SHOの気持ちを全て受け止める石井智宏、その先にあるSANADAとの再戦
SHOの気持ちを全て受け止める石井智宏。今日はそんなコラムを書いてみたい。
今回、特に僕の独断と偏見による解釈が大きい。本当のことは当人にしか分からないため、こういった見方をしている人がいる程度に受け止めていただきたい。
“生きがい”。
日々の生活を送っていて、あんまりこういったことに踏み込む機会はそう多くないと思う。
僕もそう。なかなかこういったことは考えない。
「あなたにとって生きがいは何ですか?」と訊かれても「うーん」と少し考え込んでしまう。
ただ、自分の人生の中でインパクトが大き過ぎることが起きると状況は一変する。
心が壊れそうだから、自分自身と向き合う。それでも答えは出ない。自分のことは自分が一番分からないためだ。
己の人生の“生きがい”と重く考えると答えは出ない。ただ、その瞬間瞬間で夢中になれるものはあるはずだ。
目の前のことに着手する。今、やりたいことをする。行き場のない気持ちにはぶつける先が必要だ。
SHO選手は今、同門である「CHAOS」のお兄さんに本気で挑んでいる。己の実力一本でのし上がり、“名勝負製造機”とまで呼ばれるようになった石井智宏選手はSHO選手の気持ちを全て受け止めている。
YOSHI-HASHI選手の初戴冠で感動のフィナーレを迎えたあの日の後楽園ホール。ピンフォール負け喫したのはSHO選手だった。
あの日のリベンジ。これが表のテーマ。ただ、今のSHO選手にはもう一つのテーマがあるに違いない。僕はそう感じてならない。
NEVER6人タッグを戴冠する意味
本日のセミファイナル。SHO選手はオカダ・カズチカ選手、矢野通選手と組んでチャンピオンチームに挑戦する。
パートナーであるYOH選手は長期欠場中。ロッキー・ロメロ選手も来日してない状況下のため、“ロッポンギ3K”は事実上の活動休止状態にある。
その間、SHO選手は予てから構想があったはずの無差別級路線に踏み出した。
分かりやすく言えば、“大好きな”鷹木信悟選手への借りを返すことが当初の目的だった。本気でぶつかって、乗り越える。
研究に研究を重ねた結果、「ニュージャパンカップ2020」でリベンジに成功。今度は己は「NEVER」で生まれたというテーマを設けて「NEVER無差別級」戴冠への物語を作り出した。
このストーリーテーリング力がSHO選手の魅力であり、支持率を高めているポイントだと僕は捉えている。
そして、この夏。SHO選手に一つの命題が生まれた。
「打倒 SANADA」である。
SANADA選手は「IWGPヘビー級」以外のシングルベルトには相手からの指名がない限り挑戦しない。
スペシャルシングルマッチが組まれるのは年に1度しかない。これまでに戦ったのは、ジェイ・ホワイト選手、鈴木みのる選手、YOSHI-HASHI選手。SANADAとなって新日本プロレスに参戦したタイミングでオカダ・カズチカ選手、棚橋弘至選手と戦っているものの、このチャンスを作り出すには中々難しいものがある。
ただ、タッグとなれば話は別だ。SANADA選手は「NEVERの中で6人タッグが1番好きです」と公言したことがある。
SHO選手が「NEVER無差別6人タッグ」のベルトを戴冠することで、「打倒 SANADA」への物語がつながるのだ。
生きがい
あの日以降、SHO選手は腕ひしぎ逆十字固めを磨き続けている。そして、同門対決の枠を逸脱するほどの勢いで石井智宏選手を挑発し続けている。
礼儀正しく、穏やか。ただし、リングの上では情熱的なファイトでファンを虜してきたSHO選手が試合終了後に奇襲を仕掛けるなどこれまで想像もできなかったことである。
石井「おい、田中、熱くなんのが遅えんだ、コラ。でもいい、田中、(NEVER6人タッグのベルトを掲げて)獲れるもんならよ、俺から獲ってみろ。(SHOの姿を見つけて)おい、田中、オラ! おめえ、やんのか、オラ! 俺から獲れよ、じゃあよ」
SHO「(石井の声を聞きつけて近づいてくると向かい合って)おめえから獲ってやる!」石井「おお、言ったな?」SHO「俺がおめえから獲ってやる」
石井「楽しみにしてやる」
SHO「(去って行く石井の背中に向かって)ああ、しっかりコンディション整えてこいよ、この野郎」
SHO選手は一つひとつ階段をのぼっていく。
まずは、石井智宏選手へのリベンジ。その先に「NEVER無差別6人ベルト」チャンピオンとして 「打倒 SANADA」を実現する。直接、勝利を奪えばスペシャルシングルマッチを新日本プロレスに提案し、実現することだってできるのだ。
そのためにも今日、SHO選手は勝たなければならない。いい意味でも悪い意味でもYOH選手が復帰したら無差別級としてのシングルプレイヤーや6人タッグとは距離を置く可能性が高いためだ。
石井智宏選手はSHO選手が描いている絵を知っている。だからこそ、120%で俺に向かってこい。俺が全て受け止めてやるからかかってこい。お前のネガティブなもん全部ぶつけてこい。という姿勢を貫いている。
バックステージでは何も語らない。世の中にもSHO選手にもノイズを与えない。
「お前は今、お前のやりたいように生きればいいんだ」
石井智宏選手が“生きがい”になっている。人生における超える壁は多いほうがいい。
「僕は独りだ 祈るべき神も祈る言葉もとうに無いさ どこへ行けば どこまで行けば あなたの言葉の意味がわかる 意味が見つけられる?」
自分の限界を超えさせてくれるのは他人
ここまで直接的な表現は全て避けてきた。ただ、読んでいてイマイチピンとこない方はこの日のポッドキャストを聴いて欲しい。
※コメント欄は見ないことを推奨する。
SHO選手はギリギリで戦っている。リングに立っているだけでも本当に強いと思う。
歴代最強とも言えるほどにレベルの高い3人が相手だ。結果はすぐに出ないかもしれない。
続けること。己を超え続けることがこれからの人生で大切なのだ。
矢野通選手と共に「CHAOS」を創った中邑真輔選手は以前こう語っている。
「自分の限界を超えさせてくれるのは他人なんです。だから、それが家族、仲間、対戦相手だったり」
いろいろな存在が自分自身の壁を乗り越えさせてくれる。今日、仲間であり、最高の対戦相手がSHO選手の対角線に立つ。前回とは異なる試合になることは間違いない。
石井智宏選手がSHO選手の気持ちをどう受け止めるか。僕は今日、この点に注視して観戦したいと思う。
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