スウィッチブレイドショック!新日本プロレスは新時代へ
2019年2月11日、新日本プロレス「THE NEW BEGINNING in OSAKA」のメインイベントで大事件が起こった。
『BULLET CLUB』のジェイ・ホワイト選手が棚橋弘至選手を持つ『IWGPヘビー級ベルト』に初挑戦。そして、必殺のブレード・ランナーで初戴冠を実現した。
キャリア6年の26歳。
中邑真輔選手、オカダ・カズチカ選手に次ぐ若さでの戴冠劇に大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪) は大きく揺れた。
2012年にオカダ・カズチカ選手が巻き起こした「レインメーカーショック」以来のサプライズはこれからの歴史の中で「スウィッチブレイドショック」として語り継がれていくことだろう。
スウィッチブレイドショックから新日本プロレスは新時代へと向かうのだ。
“ガイジン”ヤングライオンの快挙
ジェイ・ホワイト選手は来日後、新日本プロレスの道場で育った。数年前までは海野翔太選手や成田蓮選手と同様にセコンド業務をこなし、先輩のお世話をしていた。
青い目のヤングライオンだったジェイ・ホワイト選手は2016年6月19日大阪で壮行試合を行い、海外遠征に旅立った。
その際、日本語でファンにメッセージを送っている。
「新日本プロレスリングは俺の家だ!(ファンを見て)あなた、あなた、あなた、あなたは私の家族です」と。
3年半前、第0試合でROHへと旅立った男は、メインイベンターへと成長を遂げた。
イッテンヨン『レッスルキングダム13』ではオカダ・カズチカ選手をも破った。
今、新日本プロレスで最も勢いのある男。それが“switch blade”、“リアル・ロックンローラー2.0”ジェイ・ホワイト選手なのである。
ブレード・ランナーの恐怖
ジェイ・ホワイト選手のブレード・ランナー(変形コンプリートショット)はとんでもないワザである。
レインメーカーを切り返し、ハイフライアタックを受け止める。すぐさま発車し、効果は絶大。
まさに勝つために生まれた最高の技である。この技を懸けた攻防も見応えは十分である。
棚橋弘至選手との試合終盤でも幾度と読み合いがあった。
貰った即終了の技を高速で繰り出してくるだけに、一瞬の隙すら与えられない。
オカダ・カズチカ選手ですらほぼ全員が勝ったと思った状況からびっくり返されたのだ。
今のジェイ・ホワイト選手は強い。一体、誰が新時代へと挑むのだろうか。
激戦のニュージャパンカップ
ジェイ・ホワイト選手の『IWGPヘビー級ベルト』を狙ってくる選手について予想してみたい。
おそらく『ニュージャパンカップ2019』の覇者が彼の対角線に立つのだろう。
今年の『ニュージャパンカップ』は激戦が予想される。
昨年は不在だったオカダ・カズチカ選手、後藤洋央紀選手、鈴木みのる選手が参戦してくるのだ。
タイチ選手が2年連続でエントリーしてくる可能性も高いし、石井智宏選手やEVIL選手、SANADA選手、2018年の覇者ザック・セイバーJr.選手もいる。
また、大阪に姿を現した飯伏幸太選手も『ニュージャパンカップ』での復帰を明言したし、『IWGPインターコンチネンタル王座』内藤哲也選手もエントリーを熱望している。そして、リマッチ権を持つ、昨年の準優勝者・棚橋弘至選手もいる。
昨年エントリーしていたレスラーでおそらく出場しないのは、『IWGP USヘビー級王者』ジュース・ロビンソン選手と公式ページからプロフィールが消えたチャッキーT選手の2名のみ。
群雄割拠となった春のトーナメントは一体どんな展開を迎えるのだろうか。
ちなみに、エントリーに対しての勝率では後藤洋央紀選手がダントツである。
あの日、「ざんまいポーズ」を一緒にやらなかった因縁がここで勃発するか。
はたまたオカダ・カズチカ選手が帰ってくるのか。
「白を持ったまま黒を目指す」と公言した内藤哲也選手が2016年以来の優勝を果たすのか。
そして、「『IWGPヘビー』は予約済みだ」と語った鈴木みのる選手が満を辞して春を制すのか。
ジェイ・ホワイト選手が新時代を生み出したことで、激化する挑戦者レースの火蓋が切って落とされたのだ。
フィクサーは多くを語らず
オカダ・カズチカ選手がレインメーカーショックを巻き起こし、ブシロード新体制の幕開けを作った時期、そのマイクは外道選手が常に握っていた。
太々しい若き王者は多くを語らずに「特にありません」といい続けてきた。
だが、ジェイ・ホワイト選手は常に英語でまくし立てるスタイルをとっている。
最近では外道選手がマイクを掴んで喋る機会は激減した。たまにはあの独特ながなり声を聞きたいと思うのだが、中々チャンスは巡ってきほうにない。
試合をぶち壊すほどの介入はしない。マイクも持たない。ただ、隣には常にそびえている。
バットラック・ファレ選手が「ジ・アンダーボス」から2つ名を変えたことも外道選手がキッカケになっているのかもしれない。
バレットクラブの時代
ジェイ・ホワイト選手が『IWGPヘビー級ベルト』。石森太二選手が『IWGPジュニアヘビー級ベルト』。
新日本プロレスの至宝を独占している状態となった『バレットクラブ』。
タマ・トンガ 選手は“Good Guy”を卒業し、“Good Bad Guy”と変貌を遂げるなど、それぞれの変化が著しくのも特徴である。
『ジ・エリート』と完全に別れたことで、もう分裂もないはずだ。
ただ、今日の大会で一つだけ見たい景色が僕にはあった。
それはベルトを持ったジェイ・ホワイト選手を『バレットクラブ』全員で祝うシーンだ。
ケニー・オメガ選手とCody選手が戦ったあの日から『バレットクラブ オリジン』が誕生し、正式な『バレットクラブ』へと生まれ変わった。
あの日から始まった新時代の幕開けの日でもあったのである。
『リアル・ロックンローラー2.0』というキリストも生還した今、彼らの新日本侵略は本格化していく。
俺はプロレスのため、このニュージャパン・プロレスリングの会社のためだけじゃなく、プロレス界のために闘っている。すべてはもう失われた。俺こそが真のチャンピオンであり、俺は世界を変える準備はできている。誰も俺を倒すことなどできない。この会社だけじゃなく、世界のトップに立った“SWITCHBLADE”ジェイ・ホワイト。ナンバーワン・アスリートだ。プロレス界だけじゃない、スポーツエンターテインメントのトップと言ってくれたっていい。それだけに、多くの役割を背負っている。俺は天才だ。
新しい『IWGPヘビー級王者』の対角線に立つのは一体誰になるのか。若き新チャンピオンの未来が楽しみである。