2019年春、新日本プロレスのエースが英国の匠にリベンジを果たした日

「ニュージャパンカップ」と言えば、新日本プロレスのエース・棚橋弘至選手にとってある意味鬼門のトーナメントだった。

優勝候補の一角に違いない実力を持ちつつ、数年連続の一回戦敗退。

2018年の春に念願の決勝戦進出を果たすも、「鈴木軍」英国の匠ことザック・セイバーJr.選手の前に砕け散った。

誰しもが春を制し、オカダ・カズチカ選手の前に立つと予想していたが、その夢を叶えることができなかったのだ。

そして、あの日から一年の月日が流れた。

「ニュージャパンカップ2019」準々決勝には、昨年の決勝戦と同じカードである棚橋弘至選手VSザック・セイバーJr.選手がラインナップされた。

満を辞してのリベンジ。だが、ザック・セイバーJr.はここまでにEVIL選手、飯伏幸太選手という優勝候補をなぎ倒してきた。

もはやダークホースでも伏兵でもない。優勝候補の1人として成果を残してきている。

ここで棚橋弘至選手を破ることで、優勝への勢いと機運が劇的に増すのは間違いないのだ。

ただし、勝利を手にしたのは棚橋弘至選手の方だった。

2019年春、新日本プロレスのエースが英国の匠にリベンジを果たした日。

エースが久しぶりに興行を締めた時間までを書き残しておきたい。

新日本プロレスを愛し、ファンを心から愛す男は疲れることも、負けることも、タップアウトすることも無かった。

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関節技の攻防

心なしか棚橋弘至選手がザック・セイバーJr.選手との試合を楽しんでいるように見えた。

徹底してザック・セイバーJr.選手の土俵であるグラウンドでの展開に挑んでいく。いかにパワーで上回っていたとしても、細かいテクニックで出し抜かれてしまう。

立ち技に移行すれば鞭のようにしなる打撃が待っている。

コーナーに棚橋弘至選手を追い詰め、キレのある一撃でダメージを重ねていく。

この一戦、棚橋弘至選手の右腕にサポーターが無かった。気付けば衣装として、トレードマークにもなっていたサポーター。

確か内藤哲也選手との「IWGPインターコンチネンタル選手権試合」を控えていた際に、海外で痛めた時からだろうか。

弱点はない。疲れたことなはない。タップアウトしたことない(TTOとは...。)

そんな棚橋弘至選手の気概が伝わってくる。

ドラゴンスクリュー2連発

試合中盤に棚橋弘至選手のロープ越しのドラゴンスクリュー二連発が決まる。続いて、テキサス・クローバーホールドへ。

抜け出したザック・セイバーJr.選手は三角締めで応戦していく。

ザック・セイバーJr.選手対策で最も効果的なのは、常にロープエスケープできる位置で戦うこと。

内藤哲也選手がリベンジを果たした際も、この作戦が有効に働いていた。

だが、棚橋弘至選手はこの対策ではなく、普段通りの自分のプロレスに、英国の若き匠を引きずり込む作戦を持ってきた。

ミラノ・コレクションA.T選手によれば、スリングブレイドなどの受け身に失敗し、必要以上のダメージを与えることに成功しているという。

 

エース対英国の匠

ザック・セイバーJr.選手はガラス細工のように繊細なレスリングを行う。

常に張り詰めた集中を崩さずに試合を展開するため、疲労の度合いが凄まじい。

また、自身のスタイルを徹底するために作り上げた体は新日本プロレスのヘビー級戦士としては非常に細身である。

勝つためだけに作り上げた技術と肉体。その強さ。

最後は回転足取り固めで勝利を掴んだ。

「嘘だろ!?3つ入ってないだろ!?」足を抑えながら訴えるザック・セイバーJr.選手。

前代未聞の“ガイジン”レスラーによる「ニュージャパンカップ」二連覇という夢が潰えたのだ。悔しくないはずがない。

負けた感覚がないままの敗北。新日本プロレスのエースが英国の匠に一年振りのリベンジを果たした瞬間はザック・セイバーJr.にとってはビター過ぎる思い出の味となった。

全力でちょっくら

「新日本プロレスが浜松に帰ってきたぜ!!!!」

最近では、メインを単独で締める機会が減り、中々見ることができない棚橋弘至選手のマイク。

思わず「久しぶり!!」と叫びエアギターへ。

観客席から新しいギターが投げ込まれ、アンコールへ。

疲れている?ところもう一回。この光景はやっぱり盛り上がるし、新日本プロレスならではだし、最高だ。

10年以上エアギターを弾いている。10年以上だ。なのに飽きない。何度も見たい。

「浜松の皆さん...愛してます!」

次の相手は日本で一番◯◯が好きだと言い切るプレイボーイだ。

エースVS天才。どちらが勝ってもおかしくない試合となるだろう。

「頭から落とすだけがプロレスじゃないんだよ」2人のプロレスが共鳴し、凄まじい好勝負になることは間違いない。

 

この男の存在は偉大である

会場全体を回る前には「小さいお子さんがいるから押さないで欲しい」とアテンションを入れた。

こうやって新日本プロレスに来たファンを楽しませ続けてきた。

会いに行けるアイドルが生まれた時代に試合後近くまで来るレスラーとして、夢を見せ続けきた。

一期一会の出会いを大切にすることで、新規のファンがたくさんくる新日本プロレスを作ってきた。

本当に嬉しいそうな表情で棚橋弘至選手を待つファンの皆さん。まさに絶景だ。

2019年の新日本プロレスの主役は棚橋弘至選手の「IWGPヘビー級ベルト」戴冠から始まった。

まだまだ春を駆け上がる棚橋弘至選手のこれからが楽しみだ。

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