“無冠の王者”オカダ・カズチカの狙いを徹底考察

“無冠の王者”オカダ・カズチカの狙いを徹底考察。

2021年秋。再び土砂降りの金の雨が日本武道館に降り注いだ。

一夜明けた2021年10月23日。「G1クライマックス31」を制したオカダ・カズチカは胸中に秘めた本当の目的を口にした。

「4代目IWGPヘビー級ベルトを権利証の代わりに持たせて欲しい」、と。

この発言について3つ思うことがある。

  1. 権利証システムの崩壊
  2. レインメーカー復活の本当の意味
  3. 鷹木信悟の立場

まずは、2012年から続いた「G1クライマックス」覇者の権利証システムがある終わりを告げたことだ。

元々、権利証システムはオカダ・カズチカが「G1クライマックス」初出場、初優勝を成し遂げた時、マネージャーだった外道が提案したものである。

「レインメーカーに相応しい(タイトルマッチ)の場所を用意しろ」

つまりは東京ドーム。最も盛り上がる場所で、G1クライマックス覇者が新日本プロレスの頂きに挑戦。これが“レインテーカー”外道の狙いだったのだ。

そこから権利証システムには不思議なジンクスがつきまとうようになった。

2020年まで権利証が動くことはなかった。飯伏幸太がジェイ・ホワイトに負けるまで、一度たりとも権利証が動くことはなかったのだ。

※結果的に飯伏幸太は内藤哲也から指名を受けて、“イッテンヨン”東京ドームのリングに立つこととなった。

話を戻そう。「G1クライマックス」覇者は例年、IWGPヘビー級王者への挑戦権を獲得。その権利を保持しつ続ける戦いへ身を投じるのがセオリーだった。

ブリーフケースに入れた権利証を守り続ける。そう、チャンピオンと同じように。

今回、オカダ・カズチカは権利証ではなくIWGPヘビー級ベルトを求めた。

一方でIWGP世界ヘビー級王者への挑戦権は必要ないと。

今、新日本プロレスの権威が揺らぎ始めている。

 

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レインメーカー復活の意味

オカダ・カズチカは狙っていた。

“レインメーカー”復活とは“レインメーカー”を解禁したファイトスタイルの変化や言動、立ち居振る舞いではなかったのかもしれない。

“レインメーカー”の所有物を取り戻す。邪神らの手によって歪んでしまった歴史を壊し、もう一度「IWGPヘビー」を復活させる。

これが「G1クライマックス」後に描いていたビジョンだったに違いない。

飯伏幸太選手を待つという気持ちは本音。彼が封印したベルトを復活させて欲しいは建前だ。

明らかにオカダ・カズチカはこのチャンスを狙っていた。

誰も文句が言えない新日本プロレスのトップに返り咲いた瞬間。あのタイミングしかないところで、4代目ベルトの復活を提示した。

 

IWGPヘビーとレインメーカー

彼はプロレス人生で「IWGPヘビー級ベルト」以外を巻いていない。タッグも挑戦こそするが一度も手にしたことはないのだ。

もしも、鷹木信悟との「IWGP世界ヘビー級選手権試合」に勝っていれば初の別タイトル保持となったが、どこか乗り気になれなかったのかもしれない。

“レインメーカー”の所有物は大人が勝手に統一したタイトルではない。

“レインメーカー”のベルトは歴史と伝統が詰まった最強の一本であるべきだ。

彼が持つ「IWGPヘビー」のこだわりは常人では想像を絶するものなのかもしれない。

オカダ 『G1』を優勝したことですし、「また飯伏幸太と闘いたい」と、そういう繋がりじゃないですけど、そういうモノを持っていたいなと思いまして。まあ、『G1』チャンピオンではありますけど、モノとしては何も持っていないので、せめて飯伏幸太が封印した4代目IWGPのベルトをですね、べつにボクがいまからまた第何代IWGPヘビー級チャンピオンと名乗るつもりはなくて、ただそれを持って飯伏幸太を待ちたいということなので、いつもだったら権利証を持って闘っていくなかでそれを会社がOKなのであれば、それを4代目IWGPヘビーのベルトを権利証という風にしてもらいたいなと。あらためて、ここでお願いしたいなと思いますし、会長もいるので会長にもOKかどうかをいま確認してもらえたらなと思うんですけども……。

