石井智宏が“先輩方”へ苦言。プラスアルファの意味を考えてみる

石井智宏が“先輩方”へ苦言。そして、後藤洋央紀の関西弁について書きたい。

2019年11月27日に開催された新日本プロレスの静岡・アクトシティ浜松大会で永田裕志選手&中西学選手組に勝利した「CHAOS」石井智宏選手がかつて柴田勝頼選手に「ケツが青い先輩」と揶揄された第3世代、真壁刀義選手、本間朋晃選手に対してコメントを残した。

自分よりも上の世代へ牙を向けた。その意味は必ず存在している。僕が気になっているのは石井智宏選手は客を楽しませればいいと思っている、と先輩方へ問題提起した点である。

物足りない、物足りない。

過去にあって今にないもの。プロレスにおけるプラスアルファを見せるべきと石井智宏選手は語る。

恐らくプラスアルファを言語化するのは僕には難しい。リングで命を懸けたことがない。

そんな人間がどんなに想像力を働かせたところで、プラスアルファの領域に踏み込めるとは思えないのだ。

ただし、プロレスにおけるプラスアルファは分からなくても、編集ひいては執筆についてのプラスアルファであれば僕にも語ることができる。

そして、その全ては大仁田厚選手の言葉に行き着くのだ。ヒューマニズム。これこそが人が人たる証である。

そして、ファンを喜ばせる先に存在するのは感動なのだ。

 

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名勝負製造機たる所以

2018年、石井智宏選手は“名勝負製造機”と呼ばれるようになった。

どのレスラーと試合してもベストバウト級。相手の長所をとことん引き出す器用さと相手の熱さを引き出す漢気。

相手の魅力を引き出しきった試合になるため、自然と相手の格が上がっていく。

いつしか人が彼を“名勝負製造機”と呼ぶのは自然な流れだったのかもしれない。

某レスラーは激しぎる試合でファンの度肝を抜いたが、相手の格を上げることはできなかった。ここがレスラーとしての違いだった。上と下の話ではない。右か左か、という話なわけだが。

「ニュージャパンカップ2019」で石井智宏選手は永田裕志選手と激突し、「ミスターIWGP」の魅力を最大限に引き出していた。

この時のメッセージは今も心に残っている。

まず、試合後にアイスパックの蓋を開け、冷水を永田裕志選手にかけてからリングを去ったこと。

そして、43のグリーンボーイからのメッセージだ。

言ったろ? 言ったよな。自分でジジイとか年寄りとか言ってる野郎には負けねえって。老けたかどうか知らしめる? 体力が低下したから一線退いたわけじゃねえ? 50代でIWGPチャンピオン? ふざけんな! 笑かすな! そのためになんかやったのか、あいつは? なんもやってねえだろう。なんか行動したか? 何もしてねえだろう。なんかアピールしたか? おい、現状に満足してねえんなら、なんで打って出ねえんだよ。チャンスなんかよ、待ってたって来るわけねえだろう。そんな野郎には負けねえつってんだ。俺はよ、あいつみてえによ、自ら『G1』辞退したり、後輩に道を譲ったりしねえからな。そうなったら終わりだ。気持ちが負けてんだ。口でどうのこうの言ったって、気持ちで負けてんだよ。そんな野郎には負けない。でも永田、てめえ50だろ? 50だよな? まだ遅くねえ。もう一回気持ち入れかえて俺んところに来いよ。もう一回胸貸してやる。永田に言っとけよ。43のグリーンボーイからのメッセージって

 

お客を楽しませる先

ボクシング漫画「はじめの一歩」でミックスアップという言葉が登場したのを覚えているだろうか。

主人公の幕内一歩と千堂武士の試合で発生した「試合の中でお互いが高めれていく」状況。

双方が試合を通じて成長するつまりは強くなっている。そんな状況をミックスアップと表現した。

石井智宏選手の試合ではミックスアップが起こっているのではないだろうか。

自分が思っている以上の試合ができる。過去、アントニオ猪木さんだったらホウキとでも試合ができる。風車の理論といった現代プロレスの基礎を次々と生み出したのがアントニオ猪木さんだ。

そして、石井智宏選手はアントニオ猪木さんの薫陶を受けた長州力さんとジャイアント馬場さんに見出された天龍源一郎さん2人のDNAを受け継ぐ世界で唯一のレスラーである。

相手を光らせ、自分を光らせる。そして、お客を満足させる。

その先にある感動やヒューマニズム。プロレスとの向き合い方。ここにプラスアルファがあるのではないかと僕は読んでいる。決して正解は分からないが。

 

納得のいくものだけの世界

あなたの業界を見渡してみて欲しい。石井智宏選手の言葉を借りれば「物足りない」と思うことがあるかもしれない。

物足りねえな。物足りない。今日、それから石川(小松)、名古屋、全員物足りねえ。あいつらよ、ただ試合こなしてるだけなんだ。プラス・アルファがねえんだ。客がよ、盛り上がればいいと思ってんだ。それで満足してんだ。客はだませても、俺はだまされねえぞ。元IWGPヘビー級チャンピオン。元IWGPタッグチャンピオン。元G1覇者。そんな昔の栄光、今となっちゃ、クソくらえなんだよ。オイ、わかるか? そのプラス・アルファをよ、出さねえ限り、あいつら全員終わりだ。くだらねえ……

「物足りない」、「プラスアルファ」。あなたの仕事でも考えて見てほしい。

そうすれば、あなたの職場でも“名勝負製造機”になれるのかもしれない。

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