後藤洋央紀の狙いは白と赤の同時戴冠ではないか?

後藤洋央紀と鷹木信悟の大和魂に心を奪われた話をしたい。

大和魂という言葉が似合うこの2人にはある共通点があった。それは、自分の近しい人間、同級生が先に新日本プロレスへ入団している点にある。

後藤洋央紀選手は柴田勝頼選手。鷹木信悟選手は内藤哲也選手。

それぞれが同級生の先輩を持っていた。少し正確に書くと、後藤洋央紀選手と柴田勝頼選手は桑名工業高校の同級生であり、共にプロレスラーを目指しながら3年間汗を流した盟友。

鷹木信悟選手と内藤哲也選手はアニマル浜口道場で出会い、内藤哲也選手の言葉では「仲は良くなった」らしい。

2019年の夏。「G1クライマックス29」で鷹木信悟選手は後藤洋央紀選手の運命を変えた男になった。

もしもの話しだが、あの日後藤洋央紀選手が勝利していれば、飯伏幸太選手と優勝決定戦を争う相手はジェイ・ホワイト選手ではなかった。

2016年の夏に飾った準優勝。それ以来の舞台に立つチャンスを奪ったのが、一匹の登り龍だったのである。

荒武者による龍退治。言葉にしてしまうと、分かりやすい図式になるが、現実はそう簡単にはいかない。

機動力とパワーを併せ持った昇り龍は後藤洋央紀選手に序盤からペースを握らせる事はなかった。

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強さと機動力

なぜ、鷹木信悟選手の試合は面白いのか。こうしたことを思案するだけでも、ご飯を何杯でも食べられるのがプロレスファンならではの特技ではないだろうか。

鷹木信悟選手の魅力はなんと言ってもパワーと機動力にある。ただし、この2人があれば試合が面白くなるわけでもない。

後藤洋央紀選手との試合を通じて、魅力の本質が見えてきた。鷹木信悟選手のプロレスはリズムがいいのだ。しかも、従来の新日本プロレスで活躍していたレスラーと少しテンポが異なるのである。

基本的にスピーディーな攻めを魅せるが、間を作る際に魅せる目配せや観客いじり、対戦相手への挑発など様々な要素を組み合わせていることがこの試合を通じて見えてきた。

鷹木信悟選手はバックステージでこう残している。

鷹木「ハァハァ……。(床に倒れこみ、座り込んで)初めてくらったよ、あんな強烈なの。まだ、両手がシビレてる。強ええなあ、後藤! まあ、負けたけど! 負けたけど、べつに悔やむこたねえ。今日の悔しさをバネに、また強くなって、上を目指して上るだけだ! この一敗。まだまだこれからだ、必ず陽は……また上る!」

そう、これこそが後藤洋央紀選手の魅力でもあるのだ。

 

見縊るな!

後藤洋央紀選手は「IWGPベビー級ベルト」の戴冠経験こそないものの、平成後期の新日本プロレスでトップ戦線を張ってきたレスラーである。

バヂバチのしばきあいが一般的であるが、実際は2つの能力にとても長けている。

一つは技の多彩さとオリジナリティ。もう一つは対戦相手を輝かせるタフネスさと受け身技術である。

ここでは後者について書いていきたい。

後藤洋央紀選手から勝利あるいは試合を通じて、スターダムへと上り詰めたレスラーは数えきれない。

オカダ・カズチカ選手や内藤哲也選手、ケニー・オメガ選手、飯伏幸太選手、ジェイ・ホワイト選手などトップレスラーは全員後藤洋央紀選手という壁を超えている。

タフネスで上手くて強い後藤洋央紀選手をねじ伏せる。後藤洋央紀選手は相手の魅力を引き出すプロレス力にも長けているため、試合を通じて評価も上がる。

これが後藤洋央紀選手がファンの心を掴んで離さない最大の理由なのだ。後藤洋央紀選手にもっと輝いて欲しい。あの栄光に手が届いて欲しい。そんな想いが溢れて止まらなくなるのである。

 

白の王者!二冠王へ

鷹木信悟選手に勝利した後、後藤洋央紀選手はフランスから取り寄せた熟成されたものを受け取り、今回の勝利について語り出した。

何でこのタイミングなのか。その答えについていくつか予想をしてみたので列挙していきたい。

柴田勝頼選手が新日本プロレスに入門した年とLA道場のヤングライオン たちへのプレゼント。※実際は一年違う。「G1クライマックス」で後藤洋央紀選手が初優勝した際、新日本プロレスを退団していた柴田勝頼選手にメッセージを贈り、大目玉を喰らった経験がある。自分のスペシャルシングルマッチの勝利とLA道場のヤングライオンたちがリーグ戦を無事に終えた祝い。この2つの視点を持ち、わざわざフランスから23年ものを取り寄せたのではないだろうか。

次に受け取ったものが“白”ではなく、“赤”という点である。内藤哲也選手キッカケにスタートした二冠王ブームだが、元を辿れば後藤洋央紀選手にたどり着く。

当時「IWGPインターコンチネンタル王者」だった後藤洋央紀選手が「IWGPヘビー級王者」オカダ・カズチカ選手に挑戦を表明した時にぶち上げたのが、同時戴冠プランだった。

後藤洋央紀選手はもしも、鷹木信悟選手に勝利したら“白”のベルトを狙いにいくと決めていたに違いない。にも関わらずフランスから取り寄せたのは赤だったのである。

白を取った次は赤を狙う。そして、三冠王としての締めくくりに黒(IWGPヘビー級ベルト)を狙うのではないだろうか。と、深読みし過ぎている感もあるが、こうした贅沢な楽しみ方もあるのがプロレスの醍醐味である。

おそらく、「和」のイメージを払拭し、インターナショナルな一面をアピールすることが目的だったように思う。

 

プレミアムの意味

最後に。これが一番気になったことでもある。なぜ、後藤洋央紀選手はこの日のツイートで闇の王がかつて使用していたフレーズをツイートしたのだろうか。

そもそもEVIL選手が新日本プロレスに凱旋帰国した際、最初の壁となったのが後藤洋央紀選手だった。

爽やかで礼儀正しかったヤングライオンに一体何が起こったらこんなことになるのか。その現実を確かめるため、後藤洋央紀選手はEVIL選手とのシングルマッチを戦った。

あれからもう4年が経とうとしている。

破壊後に起きる再生。後藤洋央紀選手が何かを起こすときのパートナーは一体誰になるのか。この点についても注視していきたいところである。

なにわともあれ2015年以来となる「IWGPインターコンチネンタル選手権試合」が決定する日を楽しみに待ちたいと思う。

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