EVILの宣戦布告に石井智宏の影響力を感じた
EVILの宣戦布告に石井智宏の影響力を感じた。
現在、新日本プロレスは「KIZUNA ROAD」の真っ只中。「G1クライマックス29」のエントリー選手やブロック分け、会場別の対戦カードも発表となり、目の前の試合を楽しみつつ、真夏の最強戦士決定戦に向けて、機運を高めている状況だと言えるだろう。
「G1クライマックス」の選出から漏れた選手たちが遺憾の声を挙げ、それぞれのアクションを続ける中、選ばれた選手の中で最も話題を振りまいているのはこの男だ。
“キング・オブ・ダークネス”EVIL選手。よくよく考えれば二つ名がそもそもリングネームに入っているのは中々インパクトがあって素晴らしい。
闇の王の名に相応しく、新日本プロレスマットをダークネスに染め上げてきたEVIL選手。彼は今シリーズ、そして「G1クライマックス」で更なる飛躍を見せようとしているのかもしれない。
そのキッカケとなったのは石井智宏選手との一戦ではないかと僕は睨んでいる。
そう、タッグパートナーであるSANADA選手がシングルプレイヤーとしても完全に覚醒し、完全無欠の絶対王者オカダ・カズチカ選手のライバルとして認められた今、EVIL選手も一歩踏み出す勇気が必要なのだ。
SANADA
以前から度々書いていることだが、いつしかEVIL&SANADAの序列がSANADA&EVILに変化した。
少しの変化と侮るなかれ、この順番には大きな意味があるのだ。
歴史を辿ればクラッシュギャルズも長与千種選手とライオネス飛鳥さんのコール順もいつしか逆になっていたという。
試合内容、会場人気。タッグパートナーとして勝利を目指すことは共通の目的だが、コール順はある種の優劣を決めるものなのである。
事実、最近のタッグ戦ではSANADA選手が試合を決めることが増えていた。
また、各地域を一番好きだと語り、トレードマークのモヒカンを止め、黒から青へと色を変えたSANADA選手は今や新日本プロレスの看板レスラーになりつつある。
ほぼ同じ位置にいた男は、天性の華と華麗さで上のステージへと進んだ。
闇の熱を魅せる男へ
ザック・セイバー Jr.選手やクリス・ジェリコに敗れ、更なる闇を見たEVIL選手。
そんな言葉にできないモヤモヤを全てぶつけられる男が目に入ったから、とりあえずぶつかってみた。
これが前シリーズにあった石井智宏選手とEVIL選手の抗争だったように思う。
現代の新日本プロレスでトップ戦線にあるレスラーは高い身体能力と華やかなビジュアル、スタイルの良さが揃っているタイプが多い。
例えばオカダ・カズチカ選手でありSANADA選手であり、飯伏幸太選手である。
内藤哲也選手は華を制御不能な毒で補い、棚橋弘至選手は圧倒的なヒロイック性で新日本プロレスのエースとなった。
EVIL選手はトップに食い込む実力と強烈なキャラクター性の2つが強みであるが、もう一つ何かが必要だったのだ。
そこで見つけたのがVS現代の新日本プロレスという分野だったように思う。だが、この選択はある意味で諸刃の剣になりがちだ。
何故ならば、本来外部から新日本プロレスにやってきたレスラーが持つべき思想と同じ方向を向いているためである。
つまり、徹底的に貫かなければ説得力に欠けてしまうのだ。
貫く男へ
EVIL選手は今シリーズ徹底的に突っ張っている。
「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」の絆を確かめ合うグータッチパフォーマンスに参加をしない。しかも、かなり間をとった上でしないのである。
このパフォーマンスは1人ロス・インゴ時代の内藤哲也選手を彷彿とさせた。
極論、試合中にもタッチに応じないなど、制御不能っぷりをみせてはどうかと思うほどだ。
さらにEVIL選手はバックステージでこう発言している。
言ったろ? 今シリーズは、この俺がもらったってな。それとSANADA、そして内藤、鷹木とも闘うかも。だから、仲間であろうとも、容赦しねぇから。よく覚えとけ
今シリーズはもらった。「G1クライマックス」開催前から自分のペースを作るべく日々、リングでリングの外で戦っているのだ。
そして、同じくAブロックに入ったSANADA選手だけではなく、内藤哲也選手、鷹木信悟選手にも宣戦布告の言葉を残した。
優勝決定戦でもリーグ戦のインパクトでも負けない。
ここからが自分の出番だ。そう言わんばかりの強気な姿勢を垣間見せている。
周囲と馴れ合わず、己の道で結果を残す。
この姿勢は誰かの影響を受けていると言わざるおえないだろう。