タイチと石井智宏が新日本プロレスで実現する次世代の師弟対決

新日本プロレス春の祭典「ニュージャパンカップ2019」が大いに盛り上がっている。

まずは、GK金沢さんが語る“格の違う名勝負数え歌”が2019年に復活したこの一戦。石井智宏選手と永田裕志選手である。

試合開始直後からバチバチのしばき合いとなったこの試合は、魂と魂を削り合うような展開となった。

以前は格が違うと見られていたインディー出身の石井智宏選手だが、現在は新日本プロrスで“名勝負製造機”と呼ばれるまでに自分の存在価値を高めた。現在の立ち位置はミスターIWGPとまで呼ばれたブルージャスティスに「胸を貸してやる」といい切れるほどにまでなった。

ラストは、垂直落下式ブレーンバスター。イッテンゴからスタートした因縁にいったんの終止符が打たれた。

リングの上で氷のうに入っていた水を、真っ赤に腫れ上がった永田裕志選手の胸に垂らし癒やした。

まさに石井智宏選手の力水である。

そして、2回戦で43歳のグリーンボーイの前に立つのは「鈴木軍」タイチ選手である。あまり縁のない二人だと思って「新日本プロレスワールド」で2人の名前を検索してみたところ、シングルマッチの動画はなし。タッグマッチも数試合とった状況だ。

バックステージのコメントで分かったことだが、最後のシングルマッチは京都

だが、2人が持つルーツの関係は複雑に絡み合う輪舞曲のようなものだ。

その舞台は新日本プロレスではなく、王道・全日本プロレスだった。

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決起したレジェンドの系譜

天龍源一郎の寵愛を受けた石井智宏選手。SWSにもプロレスリング・ノアにも行かず、全日本プロレスを貫いた川田利明さん。一本気な男の付き人を務めたいたのがタイチ選手である。

川田利明選手は当時、海外遠征から帰国したタイミングでも日の目を浴びることがなかった。華々しく活躍の幅を広げている三沢光晴(タイガーマスク)さんがいるだけに、モヤモヤしたものがあったに違いない。

だが、川田利明選手は条件反射的に潮目の変化を引き寄せた。

天龍源一郎さんと阿修羅・原さんの龍原砲とジャンボ鶴田さんザ・グレート・カブキさんとのタッグマッチ中にジャンボ鶴田選手へ攻撃を仕掛けた川田利明さん。

本隊に所属していたにも関わらず、一歩踏み出した行動は後の世界で大きなうねりをつくった。

阿修羅・原さんが素行不良で全日本プロレスを退団した後、天龍源一郎さんのパートナーは不在となった。

ライバルであるジャンボ鶴田さんを超えなければならない。その一方で、同じコーナーに立つレスラーがいない。その時最初のパートナーを務めたのが川田利明さんだった。

天龍革命の旗の下で着々と力を付けていった川田利明さん。

天龍源一郎さんの退団後には、聖鬼軍を結成。全日本プロレスのエースとなった三沢光晴さんとの抗争を繰り広げるようになっていく。

天龍源一郎さんのレボリューションに居ることで、地位と力を高めた川田利明さん。

この2人の師弟関係は天龍源一郎さんがSWSに行ったことで一時解消となるが、再び巡り合う瞬間がやってくる。

プロレスリング・ノアが旗揚げされても全日本プロレスに残った川田利明さんの元へ救世主として帰ってきたが天龍源一郎さんだった。

この時のことを馬場元子さんは「家出してきた次男が戻ってきたよう」と語った。

石井智宏選手とタイチ選手のルーツに存在する2人にはこういった関係性があるのだ。

 

VS本間朋晃

タイチ選手は本間朋晃選手に対し、普段のキャラクターからは想像できないほどの激励を送っていた。

大怪我から復帰。以前ほどの試合ができないことにもどかしさを感じていた本間朋晃選手だったが、全日本プロレス時代の後輩が見せた“本気の感情”に決起し、復帰後最大の試合を実現させた。

この試合の決着は聖帝十字陵。川田利明さんの必殺技であるストレッチ・プラムと同型の技である。

なぜ、この技を執拗に繰り出し、本間朋晃選手から勝利を掴んだのか。

ここには2つの意味があるのではないだろうか。

まずは、聖帝の根幹にある「愛ゆえに人は悲しまねばならぬ。愛ゆえに人は苦しまねばならぬ」という感情が聖帝十字陵には詰まっているということ。

次に、この技で石井智宏選手を倒すというメッセージだ。

師匠と同型の技でお前を倒す。そんな気概すら感じられた。

スープレックスや蹴り技がフィニッシュのタイチ選手に新しい可能性が生まれた一戦となった。

 

勝敗の予想すらできない

“名勝負製造機”VS“愛を捨てた聖帝”。どちらが勝つのか全く予想ができない。

ただ、これだけは間違いないのが、この日のベストバウトになるだろうということだ。

3月13日の岡山・ジップアリーナ岡山は現在、試合順が発表されていないが、おそらくこの2人がメインイベントを飾ることになるだろう。

タイチ選手が棚橋弘至選手戦以来となる、三冠パワーボムを繰り出すか。

それとも石井智宏選手がSANADA選手戦以来となるシャイニング・ウィザードやグーパンチ、特別なパワーボムを繰り出すのか。

勝負の時は刻一刻と近づいている。

「ニュージャパンカップ2019」から目を離すことができない。

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