「“愛と根性”が“狂気と野望”を超えた」僕が選ぶ大会MVPはあの選手!G1CLIMAX28を大総括

プロレスは勝敗だけの世界ではない。

もちろん勝つことは非常に大事。ただ、それ以上に大切なのが来場したお客さまの心を掴めるかどうかだ。

制御不能以前の内藤哲也選手を振り返ってみれば分かりやすいかもしれない。

ルックス◎、身体能力◎、ストーリー性◎。

ただ、なぜかブレイクしない。何かが足りない。

その何かを変えたからこそ、今の内藤選手や会場でひときわ大きな歓声を浴びている。

内藤選手の急変ほどではないが、今回のG1CLIMAXではそれぞれのレスラーが新しい個性を発揮したように思う。

ガウンを脱ぎ捨てた者。自身のバックボーンを守ると宣言した者。2番手から脱却しようとした者――。

さて、本題に入ろう。それぞれの個性がぶつかりあったG1CLIMAX28を総括する。

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敢えて言いたい。タイチ選手が見たかった

今回のG1を振り返るには、時計の針を約1ヶ月戻す必要がある。そう、まずは選手が発表された当日まで、だ。

僕は新日本プロレスに所属する全選手が好きだ。いわゆる箱推し。あくまで前向きなメッセージを届けたいし、イチ選手をフォーカスして、ディスることは絶対にしたくないし、そんな見方をしていない。

この前提の中で、今年のG1の出場選手にタイチ選手がいなかったことは大きく驚いた。2018年にヘビー級へ転向、立ち上げ記念日で内藤選手と名勝負を繰り広げると、ニュージャパン・カップにも初出場を果たした。

一回戦でエース・棚橋弘至選手に敗れてしまったが、僕はこの試合を見てタイチ選手に目を奪われた。

三冠パワーボム、川田式のムーブ。全てが新鮮に見えた。

「タイチは帰れ!」から「レッツ・ゴータイチ!!!」に変化した会場に答えが詰まっている。

代わりに誰が選ばれなければよかったのか?全試合を振り返るまでもなく、そんな選手は存在しない。全選手がそれぞれの個性を発揮した、素晴らしい試合を見せてくれた。

だからこそ、このメンバーの中にタイチ選手がいたらどんな名勝負が生まれたのか?と、考えてしまう。まさに贅沢な悩みというものだ。

CHAOS勢の“変化”

G1CLIMAX28で最も変化と勢いを感じたのが『CHAOS』の面々だったように思う。

分かりやすく変わったのが、オカダ・カズチカ選手だ。

“制御不能”のフリーマン オカダ・カズチカ

ガウンを脱ぎ捨て、バルーンを持っての入場。凱旋帰国以来の赤髪。キャラも王者時代と打って変わった。

僕の目には今のオカダ選手が制御不能に映った。さすがに『Los Ingobernables de Japón』入りはないと思うが(加入条件は満たしている)、それくらいの制御不能っぷりだ。

「1+1は?」、「○勝め〜」、「熱盛!」など多くの名言(迷言)を残した。

お気づきの方も多いと思う。試合途中でレインメーカー・ポーズを取っていないこと。そして、金の雨を降らすと言っていないこと。

チャンピオンとは誰しもが目指すものであり、団体の象徴だ。その分のプレッシャーやベルトがレスラーを縛ることもあると思う。

強いチャンピオン像の追求。団体を背負う決意。プロレス界全体を背負う覚悟。そういった全てのしがらみから解き放たれたオカダ選手は今の新日本になかった新しい光を放ったように思う。

そして、最終戦後に外道選手と6年半の関係を終了すると発言。

 G1CLIMAX28決勝戦はそれぞれがセコンドを付けて大勝負に望んだ。飯伏選手はケニー選手。棚橋選手はなんと柴田選手。入場時から会場は大きく湧いた。僕自身、瞬間湯沸かし器並に涙が出た。

 

 

これからセコンド/マネジャー抜きでIWGPに返り咲くことはできるのか?再びガウンに身を包んだオカダ選手に期待したい。

究極の個性が見せた逆張りの発想

続いては矢野通選手だ。 

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記者会見時から今年はフェアプレーで戦うと宣言。これまでヒールとしての立ち位置で戦ってきた選手としては異例の発表に、多くのファンが矢野選手に注目した。

とは言ったものの、実際はフェアプレーじゃないんでしょ?

みんながそう思って待ちわびた開幕戦。相手は旧知の中である石井智宏選手だった。

この試合ではアマレス仕込みの美技を連発。周知の事実だが、矢野選手やアマレスエリートだ。オリンピックにこそ出場できなかったものの、新日本でも随一の実績を誇る。

そんな矢野選手の戦いは見る者の目を離さない。癖でコーナーマットを外そうものなら、レフリーからフェアプレーの注意。会場からもフェアプレーの大歓声が巻き起こった。

まさに矢野ワールド。

フェアプレーを軸に戦い続けたが結果が出ない。飯伏幸太選手との戦いではとうとう“悪質タックル”を繰り出した。※プロレスのルールだと悪質でもなんでもない。

さらにはケニー・オメガ選手にも勝利し、ゴールデン☆ラヴァーズに連勝。内藤選手がゴールデン☆ラヴァーズの2人に負けたことを考えると、相性というのは怖いものがあるなと思う。

