タイチが挑むNEWERA。暗黒時代を生き抜いた男たちの意地

タイチが挑むNEWERA。暗黒時代を生き抜いた男の意地を見た気がした。

新日本プロレスには暗黒四天王という言葉が存在している。

石井智宏選手、本間朋晃選手、タイチ選手、ミラノコレクションA.T.さん。

新日本プロレスの勢いが衰退し、V字回復の谷底を迎えた時期。新日本プロレスのリングに集まった4人はそれぞれの個性を発揮した。

現在、暗黒四天王はそれぞれの立ち位置で新日本プロレスを盛り上げている。

一方で、外道選手を従えNEW ERA(新時代)を表明し、“ガイジン”レスラーとしては最年少の「IWGPヘビー級王者」となったジェイ・ホワイト選手という選手がいる。

洗練されたビジュアルに天性のプロレスセンスを併せ持った男は新日本プロレスに凱旋復帰後1年半でトップ戦線の仲間入りを果たした。

棚橋弘至選手がNumberのインタビューで「ちょっとヤバい」と語ってしまうほどの才能を持った若きレスラー。

実績に人気が追いついていないという課題はあるものの、そう遠くない未来に彼の一挙手一投足に多くのファンが夢中になる日も近いと言えるだろう。

そんなジェイ・ホワイト選手を小僧と言い切り、「外道が来るならこっちはのぶだ」とTwitterで宣言したタイチ選手。

2人の試合は一体どんな展開になったのだろうか。そして、もう1人の暗黒四天王。石井智宏選手は後藤洋央紀選手とどんな試合を魅せたのか。

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大泥棒の秘儀

と、本題に入る前に大泥棒が秘儀“マーメイド”戦法を駆使して、新日本プロレス来日後全勝ロードを突っ走っていたジョン・モクスリー選手に待ったを掛けた。

3カウントでもタップアウト勝ちでもない。20カウントリングアウト勝ち。

現在の新日本プロレスにおいてはある意味で非常にレアな勝利である。

おそらく今後の戦いを見据えてもジョン・モクスリー 選手からリングアウト勝ちを奪うのは矢野通選手だけなのではないか。

そんなことを想像させるような試合だったように思う。

チクショー! ヤノ、この俺から得点を盗んだってことを忘れるんじゃないぞ。ここでお前だけに構ってるわけにはいかない。ヤノよ、ほかのヤツを叩きのめしたら、お前にお返しだ。(※海野の胸ぐらをつかんで)叩き潰してやる! (※ここでおとなしい口調になって)こんなところでヤノにやられたからって、イライラしていてはダメだ。俺が行くべき道を踏み外さないこと。だけどそのうち、お前を叩きのめしてやるからな。今夜はよくやったとだけ言っておくよ。お前の奇妙な闘い方に付き合ってしまったのがいけなかった。ああいう闘い方に関しては、お前の方が上手だったよ。(※左肩を回しながら)まあ、壊されてはいないようだな。まだまだ俺の左腕は使える。(※海野に向かって)オイ、行くぞ

世界のスーパースターの一つ先を行く男。それな矢野通選手なのである。

 

人の道を外れた男

ヒールVSヒール。タイチ選手とジェイ・ホワイト選手の試合は試合開始前から異色の空気が流れていた。

「外道を先にぶっ飛ばす」、「司令塔が居なければただの若僧」。

確かにジェイ・ホワイト選手に破竹の勢いが出たのは邪道外道と共に「バレットクラブ 」入りを果たして以降である。

完全無欠の王者オカダ・カズチカ選手を育て上げた手腕を持つマネージャーさえ先に潰してしまえば、聖帝の勝ちは揺るがない。

これがタイチ選手の帝王学で導き出した答えだった。

事実、2人の試合内容だけを切り取ってみればほぼ互角の展開となった。紙一重。そう、紙一重の差を作ったのは外道選手だったように思う。

タイチ選手とジェイ・ホワイト選手は共に己の間に相手を引きずりこむことを得意としている。

そのため、2人の試合は主導権の握り合いが軸になると予想されていた。

 

試合を分けたのはやはり、急所蹴りからのタイチ式外道クラッチを外道選手に妨害されたシーンだろう。

もしも、あそこで介入がなければ試合は決まっていた。

仲裁の金丸がセコンドからゲキを飛ばすも一歩及ばなかった。

そう、それほどまでにジェイ・ホワイト選手と外道選手の“タッグ”は強すぎた。

タイチ「(※コメントスペースに集まっている記者に向かって)何しにきた? お前ら、何しにきた? オイ、コラ、コラ、オイ、コラ、オーイ! 話変わってくんぞ。話変わってくんだ、コラ。話変わってくんだ、これで。違うんじゃねぇか、ちょっと。話変わってくんだ、お前らマジで。わかった。『G1』も関係ねぇ。変わってくんだ。『G1』がなんだ。『G1』のブロックなんて関係ねぇ。マジだ。マジでいくぞ。クソッ。オイ、もう1回やらせろ。『G1』関係ねぇぞ。総力戦だ

予選落ちが確定したタイチ選手。明らかに納得がいっていない聖帝はどこへ向かうのか。

 

完全燃焼した2人

2人とも黒のTシャツを来ての入場。

開始のゴングが鳴り響くと後藤、石井コールが大音量で鳴り響いた。

いきなり2人の試合に目を奪われる。

プロレスは本当に凄い。ショルダーでぶつかり合うだけで息を飲む。2人の間に流れる空気だけで、こんなにも目を惹きつけられる。

福岡のメインイベントは意地と意地の張り合いだった。

相手が繰り出す重い一撃をスカすことなく、受け止める。更には効いていないとばかりに仁王立ちで表情すら変えない。

我慢なんだ。

辛い時でも我慢して、涼しい顔をする。それがどれだけ難しく周囲に影響を与えるのだろうか。

プロレスを通じ2人は会話しているようにも見え、完全燃焼へ向かいボルテージを上げ続けていた。

この日、後藤洋央紀選手が打ち勝つシーンが少しだけ目立った。

最後は牛殺し式のGTRを経て、GTRで石井智宏選手を沈めた。

「G1のGは後藤のG」

今年2度目となる締めのマイクを僕は胸を熱くして見ていた。

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