YOSHI-HASHIとDOUKIの物語。『NEVER6』過去最高の輝きに

YOSHI-HASHIとDOUKIの物語。『NEVER無差別級6人タッグ』過去最高の輝きに。

人の優しさ、仲間への気持ち。今、新日本プロレスで最も輝いているベルトは「NEVER6無差別級6人タッグ」なのかもしれない。

このベルトをキッカケに人生で初めてチャンピオンになったYOSHI-HASHI選手は大きく変わった。

いや、正確には新日本プロレスの活動自粛後からコンディションが完全に上向いていた。

シーズンに関係なく処置されていた肩のテーピングがないことでもそれは明らかだ。

YOSHI-HASHI選手は元々、応援したくなる力というレスラーとしては比類ない才能を持っていた。これがレスラーにも伝わったことで、「NEVER無差別6人タッグ」が別物のベルトのように輝きを放つようになった。

大きく変わったのは点は2つ。チャンピオンによるベルトへの愛着とチームの人間模様である。

前者に関してはシンプル。「YOSHI-HASHIのためにも頑張る」2人の兄貴分からはそんな気持ちがビンビンに伝わってくる。勿論、YOSHI-HASHI選手は人生で初めて手にしたチャンピオンベルトをガウンの上から巻くほど愛している。

元々実力者が揃ったチームだけに、連携の完成度も文句なし。2人でも3人でも連携技を次々と繰り出してくる。

そして、後者だ。

オールフォーワンの心意気。「CHOAS」が前述したようにYOSHI-HASHI選手を中心にしたチームであるならば、今回の相手「鈴木軍」はDOUKI選手が両脇に「IWGPタッグ王者」タイチ選手とザック・セイバーJr.選手を携えた形になる。

プロレスラーは度々星座に例えられるが、この試合は美しく輝く星座が2つ急接近した試合だったように思う。

DOUKI選手は2015年10月10日の東京愚連隊興行で日本マットに初登場。つまり、この試合が日本デビューから5年を記念した試合でもあったのだ。そんなメモリアルな試合で対角線に立ったのはYOSHI-HASHI選手。

5年前のツイートに意味が無いわけがないのである。

「G1クライマックス」とは違うタッグならではの試合。この試合は本当に素晴らしかったので、新日本プロレスワールドで何度でも見直してほしい。

まだ見てないよ?という方はすぐに加入してチェックすることをお勧めする。

今回は僕の心の琴線に触れたポイントをいくつか紹介していきたい。

 

f:id:yukikawano5963:20201024075554p:plain

後藤洋央紀の献身

膝を負傷している石井智宏選手をタイチ選手とザック・セイバーJr.選手による合体技ユニオーネの竜巻が襲う。

2度目はストップできなかったものの、1度目の危機を救ったのが後藤洋央紀選手。

更にはタイチ式ラストライドをモロに食らった石井智宏。このピンチに現れたのも後藤洋央紀だった。

「CHAOS」がベルト防衛できた裏側には間違いなく後藤洋央紀選手の献身的なチームプレーがあったのは間違いない。

GTW、YOSHI-HASHI選手との合体技GYW。チームに水を運ぶ役割を担いつつ、決めるところは完璧に決まる。

大人の戦い方をする後藤洋央紀選手はミラノ・コレクションA.T.さんを絶句させるほどの試合巧者だった。

 

ユニオーネの想い

この日のタイチ選手は本当に気合が入っていた。

絶対に「NEVER無差別6人タッグ」を取るのだ、と。表情からも完璧に気概が伝わってきた。

「DOUKIに新日本プロレスでベルトを巻かせる」そんな明確な意思を感じた。

一方で解説席の“相棒”ミラノ・コレクションA.T.さん。

「後藤選手!!今日だけは恨むぞ!!!」

解説とは解いて説くと書く。

ミラノ・コレクションA.T.さんは完全に鈴木軍贔屓。そこまで感情を爆発させることができたのは「CHAOS」の矢野通選手が隣にいたことが大きいのだろう。

彼の心を想像すると目頭が熱くなってくる。

自分を頼って単身メキシコに渡り、苦労という言葉では足りないほどの経験を積んできたDOUKI選手。

今は「鈴木軍」に身を置いてるため、話にも出ないが新日本プロレスのレスラーがメキシコに渡ると彼とコンタクトを取っていたらしい。

それほどまでにレスラー間の中で信頼が厚い人物なのだ。

ミラノ・コレクションA.T.さんは棚橋弘至選手や本間朋晃選手と同じ年齢である。

目の怪我さえなければ現役バリバリだ。

あの試合で自分がこのリングに立つことができない悔しさが込み上げたのは間違いない。

そんな彼の目の前で繰り出されたイタリアンストレッチNo.32。意味がない訳がない。意味がない訳かないのだ。

どれだけミラノ・コレクションA.T.さんはリングに立ってDOUKI選手をサポートしたかったことだろう。

そんな気持ちを知ってか知らずか“ユニオーネの竜巻”にこだわったタイチ選手。

この試合、実は解説席を含めた4VS4のタッグマッチだったのかもしれない。

 

ヘビーとジュニアの差

棚橋弘至選手が「G1クライマックス30」でザック・セイバーJr.選手を破った時、非常に印象的なメッセージを出していた。

棚橋「ザックはスタミナもあるし、スピードもある。技もキレる。けどな、みんな、みんな忘れてるかもしれないけど、体重がないよ。新日本プロレス、今ヘビー級っていう境目が曖昧になってきているけど、100kg以上がヘビー級というものであるならば、最後の十字を押さえ込んだのも同じ体重だったら、返せたかもしれない。でも、俺は5カウントまで押さえたから。  

今回、絞った俺が体重の話をするのは一番逆説的でおもしろいんだけど、やはりね、体重1kg違えば戦い方が変わるってね、レスリングの先生にも言われたし、1階級変わればそういうことだと思うから。プロレスの基本的な部分、今まで受け継がれてきた大事な部分は守りつつ、これからの新しい新日本プロレスの形を、引き続き探していきます。そして俺はもう、来年に向けて走り出します!」

出典:新日本プロレス

ヘビーとジュニアヘビーには差はない。どちらが上でも下でもない。右と左という価値観である。

ただ、一つだけ有利不利という意味で言うと、ウエイトの差は存在する。

YOSHI-HASHI選手がバタフライロックをDOUKI選手に仕掛けた時、勝負は喫した。ザック・セイバーJr.選手はそれが分かるから、即座に救出に入ろうとしたのだろう。

 

DOUKIの背中

この日、DOUKI選手の背中には『殺』の一文字が描かれていた。

物騒な言葉ではある。ただ、何を殺すのか?という方向で妄想するのがプロレスファンの醍醐味だろう。

僕は新日本プロレスでチャンピオンベルトを巻くことができていない己を殺すという意味での『殺』だったと介錯している。

この試合、DOUKI選手はベルトに少しだけ手が届かなかった。ただ、多くのファンにDOUKIというレスラーを刻み込むことができたと思う。

5年前に尊敬していると語った先輩は試合後、こう語った。

「今までどうだったか? 関係ねぇよ、これからだよ。」

物事は一瞬で変わる。ただ、裏側には数え切れないほどの苦労がある。これからのYOSHI-HASHI選手とDOUKI選手からも目を離すことが出来ない。

→【ランキング参加中】人気プロレスブログはここからチェック!【クリックで応援お願いします】

→NJPW FUNのTwitterフォローはこちら