石に感情的にならずに、大人な対応を取るのが一般的だろう。

「時間が解決してくれることはたくさんあるよ?」

矢野通選手から改めて学んだことである。

 

運命の仙台とグッドガイ

宮城県出身の田口隆祐選手が、大阪で挑戦する『IWGPジュニアヘビー級王者』石森太二選手と向き合ったところからスタートした『NEVER無差別級6人タッグ選手権試合』。

チェーズ・オーエンズ選手、バットラック・ファレ選手、ジェイ・ホワイト選手までが試合に介入し、オカダ・カズチカ選手と棚橋弘至選手が救出に入るという非常に豪華な展開が待ち受けていた。

試合中、さまざまなエピソードがあった中で、やっぱり目が離せなくなったのは矢野通選手VSタマ・トンガ選手の「グッドガイorバッドガイ」論争だろう。

2019年1月3日からグッドガイになると言い放ったタマ・トンガ選手。昨年あれだけ悪事の限りを尽くしていただけに、鵜呑みにしろと言った方が無理な話である。

ただ、現在の『バレットクラブ 』がヒールとしての色を濃くしていく中で、彼の存在はかなり異質である。明らかに何かがある。そんな予感を持たざるを得ない。

田口隆祐と大先輩2人

田口隆祐監督率いるタグチジャパンは一時期、ジャパンと名前がつく割に“ガイジン”レスラーが選出され続ける時期があった。

今回、ラグビーをオマージュする展開になったのもそういった背景があるように思う。

ただし、再び再浮上をはじめたタグチジャパンで監督の脇を固めるのは純日本人であり、極悪の限りを行った2人だ。

これは湾曲し過ぎていると我ながら思ったことだが、極悪で険悪な関係にあった真壁刀義選手と矢野通選手の2人がラグビーを通じて再び信頼関係を築いている様子を見ていると「スクールウォーズ」を彷彿とさせられる。

G.B.Hが本隊に吸収されたあの日から10年。それはキャラクターも大きく変化していくだろう。

3人の変化

真壁刀義選手は他団体でデスマッチを繰り広げることでプロレスラーとしての才能を開花させた。

新日本プロレスのヤングライオン出身という超エリートコースにありながら、“雑草”とまで揶揄されるキャリアはかなり異色なものだとも言える。

ヒールレスラーとしての才能を爆発された後、巧みな話術とスイーツ好きというギャップを武器にバラエティの世界へ進出した。

プロレスラーは芸能人ではない。だが、あそこまで重宝される裏側にあるのは真壁刀義選手のキャラクターと人柄にあるのだろう。

G.B.H時代から行動を共にしている本間朋晃選手と再びタッグチームを結成するのか?極悪非道の限りを尽くし、プロレス大賞のベストタッグチームを受信した矢野通選手と再び栄冠を狙うのか。今後の展開が楽しみである。

大阪への期待

次に田口隆祐監督、いや選手。これはもう語るまでもないだろう。第69代『IWGPジュニアヘビー級王者』に輝いて以降、変態お尻おじさんとして異彩わ放ち、2017年からはタグチジャパンを始動させ、今回の越境タッグでも手腕を発揮している。

そして、「本気になった監督は怖くて強い」。

この勢いのまま大阪に突入すれば、2冠王になる可能性は十分にあるのだ。

そして、今回の一件で新日本本隊とCHAOSの距離がグッと近付いた。

CHAOSという名前がなくなることはないと思うが、今後も越境タッグは継続する可能性が非常に高いだろう。

越境タッグや吸収合併という一抹の寂しさを覚えるところにタグチジャパンという名前が入るだけで、本隊とは別ブランドの大きな枠に入ったという見方ができる。不思議なことにさほど違和感もない。

田口隆祐選手と棚橋弘至選手、中西学選手からスタートしたタグチジャパンがここに来て大きな存在感を発揮し始めている。

例えば、田口隆祐選手とYOH選手がタッグを組み、『IWGPジュニアタッグベルト』に挑戦するのもありだし、そうすることでSHO選手がシングル戦線に参入することもできる。

今後起こり得るロス・インゴブレナブレス・デ・ハポンとの抗争に向けても期待大だ。

 

矢野通選手の胸中

「ノー!バッドガイ!」

「サインが分からない」

など、リング内外で発する言葉は少ないものの、一つひとつのワードのパワーが強く、明らかに目が離せない存在となっている矢野通選手。

あれほどラフ戦法を得意としていて、強面で会場のファンをビビらせていた男が徐々に変化した姿は「矢野通の前にも後にも矢野通なし」というオリジナリティの塊だった。

タグチジャパン入りについて、否定も肯定もしていないままチャンピオンに輝くという快挙を成し遂げた。

これから一体どんなチャンピオン像を作っていくのだろうか。

現在、タマ・トンガ選手と並び『NEVER無差別級6人タッグ』最多戴冠記録の4を掴んだ敏腕プロデューサーはまだまだ底が知れない。

次回のDVDにも大きく期待したいところである。

個性の化学反応

10年前とは大きく変わった3人がはじめて3人でベルトを掴んだ。

世界を見渡しても3人タッグのベルトは珍しいようで、これから唯一無二の輝きを放つ期待が持たれる。

今日の仙台を締めた田口隆祐監督の「大好きでーす」の両脇でデニーロポーズを決めた後に握手とグータッチを交わしていた真壁刀義選手と矢野通選手。

目指すは『NEVER無差別級6人タッグ』最多防衛記録更新だ。

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