獣神サンダー・ライガーとKUSHIDAの置き土産について想いを馳せる

獣神サンダー・ライガーとKUSHIDAの置き土産について想いを馳せてみる。

2020年。“ガイジン”レスラーの参戦が厳しい状況下に置かれた新日本プロレスのリングは大きく動きだした。

不戦の契りまではいかないとは言っても、ヘビーとジュニアヘビーが直接対決で交わるといったことはほぼ無かったわけで。実際にあるとすれば以下の3つが主だった。

  1. 旗揚げ記念日(ヘビー王者とジュニア王者)
  2. ヘビー級への転向を前提とした無差別級挑戦
  3. 突如組まれるスペシャルシングルマッチ

例外を挙げるならば、KUSHIDA選手が新日本プロレスを退団する際に組まれた棚橋弘至選手との壮行試合だろう。自身をセルリアンブルーのリングに招いてくれた恩人に対して、恩返しであり今の自分を魅せる戦いは多くの感動を生んだ。何度見ても胸にジーンと来るものがある。

そして、今のヘビーVSジュニアの構図を体現したのが、獣神サンダー・ライガーさんの最終章だと僕は考えている。

KING OF PRO-WRESTLING 2019年10月14日 東京・両国国技館 第4試合 スペシャルシングルマッチ 獣神サンダー・ライガー VS 鈴木みのる。

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前哨戦では鬼神ライガー。両国国技館にバトルライガーが再臨するという獣神最終章の総決算であり、彼のキャリアにおいて最後のシングルマッチ(新日本プロレスでの)がこの試合となった。

改めてこの試合を振り返っている時にふと気がついた。

長時間醸成され、熟成したレスラーの前に“階級”という壁が存在しない。

この試合をジュニアVSヘビーという軸で見ていた方はほぼいなかったのではないだろうか。

 

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KUSHIDAと棚橋弘至の一戦

僕はこの試合を後楽園ホールの2Fから見ていた。

改めてになるが、KUSHIDA選手と棚橋弘至選手の一戦から。あの試合を振り返ってみると、棚橋弘至というレスラーを全身で感じようとしていた印象が残る。

KUSHIDA選手が無差別級としての戦い方に徹し勝利を掴むというよりも、この試合を通じて棚橋プロレスを自分の中に取り込む。そんなテーマが存在していたように思う。

この試合にはジュニアとヘビーの色分けが明確に現れていた。単純なパワー勝負ではヘビーが有利。スピードと俊敏性ではジュニアに分があるという具合に。

恩人でありどこか師弟関係のような絆を感じさせた2人の関係性があったからこそ、階級の壁をすっ飛ばすことに成功した。

ヘビーだからジュニアだからという話しではなく、「KUSHIDA選手が棚橋弘至選手に負けた」というスタンスで結果を受け入れることに成功していたのだ。

更には『ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア』で優勝決定戦に進出したウィル・オスプレイ選手と鷹木信悟選手がそれぞれ『G1クライマックス』に参戦。

ウィル・オスプレイ選手は棚橋弘至選手から大金星を取り。鷹木信悟選手は後藤洋央紀選手から勝ち星を奪った。

そして、暑い夏が終わり、獣神サンダー・ライガー選手が鈴木みのる選手と激突した。

 

2020年のニュージャパンカップ

2019年の『G1クライマックス』にエントリーされていなかったものの、トップ戦線を張り続けている“プロレス王”と“世界の獣神”一戦はプロレス史に残リ続ける名勝負となった。

ジュニアとヘビーには上下の差は存在しない。存在するのは体重という明確な違いだが、戦術や戦略で勝利を掴むことができる。

こうした概念が2019年の時点で生まれていた。そして、2020年の春。新日本プロレスが大きく動いた。

語弊を恐れずに言ってしまうと、『ニュージャパンカップ2020』は例年よりも面白かった気がする。

もちろん、プロレスを見ることができなった日々というスパイスが効いているのは事実としてある。ただ、ヘビーVSジュニアヘビーというフレッシュさが新しい科学反応を生んだ。

そして、この流れに完全に乗り新しい魅力を爆発させたのがエル・デスペラード選手だったように思う。

あの手この手を用いて、石井智宏選手を追い詰めるファイトはひょっとするとこれは勝てるのでは?という期待を生み出した。

この試合が呼び水となり、次々と名勝負が連発されていく流れが生まれた。高橋ヒロム選手に至っては本間朋晃選手と石井智宏選手、矢野通選手を撃破している。

その勢いで『IWGPヘビー&インターコンチネンタル』ダブル選手権試合にまでたどり着いた。

いよいよ僕たちもオープンウエイトに慣れてきたというタイミングで、今度は新しい価値観の試合がはじまろうとしている。

 

KOPW2020スタート直前

オカダ・カズチカ選手が提唱した『KOPW2020』が今週水曜日からスタートする。

実はオカダ・カズチカ選手VS高橋裕二郎選手の試合を除き、全てがヘビーVSジュニアヘビーという対戦カードだったりする。

『KOPW』の面白いところは自分が有利なルールを提示し、ファンから選ばることで、階級差を埋めることができる点にある。

SHO選手のサブミッションマッチに関して言えば、ウエイトよりも技術がものをいうし、エル・デスペラード選手と小島聡選手がもし必殺技禁止マッチに決定した場合には、1番もらいたくない技を警戒せずに戦うことができるのである。

これは僕の推測だが、おそらく今後も『KOPW』でジュニアVSヘビーの試合が組まれていくはずだ。

ちなみに、ヘビー側からロープワーク禁止マッチが提示された場合、高さや反動をつけることで破壊力を上乗せしているジュニア戦士が圧倒的に不利になる状況も作れたりする。

ジュニアとヘビーが対等に戦う世界が当たり前になりつつあるのだ。

※スーパージュニアとG1クライマックスだけはウエイトで制限をかけたほうが面白そうだとは思う。スーパージュニアにヘビー級のレスラーが参戦しているイメージは全く湧かないわけだが...。

今、この状況を生み出す礎を作った2人。改めて彼らの功績に思いを馳せつつ、今日のところはこれまで。

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