出典:新日本プロレス

 

鷹木信悟の危機感

仮に菅原会長への提案が通り、オカダ・カズチカへ権利証代わりのIWGPヘビー級ベルトが渡ったとする。

そうなると、オカダ・カズチカの腰には無冠ではあるものの、「IWGPヘビー級ベルト」が輝くことになる。

この期間は最低でも飯伏幸太が復帰するタイミングまで続く。

少し話しがずれるが、2021年2月15日、“ヤングライオン”中島佑斗が左肘の関節が外れ、即レフリーストップになったが、未だリングには復帰してない。

怪我の症状の状況や復帰時期などは追々、新日本プロレスから発表となるだろうが、目安として3ヶ月は帰ってこない可能性がある。

つまり、新日本プロレスは内藤哲也に続いて、飯伏幸太を欠いた状況で進んでいくのだ。

話を戻そう。

オカダ・カズチカは無冠の王者として「IWGPヘビー級ベルト」を腰に巻いて“スペシャルシングルマッチ”を繰り返していくことになる。

タイトルの歴史にこそ残らないが、ファンは「IWGP」の権威を持つ者としてオカダ・カズチカを見ることになる。

60分一本勝負。ベルトを保持した状態の「IWGPヘビー級選手権試合」でオカダ・カズチカは無類の強さを発揮する。

変則ルールだったり、二冠戦以外でしばらく負けていないはずだ。

今回もその力学が発動し、オカダ・カズチカは勝ち続けるだろう。

そうなると、バツが悪いのが鷹木信悟だ。

「IWGP世界ヘビー級ベルト」は落ち着きこそしたが、いわく付きのベルトとして賛否両論のあるタイトルである。

どっちを指示する?と言われると、僕は「IWGPヘビー」を支持せざるおえない。

鷹木信悟は歴史の強さを知っている。2本分の価値を継承したというブランドはあっても新設されたタイトルである事実は変わらない。

世論はいつかオカダ・カズチカを求め出すかもしれない。その危機感が龍を襲っている。

 

二冠と無冠

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オカダ・カズチカは自分がファン投票を持ち出し、二冠戦を実現させてしまったことをずっと悔いていたのだと思う。

なぜ、あそこで完全否定をせず、ファンに結果を委ねてしまったのか。

外道がいたら完全無視で決め込んでいたかもしれない。

「レインメーカーに余計ものは必要ない。超一流は常にシンプルなんだよ」と。

結果、二冠戦は二冠ならではの盛り上がりを作ることなく終了。記憶にあるのは日本を持っているチャンピオンの写真だけだ。

そして、王座の統一。賛否両論の嵐が吹き荒れたが、オカダ・カズチカは中心から程遠い場所にいた。

今の自分が何を言ってもワガママに見えてしまう。筋が通らない。自分があの時、ファン投票さえ選ばなければ...。そんな想いが“レインメーカー”を封印させたのだ。

マネークリップは2020年のニュージャパンカップから新しいフィニッシャーとして正式に使用されている。

まるで自分が受けた苦しみを相手にも分け与えるかのように締め続ける。

“レインメーカー”でド派手に勝つのではなく、地味に絞め落とす。

マネークリップという言葉自体が皮肉だ。

巨万の富を持つ“レインメーカー”の金を挟めるクリップなど存在しない。分厚すぎて挟まないはずなのだ。

それを敢えて金を挟むクリップと名付けた理由とは何か。そこにもオカダ・カズチカが隠していたメッセージがあるのかもしれない。

二冠騒動の次は無冠騒動。“無冠の王者”オカダ・カズチカの狙いは二冠で歪んだ新日本プロレスの歴史と伝統を戻すことにあると僕は予想する。

予定調和ではなくユニット名が掲げる“混沌”を新日本プロレスで巻き起こす。

今、再び“レインメーカー”が時代の中心に立っている。

※今回、文体のため全て選手に対して敬称を省いた。

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