石森太二がナチュラルベビーフェイスとして完全覚醒
石森太二がナチュラルベビーフェイスとして完全覚醒。
“ナチュラルヒール”という言葉がある。
“ベビーフェイス”も“ヒール”もともすれば“ダークヒーロー”ですらレスラーが選んでいるブランディングである。
新日本プロレスのエース。天下無敵のベビーフェイスである棚橋弘至選手の内面だって“キラー・棚橋”が眠っているし、“敏腕プロデューサー”矢野通選手がもう一つの本性を剥き出しすると大の大人が絶句する“金色の夜叉”が目覚める。
どんな人間に表に出ている顔と裏の顔があるように、レスラーにもブランディングとその内側に眠る本性がある。
“バレットクラブ”の“ボーンソルジャー”石森太二選手はブランディング的には完全にヒールだ。
新日本プロレス参戦後はずっとヒール一本。
ただ、その内側にある“ナチュラルベビーフェイス”としての本性はずっと見え隠れしていた。
高橋裕二郎選手とタッグを組んだ時にちょっといじられる感じや“キープオンジャーニー”など様々なシーンで彼の本当の魅力が徐々に広がりつつあった。
そして、「ベストオブ・ザ・スーパージュニア31」でその魅力が完全に爆発した。
「新日本ジュニアはエル・デスペラードと高橋ヒロムだけじゃねーんだよ!」
— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) 2021年11月27日
まさに一進一退!
25分越え“白熱マッチ”は、石森がヒロムからBoneLockで電撃勝利!!
【11.27藤沢結果】
★試合の詳細は新日本プロレス・スマホサイトで速報中!https://t.co/QDAgJHc7FA#njpw #njbosj pic.twitter.com/D82Qk6CkuV
石森太二の強さと凄さ
石森太二選手は常にコンディションが最高潮だ。
側から見ると自分を律するといった発想がないレベル。そう見えてしまう程に、彼がコンディションを崩している時を見たとこがない。
試合中、上背が無いことが弱点に見えるシーンが全くないのも、彼がそのレベルまで自分を高めることに成功したからだろう。
ここが彼の強さである。
もう一つの凄さ。これが今の石森太二選手の魅力だ。
これまで石森太二選手はクリーンな試合が多かった。
“ヒール”ではあるものの、汚いことはしない。己の肉体が凶器なのだと言わんばかりにパワフルな試合を見せ続けてきた(エル・ファンタズモ選手と組む時は別)。
だが、今回のシリーズから激しい試合に加えて、ダーティーファイトが組み立てに入ってきた。
明らかに場外攻撃やエグい攻撃、レフリーのブラインドを突いた一撃の比率が増えた。
本来のブランディングである“ヒール”の一面が色濃くなってきたことで、内面にある“ナチュラルベビーフェイス”としての凄さが色濃くなってきた。
ここに矛盾がある。
ファイトは“ヒール”寄りになったが、コメントが完全に“ベビーフェイス”化している。
ここに強さと凄さの融合がある。
ナチュラルベビーフェイス
これまで石森太二選手のコメントはどこか芝居がかっていた。元々、鷹木信悟選手のように饒舌なタイプではない。
その上、“ボーンソルジャー”としてのキャラクターもある。
試合は完璧。マイクは苦手。そんな印象を持っていたのは僕だけではないはずだ。
だが、最近の石森太二選手は変わった。
感情が乗った言葉を聞いていると素直に「メチャクチャカッコいい」と思ってしまう。
「高橋ヒロムとエル・デスペラードだけではない」
色々な感情が混じったその言葉が胸を打つ。
“ダークヒーロー”化したと言えば分かりやすいのだが、石森太二選手は“ナチュラルベビーフェイス”として覚醒したと僕の中では思っている。
「ヒロムー! やっぱ、オメーはスゲーヤツだな(場内拍手)。認めたくねえけどよ、クソッ!(と、リングを拳で叩いてから、仰向けになり天井を見上げる)。オレはアイツみたいに、元気よくペラペラペラペラしゃべれねえけどよ、一つだけ、言っといてやる。新日本ジュニアは、エル・デスペラードと、高橋ヒロムだけじゃねえんだよ、オイ!(場内拍手)。前も言ったけど、あらためて言う。オイ、オレを見ろ。オレがジュニアの強さ! 凄さを! 見せつけてやるよ(場内拍手)。It’s Reborn!(場内拍手)」
ファンタズモの胸中
石森太二選手がナチュラルベビーフェイスとしての才能が爆発したタイミングでパートナーのエル・ファンタズモ選手が不穏なコメントを残していた。
サドンデスの謎が解き明かされた時、彼は新日本プロレスジュニアから追放されるのではないか。
その後、彼を待つのはヘビー級。そんな未来がよぎってしまうバックステージコメントだった。
「(※上半身を起こし、フロアに座リ直して)俺は世界で1番トーナメントで結果を出してきたレスラーだぞ! 『ECCW Pacific Cup』優勝、『RevProブリティッシュJ-CUP』優勝、GWFライトヘビー級ワールドカップ優勝、そして『SUPER J-CUP』2連覇のこの俺が、なぜかこの『BEST OF THE SUPER Jr.』では最下位だ! いや、今年はほとんどの外国人が日本に来れないいま、“BEST”とは呼び難い。しかし、そんな中でも俺は最下位だ!」「(※ゆっくり体を動かし、正座するような姿勢になり、ビデオカメラを凝視しながら)次の相手はヒロム! ヒロム……ヒロムちゃん! お前だ! みんなが俺たちの対戦に期待してるな。お前、(ヒロムの攻略本の)俺のページに、“Don’t waste your talent(才能のムダ遣い)”って書いてただろ! 意味わかって言ってんのか? (攻略本を作りながら)糊の匂いを嗅いで頭イカれたんじゃねぇのか!? “俺が才能をムダにしてる”じゃなくて、“俺の才能が真っ当に評価されてないの間違いだろ! “才能のムダ遣い”だと? ハハ……じゃあ、俺もオスプレイみたいに殻を破った方がいいのか!? いまこそ俺の真価を見せるときかもしれないな。このリングで俺に出来ないことは何ひとつない。でも全部見せてしまったら、残りのジュニアが全員、俺の引き立て役になってしまうだろ。“才能のムダ遣い”だとよ! (※ゆっくり立ち上がりながら)たしかにこのクソみたいなジュニアにいたら、そりゃ俺の才能は活かされないな……」
★2021年11月29日新着記事★
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