覚醒のランス・アーチャー！新日本プロレスの赤い台風
覚醒のランス・アーチャー！新日本プロレスの赤い台風は2019年の「G1クライマックス」で爆発的な進化と飛躍を遂げた。
元々、「鈴木軍」“アメリカン・サイコ”ランス・アーチャー選手は圧倒的な実力とタッグを主戦場とした実績を持っていた。
デイビーボーイ・スミス・ジュニア選手との「キラー・エリート・スクアッド（K.E.S.）」は新日本プロレスの「IWGPタッグ王座」に3度輝き、プロレスリング・ノアでは「GHCタッグベルト」を10度防衛（歴代最高記録）。
「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」のSANADA選手&EVIL選手と「IWGPタッグ」での激闘は結果こそ“制御不能”な2人に軍配が上がるケースが多かったが、内容では圧倒しているケースも少なくなかった。
2018年のイッテンヨン「レッスルキングダム」で開始早々EVIL選手をグロッキー状態に追い込いこんだことも記憶に新しい。
でかい、早い、動ける。そしてなによりも強い。
魅力溢れるレスラーであることは多くのファンに伝わっていたが、何かブレイクスルーのキッカケがなく、大爆発に至っていない状況が続いていたように思う。
そして、いよいよ花開く瞬間が訪れた。赤髪となり、圧倒的な実力を遺憾無く発揮する時がやってきたのだ。
僕が見た中で究極のプロレス技「EBDクロー」を引っさげたランス・アーチャー選手は今、最も新日本プロレスで目が離せないレスラーの1人である。
最強技・EBDクロー
「G1クライマックス29」の開幕直前、「KIZUNA ROAD 2019」からランス・アーチャー選手の変化は始まっていた。
「ロッポンギ3K」SHO選手に見舞った「EBDクロー」は、これまで見た数々のプロレス技の中でも特に目を見張った一撃となった。
をEBDクロー」をシンプルに言えばアイアンクローである。握力で顔面を潰す。それだけ。
それだけのことなのに、ここまでインパクトとこれは返せないという印象を抱かせるのはランス・アーチャー選手が持つレスラーとしての魅力に他ならない。
そして、ウィル・オスプレイ選手を破ったのは「EDBクロー」で額を潰しつつ、更に上に乗りカウントを取るという力こそパワーの荒業だった。
あの状況に陥った場合、誰が相手でも返せる気がしない。痛い、メチャクチャ痛い。その上、ファールもされている。痛すぎてカウントが耳に入っていないあるいはそれどころじゃない。
完璧な決め技をランス・アーチャー選手は手に入れた。
おそらくオカダ・カズチカ選手ですら決まったら何もできない技だけに、ここからの飛躍が楽しみで仕方ない。
ビジュアルの変化
ランス・アーチャー選手は「G1クライマックス29」からトレードマークのロングヘアーを真っ赤に染め上げ、サイドを刈り上げた。
「誰だ！このオーラ半端じゃないレスラーは！？」
と思わず対戦カードを見直したほど、ランス・アーチャー選手のビジュアルは洗練され、一新されていたのだ。
そして、「G1クライマックス29」では破竹の勢いで支持率を高めていく。
2メートル3センチ、120キロの才能が弾けた。
「赤い実はじけた」ファンたちはこぞってランス・アーチャー選手に魅了されていく。
嘘だろ？という敗北を経て迎えた新日本プロレスのエース・棚橋弘至選手との一騎打ちで、ランス・アーチャー選手への大歓声が形となったのだ。
「ゴー！エース！！アーチャー！！！」の大歓声。これはこれまでは巻き起こらなかった声援の台風だ。
聖水のパフォーマンスを奪われた“アメリカン・サイコ”。「鈴木軍」が誇るヒールレスラーに歓声が飛び交うようになったのだ。
優勝候補として
現在、ランス・アーチャー選手は2勝2敗の勝ち点4。トップを走るオカダ・カズチカ選手らとは4点差が付いているものの、3位タイといった状況だ。
続いての相手はSANADA選手を破り流れに乗っている飯伏幸太選手。足の負傷はあるものの、2018年の雪辱を晴らすべく、ギアを更に一段上げつつある。
「EDBクロー」さえ炸裂すれば相手が誰であれ勝利が確定する可能性もあるため、目が離せない試合となるのは間違いないだろう。
エースも一目おく逸材
ギリギリまで棚橋弘至選手を追い詰めたランス・アーチャー選手だが、白星を掴むことはできなかった。
棚橋弘至選手がこれまでに残したコメントを振り返ると、今後のランス・アーチャー選手が新日本プロレスのトップ戦線に食い込んでくる可能性は十二分にある。
俺が知っているランス・アーチャーとは、別人だった。恐ろしかった。たくさんの大型の外国人選手と戦ってきたけど、どの選手にも似てない、ランス・アーチャー・オリジナル。俺に、あの身長があって、あのマスクがあって、あの器用さがあれば……。
さておき。２勝２敗。もう負けられない。疲れない、落ち込まない、諦めない！ 自分で言ったことは責任持つから。ちょっくら、２連覇してきます
あの棚橋弘至選手が羨望の眼差しを向けるポテンシャル。ここからランス・アーチャー選手がどのように新日本プロレスでの立ち位置を作っていくのか楽しみである。