矢野選手は、「フェアプレー」という言葉と試合展開だけで、例年以上の記憶に残る試合を残した。

和製・ベストバウト・マシーン

和製・ベストバウト・マシーンいや、名勝負製造機のほうがふさわしいか。僕のような新参者が評価をつけるなど大変おこがましいことだが、敢えて伝えたい。G1CLIMAX28のMVPは石井智宏選手だった。

特に対ゴールデン・ラヴァーズの試合は壮絶だった。

人は何かを伝えるために、言葉を作った。だが、言葉を介さずとも人に何かを伝えることができる。

決して多くの語らない石井選手だが、試合を通して多くのメッセージを発信したように僕は感じた。

「NEVERチャンピオンは元々俺なんだ!俺と田中さんでベルトを輝かせて来たんだ!お前と柴田のもんだけじゃねぇんだぞ?」

「飯伏。お前、中邑真輔がいなくなって不完全燃焼じゃないのか?俺がやってやるよ。真正面から全部ぶつけてみろよ?」

「おい!ケニー!IWGPヘビーのベルト取ってG1全勝宣言?ふざけんじゃねぇよ。俺が見せてやるよ。本当のベストバウト・マシーンは誰かってことを」

試合を通じて発信するメッセージは人を感動の渦に巻き込む。誰しもが石井選手の試合が好きだという。昭和の香り?違うと思う。あれは石井選手の香りだと思う。

 

SANADAという男

もう一人だけ取り上げよう。SANADA選手だ。エース候補の素質を持ち、待望論は何度も持ち上がってきた。試合はもう申し分ない。誰とやっても名勝負を繰り広げる。後はキッカケ。最後のピースがハマる瞬間を待つだけだ。

棚橋弘至選手がYOSHI-HASHI選手とハングマン・ペイジを勧誘しているが、この“光属性”ユニットにSANADA選手が加わったらどんな景色になるのか?変わるキッカケになるのか。どんな道を歩んでも楽しみだ。

決勝戦について

 

決勝戦は棚橋選手対飯伏選手。

ちなみにブログ開始以降、色々な予想を発信しているが、ことごとく外れた(笑)。

 

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 気を取り直して。決勝戦はすごかった。本当に素晴らしかった。

まず、入場。飯伏選手のセコンドにケニー選手が着く。バックステージでも言われていただけに、入場時から期待を膨らませていた。

6月9日、大阪城ホールと逆の立場。昨日の疲れはあるが“恋人”の前では勝つしかない」だろうと。

だが、棚橋選手は盟友と共に戦うことで会場の空気を一変させた。

新闘魂三銃士について先日、棚橋選手は言及していた。ひょっとしたら・・・と考察できなかった自分はまだまだだなと思う。

最高の入場からはじまった試合は、これまた最高の試合になった。

G1 CLIMAX 28 2018年8月12日 東京・日本武道館 優勝決定戦 全試合

https://njpwworld.com/p/s_series_00490_38_1

 個人的な意見だが、勝敗を分けたと感じたシーンがある。

飯伏選手が掌底を連打するなか、棚橋選手は被弾しつつも飯伏選手をコーナーに押し込んだ場面だ。

“覚醒”、“狂気”。どんどん本来の自分出していく飯伏選手を後ずらせた。これは初めてのことではないだろうか。お互いに打ち合った結果はあっても、受ける側に押し込まれる、気迫に驚愕する。そんな1シーンだ。

棚橋弘至「セコンドで『新日本プロレスを見せろ!』って言われて、その気になりました」

柴田選手の言葉は軽いものじゃない。それぞれの新日本、それぞれのストロングスタイルがある。

この言葉を柴田選手から聞くことで、ずっと新日本プロレスを守り続けた棚橋選手はこの日さらに強くなった。

棚橋弘至のプロレスが今もこれからも新日本プロレスなんだ、と。

“愛と根性”が“狂気と野望”を上回った35分だった。

余談だが、棚橋選手が戦い、柴田選手がセコンドで声を張り上げるなか、飯伏選手がボマイェを繰り出した。

「新闘魂三銃士と一括りにするな」と3人それぞれが言った。ただ、2016年1月25日以来に形を変えて再び揃った。思わず涙が出た。

www.youtube.com

 

最後に、YOSHI-HASHI選手

最後にこの選手について語りたい。G1に選ばれた時点から賛否両論が巻き起こった。まぁ、サッカー日本代表のメンバー選出でも議論が巻き起こるので、それはそれでアリだと思う。変な誹謗中傷は認められないとは思うが。

今大会中、友人と一緒に観戦をした。

友人は新日本プロレスを生で見るのは初。有名選手の試合を生で見れるということで、とてもテンションが上がっていた。

そんな彼がこう言ったのだ。「今日のベストバウトはYOSHI-HASHI選手だね一番、感情移入できた」。

内藤哲也選手は感情移入できるレスラーが最高のレスラーと言った。これがYOSHI-HASHI選手の魅力なのだと改めて気付かされた次第だ。

この夏、僕のハートが砕かれた瞬間だった。

 


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