僕たちはついてゆけているのか?本当のEVILの成長に

僕たちはついてゆけているのか?“闇の王”EVILの真骨頂と急成長に。

2020年9月24日。この日、最も会場を沸かせたレスラーはYOSHI-HASHI選手だったのかもしれない。

前二冠王である“キング・オブ・ダークネス”EVIL選手を文字通り「ギリギリまで追い詰める」ことに成功。本当に紙一重の差まで追い詰めた。

最後はEVIL選手の勝率を爆発的に高めた急所攻撃が分けたものの、「NEVER無差別級6人タッグ王者」があの日叫んだ「物事が変わるのは一瞬」は嘘ではないと証明される試合となった。

解説席に座っていたミラノ・コレクションA.T.さんが激昂した瞬間、必殺の“EVIL”が炸裂し、試合は決まったが、多くの人々がYOSHI-HASHI選手の支持を更に高める試合となったのは間違いない。

脚の負傷により脂汗をかきながらリングへと向かい秒殺された「ニュージャパンカップ2020」。結果でリベンジとはならなかったものの、内容を見れば一目瞭然だった。今のYOSHI-HASHI選手は強い。そして、輝いている。

と、本来であればYOSHI-HASHI選手にスコープを当てた内容を書くわけだが、少し気になることがあった。

先週も同じように輝いたレスラーがいたのではないか、と。

ザック・セイバーJr.選手。対角線に立っていたのはEVIL選手だった。

そう。二冠戦に敗れ、改めて深い闇へと落ちた“キング・オブ・ダークネス”EVIL選手は今、恐ろしいスピードで進化しているのではないか?僕はそんな予感を覚えている。

 

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ベビーフェイスを輝かせる

僕はこの2試合を通じて、ザック・セイバーJr.選手とYOSHI-HASHI選手がより一層好きになった。

汚いダーティーファイトに対して、正々堂々と立ち向かう。悪に対して真っ向から向かっていくプロレスは多くの人々の心を打ったに違いない。

ただ、こうも思った。今、新日本プロレスで最もヒールとして飛躍、成長しているのはEVIL選手なのではないか、と。

理由は簡単だ。まず、本来であればヒールであるはずのザック・セイバーJr.選手が完璧にベビーフェイスのように見えるほどキャラクター性、試合内容で圧倒していたこと。

YOSHI-HASHI選手は棚橋弘至選手からも認められるほどの光属性。天性のベビーフェイスである。そんな彼が今のEVIL選手の前に立った時、とてつもない化学反応が起こった。

確かに残念ながら勝利にこそ至らなかった。ただ、2019年まで考えれば、EVIL選手とYOSHI-HASHI選手の試合がここまで盛り上がるとはイメージすらできなかったことだろう。

最後の最後で天敵っぷりを魅せつけたザック・セイバーJr.選手。最後の最後で一歩及ばなかったYOSHI-HASHI選手。

2人がこれまで以上に輝いていて見えたのはEVIL選手の力が大きく高まっているからなのでは?と僕は想像している。

 

昨今のヒール事情

続いては新日本プロレスのヒール事情について考えてみたい。

大きくヒールユニットとして存在しているのが“バレットクラブ”と“鈴木軍”。

ベビーでもヒールでもないユニットである“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”。

ヒールからスタートしたがオカダ・カズチカ選手とYOSHI-HASHI選手の加入、ヒール色の強かったレスラーたちの離脱(高橋裕二郎選手、飯塚高史さん。2018年にジェイ・ホワイト選手、邪道選手、外道選手)によりほぼベビーフェイスになった“CHAOS”。

僕はリーダーがユニットの方向性を決めると思っている。

例えば、リーダーが不変の鈴木軍。鈴木みのる選手は全くブレない。

ヒールという言葉すら超越したプロレス王が率いる“外敵”の実力者集団。それが、“鈴木軍”なのだ。

悪いことをしなくても十分に強い。この前提と美学が“鈴木軍”にはある。

リーダーが変わることでイメージを変えてきたのが“バレットクラブ”だ。

プリンス・デヴィッド選手時代は完全なヒールユニット(ベスト・オブ・ザ・スーパージュニアで全試合介入し、全勝優勝するほど)。

AJスタイルズ選手時代はヒール色はあるものの、ダークヒーロー色も高まっていった。

 

ケニー・オメガ選手時代が最も顕著だ。

ダークヒーロー路線からのフェイスターン(ゴールデン☆ラヴァーズ復活)は“バレットクラブ”からヒール色を奪った。

その結果、タマ・トンガ選手らが反乱。新しい担い手としてジェイ・ホワイト選手が誕生し、プリンス・デヴィッド選手以来のヒールユニットへと戻った。

そして、“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”。

「リーダーがかわっていないが、かわった」内藤哲也選手が変わったのだ。

一歩踏み出す勇気。

この言葉以降の内藤哲也選手は完全にベビーフェイスとなった。ギラギラとしていたヒール色は完全に形を潜めている。

本来であれば“バレットクラブ”と“鈴木軍”、“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”がヒールユニットにあたるわけだが、“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”が実質ベビーフェイス状態にある。

“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”で最もヒール色が強かったEVIL選手がやりにくさを感じるのは致し方ないことだったのかもしれない。

 

2つのメインイベント

EVIL選手はここから2度メインイベントの舞台を踏むことになる。

棚橋弘至選手、内藤哲也選手との試合である。

「何がなんでも勝つ」と宣言した春(夏)。

有言実行で覇者となった男は、ヒールとしてさらなる進化を遂げつつある。

相手を輝かせることができるということは、自分の術中に相手を引き摺り込むことができるということでもある。

結果だけに特化した時期から、内容、インパクトでも圧倒する時が近づいている。

今回の「G1クライマックス30」。EVIL選手にとっては勝つこととヒールとして何かを掴むことがテーマになっているのかもしれない。

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